2025年10月03日(金)公開
【自民・総裁選は三つ巴の争いか】小泉氏・高市氏・林氏がリード カギ握るのは投票1回目の党員票?「"解党的出直し"掲げる中で党員が支持しない候補に投票するのか?」
解説
いよいよ最終盤を迎えた自民党総裁選。小泉氏・高市氏・林氏の三つ巴の展開で、この3人のうち2人による決戦投票がほぼ確実な情勢となっています。10月1日で郵送による党員投票は事実上の締め切りとなっているため、上位3人の陣営は国会議員票の積み上げにしのぎを削っています。 決選投票に進めるのは一体誰なのか。そしてカギを握る要素とは…。MBS解説委員・大八木友之氏が解説します。
「解党的出直し」の今回の総裁選 盛り上がりに欠ける?
終盤に差し掛かっている自民党総裁選。10月2日、大阪市内では5人による演説会が行われました。小林鷹之氏、高市早苗氏、茂木敏充氏が出席し、小泉進次郎氏と林芳正氏は公務のため動画での演説会参加となりました。会場には約800人の聴衆が参加していて、そのうち約500人が自民党員、抽選で選ばれた一般の人が約300人だということです。
ーーー告示後3か所目の演説会ですが、動画での演説会参加は珍しいですか?
(大八木友之解説委員)「小泉氏の場合は、閣僚級の会合があるため動画での演説は予定されていたものだと思います。林氏は官房長官という立場のため、なかなか東京から離れにくいところはあります。また、石破総理が出張の予定が入っているため、余計に東京から離れにくかったという面はあると思います。総裁選期間中で動画での演説というのは珍しいです」
ーーー今回の演説会は質疑応答はないということです。演説が終わった林氏、高市氏、小泉氏の演説はどうでしたか?
(大八木解説委員)「会場には大勢の人が来ていたようですが、3人ともにこれまでの主張とは変わりない内容でした。高市氏は唯一会場で演説しましたが、これまでの主張をさらに強めたところはありましたが、新しい話は出ていません。総裁選は盛り上がってはいないという印象はありました」
ーーー総裁選には「党員票」と「国会議員票」がありますが、「党員票」の投票の締め切りが10月3日で、基本的には郵送で行われるため、すでに投票を済ませている党員が多い中で、なぜこのタイミングでの演説会となったのでしょうか?
(大八木解説委員)「前回の総裁選は15日間がありましたが、今回は12日間と日程も絞られてきました。自民党としても新総裁が選ばれる、盛り上げていこうというよりはどちらかというと解党的出直しのため、粛々とやりたいという面もあります。演説会の会場としては東京、愛知、そして大阪ですが、スケジュールを組んでいくと、党員の投票が間に合わないところに大阪が入ってきたという形となって、そこも盛り上がりを欠いている1つの要因かなとも思います」
小泉氏の"ステマ"要請問題は痛手に?
そんな中、5人の候補の中でも小泉氏に注目が集まっています。“ステマ”要請問題に続いて逆風とも言えるかもしれないのが、週刊文春の報道です。
小泉氏が会長を務める自民党神奈川県連が、党員826人を勝手に離党させていたため、投票用紙が届かなかったと報じられました。離党させられた党員826人は、高市氏を支持するなど、小泉氏以外に投票する予定の党員ではないかということで、小泉陣営が小泉氏が有利に働くような工作をしたのではという疑惑が出ました。
これについて神奈川県連は、事務的なミスで826人は投票可能だと述べています。また小泉氏本人も文春側に抗議訂正を求めると強く批判しています。
ーーーこの報道は小泉氏にとって大きな痛手になるんでしょうか?
(大八木解説委員)「時期が総裁選の直前とか、まさに今、投票をしようとしてるときにやっていたとしたら大きな問題になったと思います。しかし、離党の手続きをしていたのが今年6月というタイミングで、問題がくすぶり始めたのも去年11月の衆院選のあたりからいうことで、参院選よりも前の出来事でしたし、参院選で自民党が負けて、石破総裁が辞任して総裁選が行われるということを小泉氏が神奈川県連の会長として認識して計算できたかというと、直接的な関連は薄いんじゃないかなと思います。逆に“ステマ”要請問題の方が、この総裁選に直接関係あるため問題かなと思います」
ーーー選挙のたびに、小泉氏のことばかり報じられるようなイメージがありますが、どうしてなんでしょうか?
(大八木解説委員)「これはメディアの責任でもありますし、今回の本命候補の1人というところもあります。総裁選に出たら必ず注目される候補であるため、石破総理が辞任し、高市氏と小泉氏の2人で決選投票にもなるんじゃないかというところで、報道も出てくる。注目候補であるがゆえです」
カギを握るのは1回目投票の党員票の数?
総裁選の仕組みを振り返ります。今回は「国会議員票」と「党員票」の計590票で争われます。10月4日に投開票が行われますが、その際に1人が過半数に達した場合にはその人が総裁となります。ですが、過半数に届かなかった場合には上位2人で決選投票を行い、票を多く獲得できた候補者が総裁となります。
ーーー決選投票に進める2人は誰になるのか、大八木解説員の見立てはどうですか?
(大八木解説委員)「①小泉氏と高市氏、②小泉氏と林氏、③高市氏と林氏が進むという3つのパターンがあるとするならは、パターン①の小泉氏と高市氏の2人が決選投票になる一番可能性として高いと思います」
ーーーーパターン②、③はどうでしょうか?
(大八木解説委員)「小泉氏と林氏が進むパターン②と高市氏と林氏が進むパターン③になった場合、第1回目の投票の党員票の実数がカギを握ると思います。党員票が誰に多く入っているかを国会議員は当然見るため、党員に支持されていないような候補者に国会議員の論理を優先して入れるのかどうか。例えば林氏がいいなと思っていても、おそらく党員票は小泉氏や高市氏が上回るため、国会議員が自分の判断、自分の論理で林氏に票を入れるということができるかどうかは少しポイントかなと思います」
投開票は10月4日土曜日です。
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