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【神戸女性刺殺事件】発生2日で逮捕の裏に「防犯カメラ」の活躍 ドローンやAI組み合わせた"驚き"の最新技術を紹介

解説

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 殺人の疑いで逮捕された谷本将志容疑者(35)は8月20日、神戸市中央区のマンションで女性(24)の胸などをナイフで数回刺して殺害した疑いがもたれています。 この事件で容疑者逮捕のカギのひとつとなったのが「防犯カメラ映像」。残された映像を次々とたどり、足取りを追う「リレー捜査」などにより、容疑者を特定したということです。そんな防犯カメラの最新技術についてまとめました。

防犯カメラ設置数は他国より少ない?

 防犯カメラは世界にどのくらい設置されているのか。イギリスの調査会社Comparitechの調査によりますと、人口から計算したデータの1000人あたりのカメラ台数が最も多いところは上海で494.25台。日本では東京首都圏で人口1000人あたり1.35台、近畿大都市圏で1.15台で、世界的に見ると少ない状況です。

 そんな防犯カメラは警察の捜査にも大きく影響を与えています。

 2025年版の警察白書によりますと、検挙件数のうち防犯カメラ画像などで容疑者を特定した割合が年々増加していて、2016年は4.6%だったのに対して2024年は17.6%にまで上昇しています。

 今回の神戸女性刺殺事件でも、街中に設置される防犯カメラ映像から犯人の足取りを追う「リレー捜査」が行われ、事件発生から2日で逮捕することができた要因の1つとなっています。

ドローンで空から監視「飛ぶカメラ」

 捜査で重要な役割を果たしている防犯カメラですが、さまざまなものが登場しています。

 ドローン防犯カメラと呼ばれる「セコムドローンXX(ダブルエックス)」が間もなく発売予定です。敷地内限定で最大で半径6kmエリアを警備し、あらかじめ決めたルートを飛行して安全確認を行う「巡回監視」と、センサーや監視カメラが検知した侵入者を追跡する「侵入監視」ができるということです。

 工場や災害時などで警備ができない場所での活用が期待される最新技術だということです。

AIが学習して通報精度が日々成長「学ぶカメラ」

 そして、アジラが開発した「AI Security asilla」。ネットワークカメラに後付けでAI機能を追加することができ、骨格を判定して転倒などの動きから「違和感」を通報することができるということです。

 月に数十万件のデータを学び、通報の精度向上が可能で、警備員の人手不足の解消などに役立てられると期待されています。

 このAI技術の精度について、アジラによると、警察庁科学警察研究所との合同研究で「AIが違和感を覚える人」と「警察官が違和感を覚える人」がほぼ一致しているということです。

防犯カメラ設置で気をつけたいポイントは?

 神戸市内には2024年度末時点で3000台の防犯カメラが設置されていて、2026年度までに5400台設置する計画が元々ありました。しかし今回の事件発生を受けて100台増設する方針を発表。計5500台になるということです。

 防犯カメラを設置することは非常に重要ですが、懸念点も。防犯アドバイザー・京師美佳氏は、プライバシーに配慮した設置が必要だと指摘しています。

 個人で防犯カメラを設置する際には、隣家の窓やベランダを映さない画角で設置することがトラブル回避の方法だとしています。

 また、京師氏によると防犯カメラは1台あたり数千円のものも出てきているとのことで、いま一度、防犯対策について考えてほしいとしています。

2025年08月28日(木)現在の情報です

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