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JAが"政府の備蓄米買い上げ"見越して価格下げず!?「古いコメは食用向きでないなどと理由をつけ...」余っているコメ高止まりのワケ【専門家解説】

解説

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 過去最高水準の高値が続くコメ。政府は経済対策として各自治体に「おこめ券」の配布を促していますが、“事務経費の負担が大きい”などとして「おこめ券」を配布しない意向を表明している自治体もあります。 そんな中、国内最大手のコメ卸の社長がコメ価格について「このままいけば暴落するのは間違いない」と発言。一方で、コメ価格は「しばらくは下がらない」と指摘する専門家もいます。 今後、コメは安くなるのか?おこめ券の配布はどうなるのか?キヤノングローバル戦略研究所・山下一仁研究主幹への取材を含めてまとめました。

「短期的には下がらない」が「長期的には下落の可能性」

 コメ価格の高値が続くなか、コメ卸の最大手・神明の藤尾益雄社長が「コメの民間在庫量が過去最大になると思う。このままいけば暴落するのは間違いない」と発言しました。

 農水省発表のデータを見ると、昨年は244万tだった「10月末の民間在庫(玄米)」が今年は306万tに。25%増えています。

 今後のコメ価格について、キヤノングローバル戦略研究所・山下一仁氏は「短期的には下がらない」と指摘。ただ、「長期的には下落の可能性」があると分析しています。

「“古いコメは食用向きではない”など理由をつけて…」

 まずは短期の話です。集荷業者のJAは在庫を多く抱えているにも関わらず、なぜ価格を下げないのか? “強気”の理由は「備蓄米」にあると山下氏は指摘します。

 国の備蓄米の基準は100万tとされていますが、現在の備蓄量は32万tに減少していて、その大半は2020年度産(15万t)・2021年度産(12万t)など古いコメです。

 そのうえで山下氏は、「(JAが)“古いコメは食用向きではない”などの理由をつけて、最大100万t買ってもらえると思っているのでは」と分析。政府の買い上げを計算に入れ、価格を下げていない可能性があると見ています。

長期的には投げ売り→暴落も!?

 長期的にはどうなるのでしょうか? 山下氏は「来年9月の生産量が例年通りなら、投げ売り→暴落も」と分析。また、現在のコメ高騰で消費減少・輸入増加が進んでいるため、JAの在庫が大幅に増加すれば、暴落の可能性もあると言います。

 仮に概算金(60kgあたり)が現在の「3万円〜3.5万円」から「2.5万円」まで下がった場合、小売価格 (5kgあたり) は現在の「4500円」から「3214円〜3750円」にまで下落する可能性があるとしています。

「過剰在庫の大量処分」おこめ券配布でトクをするのはJA?

 「重点支援地方交付金」の使い道として国が推奨している「おこめ券」。配布するか否か、判断は各自治体に委ねられていますが、関西の各府県庁所在地では配布を決めたところはありません(12月5日時点)。

 <おこめ券配布 関西では?>
 ▼検討中  神戸市・京都市・大津市・奈良市・徳島市
 ▼配布せず 大阪市(プレミアム付商品券配布)
       和歌山市(地域商品券6000円分)

 「おこめ券」には通常、“使用期限”がありませんが、今回の配布では「来年9月末まで」の期限が設けられる見通しです。券には「転売禁止」の文言記載もあり、事務コストなどを減らして1枚あたりの販売額を下げる方向で検討されています。

 今回の「おこめ券配」配布で、「過剰在庫を大量に処分できるJAがトクをする」と山下氏は指摘。期限の設定については、倉庫料などの負担を考えるとJA側はありがたいと考えているのではと見ています。

 10月30日、JA全中の山野会長が鈴木農水大臣の就任祝いで、「おこめ券の問題について、我々も支持していいと思っている」と発言。記者からの「JAとしてもやってほしいということ?」との問いに「はい」と答えています。

「おこめ券は焼け石に水」家計への影響は?

 「おこめ券3000円分は焼け石に水」と話すのは山下氏。1人が1年間に食べるコメの量は約50kgで、5kg4500円で計算すると、1人年間4万5000円の出費となります。家計にもたらす恩恵は限定的であるかもしれません。

 「おこめ券」配布は誰のための経済対策なのか?今後も注視していく必要がありそうです。

2025年12月08日(月)現在の情報です

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