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【残暑バテとは?】尿路結石・コロナなどのリスクも...暑さへの慣れが"リセット"されたお盆明けは「熱中症の第2波」に注意!

解説

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 連日続く厳しい暑さ。気象庁が19日に発表した3か月予報(9月~11月)によると、この暑さは秋に入っても収まる気配はありません。今後は熱中症だけでなく、様々な病気を引き起こす”残暑バテ”にも注意が必要です。 では一体、どうすればいいのか?自律神経の整え方や、“脳をだます”水分補給の方法など、済生会横浜市東部病院・患者支援センター長の谷口英喜医師の見解をもとにお伝えします。

“暑さへの慣れ”がお盆休みでリセット…なのにまだまだ暑い

 お盆明けは「熱中症の第2波」が来る可能性が高い危険なタイミング。なぜなら、お盆休みの数日間を涼しい室内で過ごすことで、暑さへの慣れ=「暑熱順化」がリセットされてしまうからです。

 例年であれば、お盆が終わると気温が下がるため、暑熱順化がリセットされても問題ありませんでした。しかし、今年はお盆休み後も気温が高いため、暑熱順化がリセットされると熱中症のリスクが高まるのです。
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 暑熱順化のためには「1日数回外気に触れ、汗ばむくらいで十分」と済生会横浜市東部病院・患者支援センター長の谷口英喜医師はいいます。軽い運動や入浴、通勤・通学などで汗をかけば良いそうです。

 谷口医師によると、暑熱順化に必要な期間は「10日~14日間」。汗をかきにくい人は、血管の拡張で放熱できていればOKで、ほんのり肌が赤らむ程度で順化できているということです。

 一方、この暑熱順化は、たった1日~2日でリセットされてしまうそうです。汗をかかずに涼しい環境で1日~2日過ごすとリセットされてしまうため、1日中家の中にいる場合は汗をかく機会を作る必要があるということです。

様々な病気を引き起こす「残暑バテ」とは?

 暑熱順化がリセットされると、熱中症のリスクが高まります。しかし、怖いのは熱中症だけではありません。よく聞く「夏バテ」のほか、最近は「残暑バテ」も問題になっています。残暑バテは病名ではないため、明確な定義はありませんが、夏バテとは異なるそうです。

 ▼夏バテ:直接暑さによって引き起こされた体調不良。主に脱水症状。
 ▼残暑バテ:暑さ⇒体力消耗で疲れ
       エアコン⇒自律神経の乱れ
       冷たいもの⇒胃腸の負担

 夏バテ・残暑バテによって、自律神経が乱れて睡眠の質が低下すると、免疫力が低下するため病気にかかりやすくなります。また、暑さによる「精神的な疲労」も免疫低下につながります。
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 残暑バテで気を付ける病気は次のとおり。
 ▼季節性の風邪
 ▼新型コロナ(ニンバス):カミソリを飲み込むような喉の痛み。
 ▼百日せき:せきが数か月続く。8月20日現在、過去最多の感染者。
 ▼帯状疱疹:激しい痛みと痒み。

 また、残暑バテによって「尿路結石」のリスクも高まります。尿路結石は、腎臓・尿管・ぼうこう・尿道など、尿の通り道に結石ができる病気。様々な原因がありますが、体内の水分が不足すると尿の濃度が高まり、カルシウム・シュウ酸・尿酸などが固まり、石になってしまうということです。

 病気にならないためには、自律神経を整えることが重要です。そのためには、以下の方法があります。

 ▼白湯を飲む:体がリラックスし自律神経が整う。約50℃で。
 ▼朝食をとる:消化器の動きが活発になり自律神経が刺激される。
 ▼朝日を浴びる:“幸せホルモン”が出て元気に過ごせる。“幸せホルモン”は夕方には睡眠を促すホルモンに変化。よく眠れると生活リズムが整い自律神経も整う。
 ▼入浴:寝る2時間前に入るのがオススメ。一度上がった体温が2時間で下がる、その差が睡眠の質を高める。

コップ1杯の水を「2時間に1回」「就寝前に」

 残暑を乗り切るために、どのくらい水分をとればいいのか?体の大きさにもよりますが、成人が1日に必要な水分量は「男性3リットル」「女性で約2.5リットル」だということです。ただし、しっかり食事をとっていれば必要量の半分を摂取できるため、実際に飲む量は「男性約1.5リットル」「女性約1.25リットル」で十分だそうです。よく汗をかく人は、その分を追加で飲むようにしてください。

 谷口医師によると、「朝起きた瞬間は誰もが脱水の状態」になっているそうです。頭がボーッとしたり、ぼんやりするのは脱水症状の1つ。特に高齢者は、もともと水分量が減っている上、喉の渇きに気づきにくいため、意識的に水を飲む必要があります。また、薬を飲んでいる人も、脱水で薬が“効きすぎる”おそれがあるため、注意が必要です。ただし、利尿剤を服用中の人は主治医と相談するようにしてください。

 水分補給のタイミングは一般的に「2時間に1回・コップ1杯」「就寝前にコップ1杯」が良いとされています。

トイレが近い人は「点滴のように飲む」がオススメ

 水分を摂取したくても「トイレが近くなるから…」とお悩みの人にオススメなのが、“脳をだます水分補給”。谷口医師によると、5分~10分おきに一口ずつ「点滴のように飲む」ことで、トイレが近いと感じにくくなるそうです。

 また、就寝前は200ミリリットルを5分~10分かけてゆっくり飲むと良いそうです。コップの水を一気に飲むと、脳が「出せ」という信号になり、せっかく摂った水分を無駄にしてしまうということです。

 今後も厳しい残暑が続きます。正しい水分補給の方法を実践して、乗り切っていきましょう。

2025年08月21日(木)現在の情報です

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