2025年08月05日(火)公開
参院選後初の論戦で物価高対策は?「あれこれ言って何もしないのが自民党の"お家芸"」 JNN世論調査で「辞任する必要はない」が「辞任すべき」を上回る...「これだけが石破総理にとって栄養ドリンク」
解説
8月4日、国会で行われた衆議院予算委員会の集中審議。7月の参院選で敗北し、衆参ともに少数与党となる中、立憲・野田佳彦代表からは物価高対策への協議を求める声、国民・玉木雄一郎代表からは石破総理の進退について追及する声があがりました。 JNNの電話世論調査(8月2日・3日 有効回答1003人)では、「辞任する必要がない」が47%と、「辞任すべき」の43%を上回った石破総理。今後、進退はどうなるのか、そして物価高対策などはどのように進んでいくのか?ジャーナリスト・武田一顕氏に見解を聞きました。◎武田一顕:ジャーナリスト 元TBS記者 元JNN北京特派員 中国情勢に精通 小渕内閣以降の歴代政権を取材 愛称は「国会王子」
「あれこれ言って何もしないのが自民党のお家芸」
―――8月4日、衆議院予算委員会で、参院選後初の論戦。立憲民主党の野田代表は「物価高対策は?」と迫り、国民民主党の玉木代表は「いつまで総理続投するのか」と厳しいツッコミも入っています。今回の臨時国会を見て、どのような印象を受けましたか?
(武田一顕氏)「きょう(8月4日)予算委員会をやるっていうのは異例のことでしたね。一言で言うと、野党が元気で自民党が元気ないなっていう予算委員会の様子」
―――参議院選挙の結果がそのまま雰囲気に出てたという感じなんでしょうか。
「おもしろい話で、選挙が終わって勝ち負けがはっきりすると、やっぱり勝った方は何となく元気で、負けた方は、“青菜に塩を振ったように”なってしまう。もちろん、石破さんもやっぱり元気がなかった」
衆議院予算委員会で立憲民主党の野田代表は石破総理に、消費税減税などについて協議に応じるように求め、石破総理は「そのとおりにしたい」と答えました。野党との協議に応じる考えを示しましたが、武田氏は、「自民党としては『野党が勝っても何も変わらない』に持っていきたい」「あれこれ言って何もしないのが自民党のお家芸」としています。
―――自民党は減税には進まないということになるんですか?
「これまでいろんな3党合意などありましたが、特に進めていかない。特に消費税に関しては、財務省に言われたとおりに消費税については、手をつけたら地獄に落ちるぞと思ってる人がいっぱいいるわけです。そういう人たちにいくら言っても、消費税については手をつけない。協議には応じるんだけども、何もやらないんですよというお家芸が自民党。今回の場合も消費税についてはその可能性が非常に高い」
「一番の試金石はガソリンの暫定税率。自民党と野党で協議会を作るということになりましたが、これが果たして8月、9月くらいで何らかの結論が出るのか、進展があるのかというのを見れば、その他の部分についても野党との協議をどうするかというのは大体見えてきます。政権が変わらない限り、何か変わることはないんだけど、今の場合は、自民党が一番多くの議席を持ってますから、その点で政権を持ってる限りは、そうやって時間を引っ張っていくという、名人芸をどうぞご覧になってください」
―――これだけ注目された選挙ですから、自民党はそんなことしたら支持を失うのでは?
「本当そうです。次の選挙がいつになるのか。次の選挙が見えてくればこれは何かをやります。石破さんは選挙に負けるまで、国民民主党と自公との3党合意のは話だってほとんど何もやらないで選挙に突入しましたから、しがらみがあって何もできないという状況になってしまいました」
自公政権に新たな野党が加わるなら?
―――8月のJNN世論調査を見ると、参政党が存在感を発揮していて、支持する声が一定数あるということですね。
8月JNN世論調査(8月2日・3日)
「自公政権に新たな野党が加わるなら?」
【国民民主党】23%
【立憲民主党】17%
【参政党】15%
【日本維新の会】14%
「この世論調査で答えた方は、保守同士が組むのがいいんじゃないかというお考えだと思うんですよね。実際にどうなるかは参政党と組むということはできない。なぜなら、自民党はいいかもしれないけれど、公明党がそれではもたないですね。いまは自民党と公明党の連立政権ですから、それがもたないという側面があります。『自公プラスどこか』というのが一番政権が安定するので、これが秋に向けた政局の大きな柱になりますね」
―――自公としては組めるところとは組む可能性があるということ?
「そうです。今模索していますし、水面下で自民党の森山幹事長が、日本維新の会の遠藤前国対委員長と会ったりしながら、少しずつ周りを詰めてどこかと組もうという動きは水面下であります」
8月JNN世論調査『石破総理は辞任する必要はない』47% 「この数字だけが栄養ドリンク」
衆院予算委で石破総理は、玉木代表からの「そもそも総理はいつまで続投されるんですか」という問いに「関税合意後も不当な不利益を受けないよう見ていかなければならない。それがいつまでかは断定できない」と答えました。
―――石破総理の発言から続投したい意思が見えますが、武田氏によると、「きょうの総理は明言を避けたが、いつ辞めてもおかしくない」ということですが、辞める可能性もあるということですか?
「きょう(8月4日)のやりとりで私が一番おもしろかったのは、玉木さんと石破さんのやり取りでした。本人としてはこのまま続けるという意欲はありますが、ただ、衆議院でも参議院でも負けた総理大臣が続けるというのは、それは無理なんですよね。秋の臨時国会を乗り切ることはできないというのは私は一貫して申し上げている」
―――もし総裁変わった場合、野党との連携も変わってくるんですか?
「当然そうです。次になる総裁は、もう一つのどこかと組んで政権を維持しようということを一番に考えますから。夏の政治決戦はそこですね。自公がどこか引っ張り込むのか、野党でまとまれるのかなんですが、野党がまとまれる可能性は極めて低い。誰に聞いても低い。そうすると自公が国民民主なのか維新なのかどちらを引っ張り込むか、あるいは立憲民主との大連立になるのか。どこを引っ張り込むかというのは焦点」
―――自民党内と世論の“差”をどうみますか?
8月JNN世論調査(8月2日・3日)
「参院選の敗北を受けて石破総理の責任は…?」
【辞任すべき】43%
【辞任する必要はない】47%
「この『辞任する必要はない』という数字だけが、石破さんにとっては栄養ドリンクみたいなものですよね。だけど現実にはそれはうまくいかなくて、秋までにはやっぱり石破さんが辞任するという局面が迎えることになるでしょうね」
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