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【一億総失言時代】政治家だけじゃない!SNS普及で誰もが陥る『失言』防ぐには?言ってしまったら?【専門家解説】

解説

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 「コメは買ったことはない」などの発言で事実上の更迭となった江藤拓前農水大臣。こうした政治家の“失言”は過去相次いできた一方、私たちも日常生活でついうっかり、悪気なく言ってしまうことがあるのではないでしょうか。 SNSの普及で“一億総失言時代”ともいえるような世の中が到来した現代。どうすれば失言を防げるのか?スピーチなどでの失言のパターンとは?政治家らにもスピーチ指導を行う長崎大学の矢野香准教授と、コミュニケーションの専門家で話し方研究所の福田賢司代表の見解をもとにお伝えします。

政治家の失言が出やすい「箱モノ」「内輪向け」

 そもそも「失言」とは何でしょうか?広辞苑には「言ってはいけないことを不注意で言ってしまうこと」(広辞苑 第七版より)と記載されています。過去を振り返ると、様々な政治家の失言がありました。

 <過去の政治家の失言>
 2007年 鳩山邦夫法務大事(当時)「友人の友人がアルカイダ(国際テロ組織)」
 2013年 麻生太郎財務大臣(当時)「ナチスの手口に学んだら…」
 2017年 今村雅弘復興大臣(当時)「(東日本大震災に関して)東北でよかった」
 2024年 麻生太郎副総裁(当時)「(当時の上川陽子外務大臣について)このおばさんやるねえ。そんなに美しい方とは言わんけれども」

 ジャーナリストの武田一顕氏が心に残る政治家の失言は、森喜朗総理(当時)の「日本は天皇中心の神の国(2000年5月)」、「無党派は寝ていてくれればいい(2000年6月)」の2つ。政治家は「ホールなどのいわゆる“箱モノ”で内輪に向けて話すときに失言が出やすい」と言います。また、麻生氏については「半径2mの男」と言われていると紹介。“半径2m”にいる人をひきつける能力はすごく高いが、その外にいる人たちへの配慮がないという、半分嫌味で言われているということです。

あなたは感情型?迷子型?スピーチでの失言パターン

 政治家や経営者にもスピーチ指導を行う長崎大学(心理学)の矢野香准教授は、「スピーチなどでの失言は2種類に分類できる」と言います。

 <スピーチなどでの失言パターン>
 ▼感情型:調子に乗って口が滑る
  ⇒人前で話し慣れている人
 ▼迷子型:話しているうちに頭が真っ白に…
  ⇒人前で話し慣れていない人

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 また、コミュニケーションの専門家で、話し方研究所の福田賢司代表によりますと、普段の会話でも失言しやすい人の特徴は「自信過剰」「うっかり」「饒舌」「瞬間湯沸かし器」「八方美人」だということです。家庭・職場での失言例と対策は次のとおりです。

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 <シーン別の失言例>
 ▼家庭編
  夫が専業主婦の妻に対して、「お前はヒマでいいなぁ」
  ⇒「夫婦は気心が知れているから何を言ってもいい」と油断しすぎ。配慮ある言葉選びを。
 ▼職場編
  子育て中の男性に対して、「〇〇さんってイクメンですね」
  ⇒「性の役割」の決めつけとも取られる。“女性は育児をして当たり前、男性が育児をするとほめられる”という考えがこの発言の背景に見え隠れするのでは。時代とともに表現も変化が必要。

 また、言ってしまった・言われた失言を街の人に聞くと…
 
 ▼仕事帰りの母に「なんでそんなに疲れてるの?」と言ってしまった
 ▼バイト先の年上の人に「“昔は”どうでした?」と言ってしまった
 ▼体調が悪い時に夫から「ごはん“いいで”」と言われた
 ▼テンションが上がった息子から「行くぞ、ババア!」と言われた

「投稿は1日寝かすくらい吟味して」SNS普及で“一億総失言時代”に

 SNSの登場により今や誰もが失言に注意が必要な時代=“一億総失言時代”とも言える現代に。専門家はSNSでの発言に注意を促します。

 長崎大学・矢野教授「“切り取り”で思いがけない表現になることもある」
 話し方研究所・福田代表「“1日寝かす”くらい吟味してから投稿した方がいい」

 さらに、専門家2人は「ネット上だけでなくリアルでも失言に厳しい時代になってきた。多様性・新しい価値観に対し昔よりさらに配慮が必要」と指摘します。

失言してしまったら?「基本的にフォローできない」「とにかく早く謝る」

 では、もし失言してしまったら、どうすればいいのでしょうか?「基本的にフォローはできない。発言する前にしっかり考えること」と指摘するのは矢野准教授。福田代表は「とにかく早く謝るしかない。相手が不快に思う理由をきちんと理解した上で謝ることが大切」としています。

2025年05月26日(月)現在の情報です

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