2025年05月27日(火)公開
止まらないコメ価格上昇 小泉進次郎新大臣の「備蓄米放出 随意契約」の是非は? 橋下徹氏が語る
解説
現在、消費者の最大の関心事ともいえる「コメ価格」。前任者が失言で失職した後を継ぎ、農林水産大臣に就任した小泉進次郎氏は、備蓄米の放出をめぐり「随意契約」方式を打ち出しました。元大阪府知事・大阪市長の橋下徹さんは、目下の状況をどう見ているのでしょうか。(2025年5月26日放送「よんチャンTV」より)
“適正価格を今まで日本は、官僚や政治が決めていた”
Q.直近のスーパーでの米の平均販売価格は5kgで4285円(5月12日~18日)となりました。コメの価格の上昇が続いている状況をどう見ていますか?
橋下徹氏
「安くしろと言うのは一時的にはいいけれども、適正価格じゃないと、作っている人たちはたまったもんじゃないです。適正価格を今まで日本は、市場に委ねるんじゃなくて官僚が決めていた、政治が決めていたっていうところがあるから、今こんなひどいことになっている。しかも値段を下げる話なのに、入札やってどうすんだと。オークションというのは基本的には高い金額を提示した人が落札するわけでしょ、値段が上がっていくじゃないですか、何やってんだ日本はと思っていたところ、小泉さんが入札はやめる、随意契約にすると。もちろん問題点もあるんだけど、金額決めてやるときは随意契約しかないんですけども、びっくりしたのは、いろんな番組で国会議員と議論すると、『橋下さん、国有財産の米を売るのに随意契約なんかダメです。入札が原則なんです』と、みんな国会議員が言うんです。“どうなってるんだ、この国は”と思いました。小泉さんと石破さんが随意契約ということをやったので、価格が下がることは期待しています」
“ルールをきちんと整備して随意契約を”
Q.備蓄米放出の新たな枠組みですが、随意契約=任意に特定の事業者を選んで結び契約する、つまり入札を経ずに価格を決めるというものです。2022年産20万トン+2021年産10万トンの計30万トンを政府が決めた売り渡し価格で小売店に販売します。対象は年間1万t以上の取り扱いがある、比較的大きな小売事業者で、売り渡し価格は、60㎏1万1556円。入札を実施していた際は60kg2万2477円でしたので、9千円~1万円価格が下がったわけです。また、これまでは備蓄米は買い戻し制度があったんですけれども、新たな枠組みでは買い戻し条件がなくなり、先着順での受け付けです。
橋下徹氏
「まず、売り渡し価格の1万1556円、これは国は損しません。国が元々備蓄米を仕入れた価格がこの金額なんです。だから入札で2万円以上で備蓄米を放出していたわけですが、国が儲かってしまってたんですよ。だから仕入れ価格で放出することは当たり前です」
「役人が勝手に随意契約をやるのは、僕は反対しました。原則は入札です。ただ緊急状態のときに、ルール化してやるのが政治であって、会計法では入札が原則となっていますが、緊急事態には随意契約OKで、その際のルールは政省令と言って、法律じゃなくて各役所が決めるルールで随意契約を行うっていうルールが決まってるんです。ルールに基づかない随意契約は反対です。ルールをきちんと作って、透明化して、随意契約をやればいい。実は日本はね、随意契約大国なんですよ。アベノマスクの調達は随意契約です。あれは逆オークションで本当だったら入札して安い金額でマスクを調達しなきゃいけなかったのに、緊急だと言って、高い金額で仕入れたんですね。それからオリンピックの事業のほとんどは随意契約。もうここの事業者しかできないからと言って。僕は随意契約は大阪ではやるなって言ってたけど、やっぱり緊急状態のときには、政治がちゃんとルールを作ってやるべき」
“随意契約 先着順はマズイ”
Q.随意契約の場合、公平性はどうなるのという意見も出てくると思うのですが?
橋下徹氏
「随意契約というのはすごく“不公平”なので、どういう業者にどういうふうに渡すかっていうところが重要なんですけどここにちゃんと政治が目を光らせないと、いろんな条件をつけて特定の業者だけが儲かるような仕組みになっちゃうんですよ。今回気になったのは先着順という点。もう少し丁寧に、一定の期間を定めて、参加者を募って抽選・くじ引きでやるのが本来の随意契約での一番の公平性なんだけど、先着順は僕はまずいなと思っている。コンサートのチケットを取るときも先着順にしたらも大混乱が生じるじゃないですか」
“輸入という選択肢を”
Q.小泉農相は「需要があれば無制限に備蓄米を放出する」という姿勢ですが、今回30万トンを放出すれば、残る備蓄米は30万トン。残り30万トンで大丈夫なのかという心配も出てきますが…?
橋下徹氏
「問題点があったとしても、じゃあ何もやならなくていいのかというとそうではないので。政治は正解がわからない中である意味チャレンジするかどうかなので、僕は小泉さんにも随意契約で進めてもらいたいと思います。ただ、確かに備蓄米がなくなるんですよ。それに対し小泉さんは“東日本大震災の時も、熊本の大地震のときもそれほど放出していませないので大丈夫です”と言っている。いやいや、それを言ったら、備蓄米は100万トンも要らないんじゃないのと。100万トンを保管するのに年間470億円も維持管理費がかかってるんですよ。大震災でも要らないんだったら100万トンも要らないんじゃないのとなります。ここはごまかさずに、足りなくなった場合には、やっぱりこれは補填しなければいけない。でも年間20万トンずつしか補填できないんです、米の需要と供給というのは非常にタイトな状況だから、また20万トン仕入れてしまうと、値段が上がるなどの事態が起きる。そうなると輸入しかないんですが、これは小泉さんも言わない。石破さんも言わない。石破さんと他の番組でもさんざん議論したけれども、輸入だけは言いませんでしたね。米は1粒たりとも入れるなと、日本の農家さんを守れということで、米は海外から入れないというのが、ある意味自民党政治の国是みたいになっていたんです、だから足りなくなっても入れない。南海トラフ地震などが起きればどうするのと。小泉農相には輸入という選択肢を言ってほしいですね」
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