2025年03月25日(火)公開
斎藤知事のパワハラ認定『県民の意見』に影響は?「ダラダラ続けるのはどうかと...」「子どもが恩恵受けているので続けていいと思う」知事はあす以降「第三者委報告書への見解」説明へ【解説】
解説
兵庫県・斎藤元彦知事の“パワハラ疑惑”などを調査する第三者委員会が3月19日、調査報告書を提出。報告書を受けて斎藤知事は24日、「引き続き中身を読み、精査している」「内容が多岐にわたっているため、読み返したりとか整理しながら読んでいる」とコメント。県議会が閉会する26日以降に見解を示す意向を示しました。 知事や県議会は今後どう動くのか?また、県民は知事にどのような思いを持っているのか?日本大学・林紀行教授と大正大学・江藤俊昭教授の見解を含めてまとめました。
専門家「知事の処分を決めるのは、基本的には知事自身」
19日に公表された第三者委員会の調査報告書。事の発端となった「7つの告発」のうち5つは「認められず」としました。一方で職員へのパワハラは、16の行為について評価が行われ、そのうち10行為をパワハラと認定しました。
また、「公益通報者保護法違反にあたるかどうか」の調査では、斎藤知事らが元県民局長の処分に関与したことは「極めて不当」だとしたほか、知事が指示した告発者さがしは「違法」だと指摘しました。
一連の問題をめぐっては、3月4日に県議会議員で構成される百条委員会が調査報告書を公表しています。第三者委員会と百条委員会、それぞれの結論を比べてみました。
【職員へのパワハラ】
百条委員会…パワハラと言っても過言ではない不適切なもの
第三者委員会…10の行為をパワハラ認定
【公益通報への対応】
百条委員会…公益通報者保護法違反の可能性が高い
第三者委員会…斎藤知事らが処分に関与したことは極めて不当。告発者をさがしは違法
第三者委の調査結果は、百条委に比べて強い言葉が使われていて、踏み込んだ結論であることがうかがえます。
大正大学・江藤俊昭教授は「知事の処分を決めるのは、基本的には知事自身」という見解を示していて、その理由として以下の3点を挙げています。
▽自治体は特別職(知事や副知事など)に懲戒処分はできない
▽議会から不信任決議は“伝家の宝刀”…すでに一度、不信任決議を出している。2度目を出すなら相当の理由が必要
▽住民からのリコール(署名を集め住民投票を行い解職を請求できる制度)は現実的ではない…兵庫県の場合66万人の署名が必要であるため
百条委の結論を『ひとつの見解』と受け止めた知事だが…
斎藤知事のこれまでの発言を振り返ってみると、「ハラスメントは最終的に司法の場で判断される」という発言を去年12月以降、何度も口にしています。
この発言について、日本大学・林紀行教授は「第三者委員会は、法律家で構成されるが“司法”ではない」としたうえで、斎藤知事が考える「司法の場」が「裁判」であるなら、現実的な話とは言えないと指摘しています。
また、斎藤知事は百条委員会の報告書に対して「ひとつの見解」と発言し、「告発文書への対応は問題なかった」という主張を繰り返しています。
これについて林教授は「比べるものではないが、法的根拠は百条委員会の方が強い。第三者委員会の結果をどこまで受け止めるのか…?」としています。
百条委員会は地方自治法の百条に定められた強い権限を持った委員会。一方で第三者委員会は、執行部が作った要綱に基づいて調査が行われます。影響力が大きい百条委を“ひとつの見解”と受け止めるなら、第三者委の結論にどこまで反応するのか?ということです。
斎藤知事の今後について、大正大学・江藤教授は「普通であれば知事を辞めると思うが、これまでを考えるとどうなのか?」といいます。また、日本大学・林教授は「これまでの姿勢を貫くのであれば、相応の説明が必要」という見解を示しています。
「調査結果が出る前に不信任を出したのがミス」との見解も
兵庫県議会の動きを見てみます。第三者委の調査結果が公表された3月19日、最大会派の自民党県議団・北野幹事長は「知事の判断や対応を受けて議会として対応していく」と表明。24日には、共産党の県議団が兵庫県に知事の辞職を求める声明を提出しています。
今後、議会ができることとして「不信任」「辞職勧告」「問責決議」が挙げられますが、法的拘束力があるのは不信任のみです。林教授は「本来なら決議すべき不信任も2回目となり非常にハードルが高い」、江藤教授は「“何もしない”はさすがにないのでは。辞職勧告や問責決議でお茶を濁す可能性も」としています。
また、林教授と江藤教授は「そもそも議会は、調査結果が出る前に不信任を出したのがミス。あやふやな状況で選挙をした」との見解も示しています。
兵庫県民は実際どうなの?MBSが独自調査
では、“パワハラ認定”で県民の思いはどうなのか?MBSの番組「よんチャンTV」が、兵庫県民の視聴者2902人にLINE調査を実施したところ、以下のような結果となりました。
【去年の知事選で斎藤氏に投票した?】
はい:34%
いいえ:59%
無投票:7%
【もしも今『知事選』をしたら斎藤氏に投票する?】
はい:34%
いいえ:65%
わからない:1%
あくまでも一部の県民への調査ですが、2つの回答結果に大きな違いは見られず、百条委や第三者委の結論は“県民の意見”には大きな影響を及ぼしていないのかもしれません。
また、24日、兵庫県で県民に話を聞いたところ、「報告書を真摯に受け止めて自ら(進退を)判断するべき。知事をダラダラ続けるのはどうかと思う」などの声が聞かれた一方、知事“続投派”の人からは次のような意見が聞かれました。
(70代)「選挙ばかり続くのも困るので、部下に厳しいのをやめて続けてもいいのでは」
(40代)「子どもが恩恵を受けているので続けてもいいと思う。パワハラはやめて」
(30代)「ほかの候補者よりも信頼できると思って前回投票した。次もあれば投票する」
(90代)「知事も大人になってきているので続けていいと思う」
斎藤知事は今回の結論を受けてどのような見解を示すのでしょうか。3月26日以降の発言が注目されます。
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