2025年02月21日(金)公開
斎藤知事めぐる百条委員会の「調査報告書案」が判明...告発文書は"おおむね事実"と記載か 専門家は「一定の結論、出せているのでは」
解説
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑で元県民局長から告発された問題。兵庫県議会では去年6月、百条委員会を設置し調査が続けられています。 2月18日、百条委員会は非公開で協議会を行い各会派の意見を取りまとめた調査報告書案が提示され、複数の関係者への取材でその内容が明らかになりました。法政大学大学院・白鳥浩教授は報告書案をどう見るのか、取材してまとめました。
告発文書は“おおむね事実”か 調査報告書案が提示
2月18日、百条委員会で各会派の意見を取りまとめた報告書案が提示されました。
【百条委員会の報告書案より】
・斎藤知事の職員への強い叱責は事実と評価、告発文書はおおむね事実
※ただしパワハラを含めいずれの疑惑も完全に断定はせず
・告発者の特定はすべきでなく、元県民局長の地位回復を
「憶測もあるが」という文言や、知事選に向けた経済団体への投票依頼の疑惑などについては、「記載内容を裏付ける証言などは確認できなかった」と書かれているということで完全に断定をしていません。
一方で、「告発者の特定はすべきではなかった。元県民局長の地位回復を」と明言していて、そもそも公益通報者の探索を許されず、不当な調査に基づく処分がなされているとして、名誉回復のため処分撤回を提言する文言が盛り込まれていたということです。
「維新の会派が原案に反対、大多数は賛成」
百条委員会の報告書案の内容について法政大学大学院・白鳥浩教授は「あくまで調査した結果を受けての“見立て”であり、その前提では一定の“結論”を出せているのではないか」ということです。ただ詳細・結果については3月わかってくるということです。
そして、3月に公表する内容についても白鳥教授は「維新の会派が原案に反対しているが、大多数は賛成している」ことから、現時点で出ているこの報告書案の内容と、3月に改めて公開される結果としてはそう大きくは変わらないとみています。
元厚労省官僚・豊田氏「最終的に違法性の判断をするのは裁判所」
一連の動きについて元厚労省官僚・豊田真由子氏は次のように指摘します。
ーーーそもそも、情報漏洩が問題だと百条委員会で言ってきたのに、まだ公表されていない報告書案が漏れて議論されていることについて問題ないのかと思う。
百条委員会は地方自治法100条に根拠がある議会の中に設けられた調査をすることができるという特別委員会で、あくまでも政治家たる議員たちが委員となって判断している。百条委員会の意見は大事ですが、調査した結果、百条委員会はこう考えましたという結論を出しただけで、違法性の判断とかはまた別で、その判断を最終的するのは裁判所だということが大事だと思う。
結果が出たあと議会はどうする?
百条委員会の報告書の結果が出た後、兵庫県議会としては斎藤知事に対しどういう行動をするのでしょうか。
選択肢として、「何もしない」「辞職勧告を出す」「不信任決議案を出す」という3つがありますが、白鳥教授は「一定の調査結果が出ても、知事が再選していることもあるので、バランスを考えて形式上の『辞職勧告』をするのではないか」と自身の考えとして推測しました。
百条委をめぐっては、維新会派から参加している県議が、身を引く意向を示しているなど、様々な問題が絡み合っています。3月までの議論を経て、どのような結論になるのか、最後まで目が離せません。
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