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玉木氏が譲歩ライン示唆!?「150万円以上は絶対」「試合は終わっていません」単独インタビューで語る 与党との攻防戦、決着は『2月が山場』か【103万円の壁】

解説

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 いわゆる「年収103万円」の壁を巡る国民民主党と与党との協議が難航しています。政府・与党は当初、壁を123万円に引き上げる方針を示しましたが、国民民主党は178万円への引き上げを目指していて、両者の主張には大きな隔たりがあります。そうした中、キーマンである国民民主党・玉木雄一郎氏がMBSの単独取材に応じました。

「話にならない」「10分で離席」も…これまでの経緯

▼12月11日、自民・公明と国民民主は「178万円」を目指すことで合意

▼合意を受け、国民民主は自民党の補正予算に賛成
(国民民主の賛成がなければ、自公だけでは少数与党となる。国民民主は予算可決と引き換えに「壁問題」の話し合いをしたいという狙い)

▼12月13日、最初の話し合いで与党が提示したのは「123万円」

▼国民民主の「178万円」と大きな開きがあり、議論はやり直しに

▼12月17日、与党から新たな提案はなく、交渉決裂かとも言われたが、12月20日に自公国の幹事長が会談し「協議は継続」

壁の引き上げで「手取り年収」はいくら変わる?

 自民・公明が提示する「123万円」の場合、今までの手取りに比べて、増える年収は年収300万円の場合5100円、年収800万円で2万400円。一方、国民民主案の「178万円」の場合、年収300万円で11万3300円、年収800万円で22万8200円増える計算になります(落合孝裕税理士による試算)。

 ただ、壁の引き上げにより、税収は減ってしまいます。自公案では、税の減収は6000~7000億円であるのに対し、国民民主案は約7兆6000億円とも言われています。

 国民民主は、最低賃金などをベースに、「178万円」を提案しているということです。

「150万円以上でないと…」玉木氏に聞く、本音

 このまま話し合いがまとまらないと、時間切れに!?玉木氏は123万円でも納得するのか、目指しているラインはあるのか、聞きました。

 (Q、協議見送りの理由は?)
 (玉木氏)「自民党税調会長の予定が合わないということで全部吹っ飛んだみたいですね。宮沢さんが何か都合が悪いからと。これより大事な予定があるのかと」

 (Q、年内の協議はもうなさそう?)
 「いや、再調整して我々いつでもやりたいと思ってます」

 (Q、10分で交渉打ち切りにしたことについては?)
 「椅子に座らずにそのまま出て行ったと言われてますけど、古川税調会長に確認したら座ったそうですから、そんな無礼なことはしてない。(案が)全く出てこないので席を立ったと。そしたら後で(一部報道で)『本当は140万円ぐらいあったんだけどな』とか。だったらそこで言ってよと思いません?5分、10分あったら言えるんだから」

 (Q、178万円でなければ123万円?その間も考えている?)
 「できるだけ178万円を目指して近づけていくのが我々の立場」

 (Q、財源の問題は?)
 「103万円から123万円にあげた時に(与党税制改正大綱に)『特段の財源確保措置を要しない』とわざわざ書いてる。20万円あげるときは新たな財源はいらないと言っておいて、我々の178万円のときはいると。じゃあ21万円、22万円だったら?(財源確保措置が不要で)いけるところはどこまでか教えて欲しいですよ」

 (Q、いくら以上にはしたい?)
 「123万円以上は絶対しなきゃいけない。あとは特定扶養控除が150万円までいけたわけですから、150万円以上には絶対決まっていかないと。他の制度との整合性も最低限取っていかないといけない。もし(自民党が)140万円の案を持ってるんだとしたら、140万円がスタートライン」

 自民公明の両党は来年の通常国会について、来年1月24日召集で政府側と調整を進める方針で、そこが交渉の一つの区切りとなります。玉木氏は、取材の中で2月末まで少しでも値段を上げていく交渉を続けていくと述べました。

「壁」引き上げの根拠は?

 「103万円の壁」には、所得税が発生する壁と、扶養から外れる壁の2種類があります。後者は、配偶者や大学生の扶養控除に関わるもので、世帯収入に大きな影響を与えます。

①低い基礎控除額
玉木氏は、すべての納税者が受けられる基礎控除額(48万円)が低すぎると指摘。生活保護の平均支給額が年間約100万円であるのに対し、基礎控除額は48万円にとどまっており、生活保護以下の水準で生活を保障されていることになります。

②30年前から据え置きの“壁”
さらに、103万円の壁は30年前から据え置かれており、物価上昇を考慮すると、現在の103万円の壁は実質的に150~160万円に相当すると玉木氏は主張しています。

③扶養控除の壁との整合性
また、配偶者特別控除の壁が150万円であることから、整合性をとるためにも103万円の壁を引き上げるべきだと訴えています。

政治ジャーナリスト・田崎史郎氏「2月が山場」

 政治ジャーナリストの田崎史郎氏は、103万円の壁を巡る与党と国民民主党の交渉について、「2月が山場」との見方を示しています。

 通常国会が召集される予定の1月24日以降も、両党間で激しい駆け引きが続くとみられ、最終的な決着は2月末頃になる可能性が高いとみられています。

2024年12月26日(木)現在の情報です

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