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『Amazonファーマシー』薬局いかずにネットで処方!?新たな薬局のカタチで生活への影響は・・・便利になる?災害時などの地域医療インフラは?

解説

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 7月23日に始まった新たなサービス「Amazonファーマシー」。便利になる?はたまた、長い目で見たら何か問題に?「薬局事情」がどう変わっていくのか、解説します。

薬局に行かずにネットで処方?「Amazonファーマシー」ってどんなサービス?

薬を処方してもらう手順はこちら

①医療機関で診療を受け、「電子処方箋」を取得
 ”病院まず行く”という今は前提です。「電子処方箋」2023年の1月かはら始まりました。データ管理されまして、アプリで閲覧することが可能で、医療機関などがいろいろな情報を統合するという便利さもあるということです。

②アプリで「薬局」を選び、処方内容を送る
 「Amazonファーマシー」のアプリで選べる薬局は、(2024年7月現在)全国2500店舗あります。大手薬局のwelciaだけで約1900店舗登録されています。

③ビデオ通話で服薬指導を受けて会計
 アプリに登録されている薬局の薬剤師とオンラインで服薬指導を受け、その薬局から薬が送られてくるというシステムです。

④配送された処方薬を受け取る

物流や配送料は?

 薬局から配送される配送料は今のところ「Amazonの物流フォームを使わない」そうです。各薬局から配送されるので薬局によって配送料に”差”があります。多くの場合は「有料」です。したがって、直接調剤薬局行った方が、その部分はコストが安い、というのが現状の仕組みです。

メリットとデメリットを比較

 今までも他の業者が同様のサービスを実施していましたが、大手・アマゾンが始めるということで、インパクトは大きいようです。

【メリット】
・待ち時間がなし
お子さんが病院の診察までは我慢できたけれど、また薬局でお子さんを連れて待つのがつらいという保護者にも大変朗報かもしれません。

・「非接触」
あまり人と接触したくない、対面したくないという場合、特に感染症が流行っている時期は、大きなメリットに

・過疎地への配送
近くに薬局がなくて不便という方には利便性が上がります。

・電子処方箋の普及率が低い

・個人薬局には手数料が負担
 薬の価格は公定価格で決まっていて、「努力したから儲けが増やせる」という幅が小さい業種ではあるそうで、「手数料」は個人にとっては負担になる可能性もあります。

・そもそもネットへのハードル
 薬局や病院をよく利用する高齢者にとって、ネットがどこまで使いこなせるかというのは大きなハードルかもしれません。

増大する医療費・・・

日本医療にとって”医療費の削減”というのは重要なテーマの一つです。

 2018年度に42兆だったものが、ここ4年で46兆に。3兆以上増えており、国家予算の中でかなりの負担になっていることは確かです。このうち、約8兆近くは調剤医療費という薬に関わるお金。

 さらには健康保険料も上がっています。高齢化社会で医療費負担は重く、少しずつ全員で負担しないと、健康保険が成り立たなくなっているというのが現状です。

”とりあえずお薬”を省きたい

 訪問医療で高齢者の家に行ったときに、タンスの中から薬がいっぱい出てきたとそういうこともあるそう。こうした薬の無駄を省くのに電子処方箋が一躍担えるということなんです。

 例えば、眼科でも痛みどめ出されたけど内科でも同じ痛みどめ出されて、余っている、もしくは受けなくていいのに貰ってしまうってことはあると思いますが、電子処方箋で一括管理することができます。

 でも、今の電子処方箋の普及率はたった「2%」

 薬局は比較的高いですが、医療機関はシステムの大改修が必要でなかなか入れられないということもあって進んでいないそうです。

お薬は”かかりつけ薬局”で

 薬をもらうとき病院の近くの処方調剤薬局でもらうのというのがこれまで”ありがち”でした。バラバラだと何の薬が出てるか把握できないので、一括管理が今まで難しかったということです。
 かかりつけ薬局制度が成立すれば、薬局が把握できますので薬の重複も判断でき、無駄が減らせるとため、こうした動きになっているそうです。

 ちょっと具合悪かったら病院のいつもの先生に診てもらおう、ちょっとした風邪でも、少しどこか痛いだけで病院行く。特に高齢者の皆さんはあると聞きましたが皆さんいかがでしょうか?

 病院に行く前にかかりつけ薬局の薬剤師さんに尋ねることで、「そういう症状だったらあそこの先生の何かがいいんじゃないですか」というコンサルティングのような相談に乗ってくれたり、市販薬の紹介をしてくれることもあります。

 ちなみに、ヨーロッパでは逆に医療機関には高くてなかなか行けないので、薬局に行くという仕組みになっていて、日本も目指しているそうです。

同じ薬でも薬局によって値段が違う!?

 同じ薬でも、町にある小さな個人経営の薬局は450円、一方、病院の中にある薬局では50円、大手の薬局は190円だったりと差があります。
 経営が大変なところは支えましょうという仕組みで、根本には、町に薬局はなくなったら困るという考え方です。

 しかし、Amazonファーマシーになると、客としては安いところを選ぶようになる可能性もあり個人経営の薬局にとってはもっと厳しくなるかもしれません。

 アメリカでは調剤薬局自体をAmazonがやっています。Amazon以外にもファーマシーサービスがある地域もあり、多くの人が利用しているといいます。一方でリアルの薬局もまだ需要はあり、対抗してとしてヨガのイベントや栄養セミナーを開催して、存続のため、努力をしているそうです。

 日本でも町の薬局自体少なくなるという可能性は十分考えられますが
災害時には、実は薬局が医療インフラを緊急的にどう構築するか、訓練が行われていたりと重要な地域医療の担い手でもあります。

 国民の生命健康のためには、目先の便利さだけでなく、長い目で見てバランスを取れる政策を早急に考えなくてはいけないのではないでしょうか。

(2024年7月24日放送 よんチャンTV)

2024年07月26日(金)現在の情報です

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