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1型糖尿病と闘う元阪神投手・岩田稔さんが同じ病を患う15歳選手にエール 少年は中3の秋に発症...春から野球強豪校へ「1型糖尿病の人に夢を与えられる選手になりたい」

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 1型糖尿病と闘いながら、阪神で16年間プロ生活を続けた岩田稔さん。引退後は野球解説の仕事とともに、糖尿病の啓発活動に取り組んでいます。今回、岩田さんが訪れたのは「関メディベースボールラボ」。そこには、同じ1型糖尿病を患っている中学生の選手がいました。 「1型糖尿病でもプロになれる!」同じ病気と闘う生徒に岩田さんが伝える想いとは..?◎岩田稔:元阪神タイガース 大阪府守口市出身 2021年まで阪神で16年間活躍 通算60勝 引退後は1型糖尿病の啓発活動に尽力

「1型糖尿病」と闘いながらプロ野球選手を目指す15歳

 岩田さんが向かったのは、中学生の硬式野球チーム「関メディベースボール学院」の練習場所です。取材した日は、間もなく高校生となる3年生の練習でした。「関メディベースボール学院」は、中学生の野球リーグ「ポニーリーグ」に所属。今年度は2度の全国大会で優勝と準優勝という輝かしい実績を誇る強豪です。前回のプロ野球ドラフト会議で阪神タイガースから2巡目で指名された今朝丸裕喜投手もこのチームの出身です。

 (岩田稔さん)「みんな楽しそうにやっていますよね。これだけ同級生がいるチームはなかなかないですよ。僕が中学生のとき同級生3人しかいなかったですよ」

 このチームに、岩田さんと同じく「1型糖尿病」を患っている選手がいるんです。内野手・釣船一輝くん(15)。チームでは主にセカンドを守ります。
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 1型糖尿病を発症したからといって、体力や野球の実力が落ちるといったことはないそうですが、激しい動きを続けると「低血糖状態」になり、体のふるえや動悸などの症状が出てしまいます。そこで絶対に必要なのが、食事をとる前のインスリン投与です。最近はこの注射にも慣れて、練習もチームメイトと同じメニューをこなしています。
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中3の秋に発症「高校側がOKしてくれるかどうかも不安で…」

 4月から親元を離れ、神奈川県の野球強豪校に進む釣船くん。実は、1型糖尿病を発症したのは中学3年生の秋。まさに進路をどうするべきか決断する直前のことでした。

 (岩田稔さん)「1型糖尿病を発症したときが人生において大事な時期だったと聞いています」
 (釣船一輝くん)「これから高校を決めていく中で1型糖尿病で、高校側がOKしてくれるかどうかも不安で、やっていけるかもイメージつかない中で、声をかけてもらった高校に、現段階で野球部に1型糖尿病の先輩がいるのを聞いて、体制は大丈夫というのを聞いて監督さんとも話して決めました」

 岩田さんが「糖尿病への理解」の啓発活動の中で大事にしているのが、発症した人を支える周囲の人への話だと言います。釣船くんのチームメイトには1型糖尿病を知っている人も複数いましたが、本当に理解してもらうために厳しい話も…
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 (岩田稔さん)「低血糖というのがあって血糖値が下がっていってしまって、最悪、昏睡状態になって死んでしまうことも起こりうる病気。周りのみんなが低血糖という症状を知っていればすごく救われる。ひとりだけのことに対してなんやねん…ということかもしれないけど、それがいろいろつながって全体にいい流れを持っていくと思うので、チームメイトを支えていくのも野球部には必要。助け合いのスポーツやしチームプレーも大事やから」

釣船くんの気持ちは前を向く「岩田さんみたいにプロ野球選手になって…」

 これからも病気とつきあっていかなければならない釣船くん、しかし、気持ちは前をまっすぐ見ていました。

 (釣船一輝くん)「最初は不安な気持ちと“いけるかな…”という気持ちがあったんですけど、入院しているときに岩田さんの本を読んで“やらなしゃーない!”という言葉があって、これからも大好きな野球を続けていきたいという気持ちになりました。1型糖尿病でもプロになるという目標は変わらなかった」
 (岩田稔さん)「その目標に対してブレない気持ちがあったから頑張ろうって思えたんだね。いい気持ち持ってるね!」
 (釣船一輝くん)「ありがとうございます。まず高校では甲子園出場を目標に頑張っていきたいと思います。最終的な目標は岩田さんみたいにプロ野球選手になって、1型糖尿病の人に夢を与えられるような選手になりたい」
 (岩田稔さん)「口に出していかなあかん、いろいろと。口に出すことで自分が変わっていくし、行動もどんどん変わっていくから。しっかり積み重ねていけば夢は近づいてくると思います」
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2025年03月21日(金)現在の情報です

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