2025年06月05日(木)公開
「買えると思ってなかったからうれしい」兵庫のスーパーで随意契約米の販売開始...160袋が即完売の店舗も きょうからコンビニの店頭にも「古古古米」
編集部セレクト
高騰が続くコメ。随意契約米がスーパーで出回り始め、コンビニでも販売の動きがみられています。こうした中、街の米穀店の状況は?生産者は備蓄米をめぐる動きをどう見ているのか。取材しました。
小泉大臣が新方針「できることは全部やります」
今週発表されたスーパーでのコメの平均価格(5月19日~25日)は、5kgあたり4260円と3週ぶりに値下がり(農林水産省より)。一般銘柄米やブレンド米も下がっているものの、依然として価格の幅は大きい状況となっています。
3極化するコメの価格に6月3日、小泉農水大臣は…
(小泉進次郎農林水産大臣)「1回目から3回目の入札米が少し高めの水準になる。扱いに困っているところがありましたら遠慮なくお申し出をいただいて、次なる展開へと使っていきたい」
これまで「競争入札」で放出された備蓄米について、業者が返還を希望する場合は、政府が買い戻す考えを示しました。返還された備蓄米を「随意契約」に回し、再度放出することで店頭に安く並ぶコメを増やすという方針です。
さらに4日、「できることは全部やります」と話した小泉農水大臣は、残る備蓄米30万tの一部について日本酒や味噌などの原料とする「加工用」として放出を検討していると明らかにしました。
(小泉進次郎農林水産大臣)「日本酒作りに励んでいる皆さんからは、『酒米が高い』、『足りない』。味噌とかこういった関係の皆さんからもいま影響が出ていると聞いている。お米は主食用米だけではないですから、こういったことについてもきめ細かい目配りは必要」
5日からコンビニでも備蓄米の販売開始
一方で大手コンビニでも…。
続々と精米されていたのはコンビニ大手「ファミリーマート」で販売される「古古古米」です。ファミリーマートでは、6月6日だった販売予定を1日前倒しし、5日に東京と大阪の一部店舗で販売を開始しました。価格は1kg388円(税込み)で順次全国展開を目指します。
ローソンでも一部店舗で、1kg389円(税込み)、2kg756円(税込み)で販売開始。セブンイレブンは無洗米に加工し、2kg800円前後とする見込みです。
兵庫県のスーパーでも販売スタート 用意された160袋が即完売の店舗も
そんな中、兵庫県でも随意契約による備蓄米の販売が始まりました。県内で68店舗を展開するスーパー「マルアイ」。今回2600tを随意契約。全店舗で1家族1点限り、5kg2111円(税込み)で4日から販売しています。
1店舗あたり80袋から160袋を準備。「マルアイ神野店」では160袋が並べられました。混乱を避けるため、事前に整理券が配布されましたが、開店30分前で…
(従業員)「きょうの配布は終了しました!明日以降も配りますので、また明日お越しください!」
先頭の人は…
「(Q何時からここに?)5時半!(コメを買いに)並ぶこと自体がね…主食やから。もうちょっと(この値段で)流通をよくしてもらわんとね」
店は15分前倒しでオープン。160袋はすぐ完売となりました。購入者からはこのような声が聞かれました。
「ちょうどお米がきれたので助かりました!」
「うれしいですよ。買えると思っていなかったので。ちょっと1回炊いてみて食べてみたい」
マルアイではいったん7日(土)までの4日間、備蓄米の販売を予定しています。
いまだに回ってこない入札での備蓄米
一方、街の米穀店はどんな状況なのでしょうか。1日に150人以上がコメを買いに訪れるという大阪の米穀店「滋賀米穀本店」。コメの小売店などを対象にした21年産の備蓄米「古古古米」の随意契約に申し込みました。
(滋賀米穀・本店 広崎太一さん)「(Q申し込んでからの動きは?)全然ないです。いつ来るかはわかりませんね。もう一日も早く欲しいですが。まだもっと欲しいですけど、どんなコメかわからないので。産地も銘柄もわからない。そんなコメ、ちょっと不安ですわね…」
今回、30t分を申し込んだ滋賀米穀。随意契約では「最低10tからの購入」や「8月までに売り切る」などの条件がありましたが、とにかくコメが足りず欲しかったといいます。
(滋賀米穀・本店 広崎太一さん)「全然(店頭にコメが)足りませんわ。いまは売れすぎですわ。やっぱりみんなコメが無いからね。消費者の買いだめもありますわね。(入札の備蓄米は)全然。卸売問屋さん自体が私らの方に回してくれない。(Qなぜ?)卸売業者は自分のところのお得意さんやスーパーのところへ回してしまう。今さら(卸売業者で)余ってきているから『買い戻し』とか言ってますけどね。勝手ですわ」
最初に放出された入札での備蓄米もいまだに回って来ないそうです。
一方、古古古米は、小泉大臣が言う1800円台という価格で利益は出るのでしょうか?
(滋賀米穀・本店 広崎太一さん)「私のところは家族とか、内輪でやっていますのでね。家賃も人件費も何もいりませんので、利益は十分にある。(消費者にとっても)前の値段に戻るくらいです。高くなる前の値段に」
コメ農家から見た「新米」の価格見通しは?
こうした備蓄米などの現状を、生産者はどう見ているのでしょうか?滋賀県の近江八幡市のコメ農家の2代目・三宅寛穂さん(53)にお話を聞きました。田んぼを見せてもらうと…
(三宅寛穂さん)「(田植えしてから)1か月ちょっとたつので、今年も夏が暑いということで、いつ取れるかわからないですけど、ちょっと期待して楽しみにしています」
順調にいけば、8月上旬には収穫予定だそうです。店頭での販売が広がり始めた随意契約の備蓄米については…
(三宅寛穂さん)「消費者としては2000円とか4000円とか(価格で)選べるのはいいのでは」
一方、気になる新米の価格の見通しについては…
(三宅寛穂さん)「農協が出した価格が、意外と高値で推移しているので、今年は農家としては(利益が)期待できるのではないかなと思います」
消費者にとっては新米も高止まりの気配です。三宅さんは5kgで3000円から3500円くらいに落ち着くことが生産者にとっても消費者にとっても「適正な価格」ではないかと言います。
(三宅寛穂さん)「僕らとしてはできるだけおいしいコメをたくさんの方に食べていただきたい。そこ(の仕事)に対する価格の評価を、きちっとしていただきたいということ」
備蓄米も含めコメの価格は今後、どうなっていくのでしょうか。
2025年06月05日(木)現在の情報です