2026年01月25日(日)公開
『摂食障害で体重26kg』"いじめ重大事態"と認定されず提訴決意...いじめと闘った元同級生が支援「辛い気持ち絶対変わるよ」
編集部セレクト

なくならない学校での「いじめ』の問題。文部科学省によりますと、2024年度のいじめの認知件数はで約77万件で、過去最多となっています。 そんななか、中学時代にいじめを受けた大阪・高槻市在住の高校3年生は、同じように苦しむ同級生と一緒に『いじめと闘う』ことを決めました。 闘う子どもたちの思いとは――。
いじめで「適応障害」に…中学生のころ、不登校になった生徒

大阪府高槻市に住む高校3年のレイさん(仮名・18)。充実した高校生活を送っていますが、中学まではいじめに悩んでいました。
3年前、当時中学3年だったレイさんは15歳の誕生日を迎えていました。家族の前では笑顔を見せますが、このとき学校に通うことはできていませんでした。
(中学3年(当時)・レイさん)「学校の土地に入ることが嫌やった感じですね。学校自体に拒否感を覚えるし、先生も嫌やし全部嫌みたいな」
始まりは小学5年のとき。いじめられている友達をかばううちに、自分が標的に。集団で悪口を浴びせられ続け、学校に行けなくなったのです。
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(母・麻衣子さん)「嗚咽。過呼吸のような感じで、ランドセルに準備をしながら泣き崩れていて、(学校に)行った方がいいと私も思っていましたが、その姿を見て『行かなくていい』って」
学校が仲介に入り、レイさんといじめた男子児童の間に「できる限り接触しない」という約束が交わされました。
中学には最初は普通に通っていましたが、半年ほどすると、小学校の時と同じ男子生徒からまたからかわれ始めました。
そして中学3年の10月に、教員の目の前で「殴りたい」「殺したい」といわれたことが決め手となり、再び不登校に。医師からは、いじめによる「適応障害」と診断されました。
(中学3年(当時)・レイさん)「吐きそうになるし、嫌悪感とかいろんなマイナスな気持ちが出てくる感じ」
「安心して学校に行きたい」 加害生徒の「出席停止」を訴えるも…

「安心して学校に行きたい」と、レイさん(仮名)は国が定める制度を適用して、加害生徒の出席停止を学校側に求めることにしました。
「出席停止制度」は問題行動が多く、ほかの子ども達にとって教育の妨げがあると認定された児童生徒の登校を制限できるというものです。
しかし、家族によると、高槻市教育委員会は「大きく学校の秩序が乱れているという報告は受けていない」とした上で、「今回は出席停止にする事案ではない」と説明したといいます。
レイさんはその後も訴え続けましたが、方針が覆ることはありませんでした。
中学最後の日…「せめて卒業式だけは」思いが叶い友達とも再会

卒業式の前日。レイさん(仮名)は教育委員会に向かっていました。「せめて卒業式だけは出席したい」と直談判することにしたのです。
教育委員会の担当者を前に、耐え忍んできた辛い思いがあふれます。
(レイさん(仮名))「5か月間、自分で一人で受験勉強して友達と過ごす時間もとられて、最後の一日くらいはうちが心配なく過ごせるようにしてください」
この日の夜、校長と担任らが自宅を訪れ、状況が一変します。レイさんさんが卒業式に出席している間、加害生徒は別室で待機することになったのです。
(レイさん)「なんか報われた感じがして」
(母・麻衣子さん)「あした思いきり楽しめるもんな」
(レイさん)「楽しみでうれしい」
(母・麻衣子さん)「あした一日だけやけどな」
中学最後の日にようやく叶った登校。久しぶりの友達との再会に笑顔を見せます。
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(レイさん)「普通に高校生活を過ごせるのが目標やね」
(母・麻衣子さん)「普通のすごさがわかった感じ?」
(レイさん)「うん、分かったよ」
同じ境遇の同級生はいじめで「摂食障害」に ”いじめ認定”されず

レイさん(仮名)さんは自ら働きかけ卒業式に出られたことで気持ちに区切りをつけられました。いじめもなく高校生活を楽しむ一方でひとつ気になっていることがありました。
同じ時期にいじめを受け、今も苦しむ元同級生の存在です。
レイさんと同じ中学校出身のさとみさん(仮名)。中学2年の時仲の良かった女子4人から突然、無視されるなどして居場所を失ったといいます。
さとみさんは心身の調子を崩し、「摂食障害」と診断されました。体重は20kgロ落ち26kgに。半年間入院し、学校は約240日欠席しました。
さとみさんの母親は、学校に対して「いじめ重大事態」として調査を依頼すると学校からは謝罪され、「いじめの重大な事態だと認識している」などと伝えられたといいます。
しかし、その後、正式にいじめとは認定されていなかったことが分かったのです。
いじめ経験者として寄り添う

さとみさんは今も精神的に不安定で薬を服用しています。
(さとみさん(仮名)の母)「薬(抗うつ剤)もね、減らしたいという意思はあるんですけど、減らすと体調が悪くなって起き上がれなくないということがある。また吐いてみたいな」
同じような境遇から抜け出したレイさん。なにかさとみさんの力になれることはないか、お互いの家族や友人らで集まり話し合うようになりました。
(高校3年生・レイさん)「今より少しでも良い方向にというので十分だと思うので、それこそ適応障害にもなっていたけど(治せたから)、少しでも力になれるように。良い方向に向かえるように」
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レイさんは、いじめ経験者としてさとみさんに寄り添います。
「なんでこっちがこんな思いを…」高槻市を相手に裁判を決意
そして、みんなで相談したすえ、さとみさん(仮名)は高槻市を相手に裁判を起こすことを決意しました。レイさん(仮名)が卒業式に出られたことで立ち直れたように、「いじめ重大事態」に認定しなかった市教委の当時の対応が適切ではなかったと裁判で認められれば、気持ちに整理がつけられるかもしれないと考えました。
(さとみさん)「なんでこっちがこんな(つらい)思いしないとあかんのかな。なんでこっちが半年も入院してみたいな。(中学卒業まで)1年半も無駄にしてみたいな、それがとても悔しかったかな」
(レイさん)「今回の訴訟とかでそれがなんか改善されたりするかもしれへんな」
(さとみさん)「確かに…」
(レイさん)「(もし私は)卒業式出られていなかったら壊れていたと思うもん」
(さとみさん)「だいぶ人生壊れているよな」
(レイさん)「絶対変わるよ(つらい)気持ちが。あとのために今がんばろう。今しんどいかもしれないけど、これ(提訴)終わったら気が楽やから、その時のためにがんばろう今」
”自分以外の子たちが苦しむことにならないようにちゃんとしてほしい”

これまで自分が受けた”いじめ”のことをあまり話さなかったさとみさん(仮名)。訴状に反映するため、弁護士の聞き取りに辛い思い出をぽつぽつと語り始めます。
(さとみさん)「自分がいないように扱われているみたいな。すごくつらかったです。自分が死にかけたからこそ、訴訟することによって、自分以外の子たちがそんな(苦しむ)ことにならないように学校側とか市とかちゃんとしてほしいなと思います」
(レイさん)「そのまま言いたくないっていう過去にするんじゃなくて、ポジティブな方へ変換できると思うし、そうするために訴訟は良い役割をしてくれると思うので」
去年12月、さとみさんと母親は、高槻市を相手取り大阪地裁に提訴しました。「いじめ重大事態」として調査を依頼したのに、市側がきちんと対応しなかったため苦痛を受けたとして、高槻市に対し、慰謝料など約600万円を求めています。
MBSの取材に対し市教委は「訴状が到着した際には適切に対応します」とコメントしています。
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