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地震で人工呼吸器の電源が喪失...自発呼吸できない娘の命つないだのは"親同士のネットワーク" 取り残される「災害弱者」支援のためできること 地震の備えに大きな課題【阪神・淡路大震災から31年】

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 1月17日で阪神・淡路大震災から31年となります。高齢者や障がい者、乳幼児、外国人などの災害が起きたときに自分で情報収集をしたり避難することが困難で、支援を必要とする「災害弱者」とよばれる人達がいます。 人工呼吸器が24時間欠かせない医療的ケアの必要な娘と母。阪神・淡路大震災で被災した家族は当時どう乗り切ったのか。「災害弱者」に今必要な支援は何か?取材しました。

24時間人工呼吸器が必要な娘と支える母

 神戸市に住む新徳真弓さん(38)。脊髄にある運動神経の異常のため全身の筋力が低下する難病で、自力で身体を動かすことがほとんどできません。

 一緒に暮らす母・順子さん(64)が身の回りの世話をしています。
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 真弓さんはわずかに動かすことができる親指でブザーを鳴らして会話しています。

 (新徳順子さん)「4・5・6・7。いま7回鳴らしたので『7』の…1回だから…『ま』です。『まゆみ』と自分で自分の名前を言いました。こんな感じでふだん言いたいことを言っています」

 (新徳順子さん)「(Q後ろの人形は?)これはお誕生日のときにプレゼントをもらって。もらったものを全て並べていたらこんなにいっぱいになってしまいました。(Q真弓さんは何が好き?)好きなキャラクター何かな?2の『き』4…『て』『1』。キティちゃんが好き?」

 自発呼吸ができない真弓さん。そのため24時間人工呼吸器を付けて生活しています。

 (新徳順子さん)「(Q人工呼吸器がないと?)生きていけません。長くもって1分もつかもたないかくらい」

 人工呼吸器は真弓さんにとって命綱です。

阪神・淡路大震災で被災 停電で人工呼吸器が使えず「手動」で命つなぐ

 1995年1月17日に発生し、6434人の命が奪われた阪神・淡路大震災。

 新徳さん家族が住む神戸・ポートアイランドは大規模な液状化現象により地盤沈下が起きました。家族が住んでいたマンションは無事だったものの、辺り一帯は大規模な停電に。

 真弓さんの人工呼吸器は完全に止まってしまいました。
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 (新徳順子さん)「停電やって言って。すぐに人工呼吸器に代わる手動式の呼吸器『アンビューバッグ』というんですけど、これをひたすら付いてる機械を外して、これでずっと(空気を)送りこんで」

 外出用に持っていた携帯空気ボンベで約6時間しのぎ、その後は手動の呼吸器で空気を送り続けたといいます。発災から12時間後、ようやく電気が復旧。ところが問題は続きます。

 (新徳順子さん)「水が出なくなって人工呼吸器でいうと、加湿器で送られてくる空気に湿気をかけているんですけど、タンクに水を入れられなくってしまう。湿気がないと痰が取れにくくなったり詰まりやすくなったりする。水を汲みにいくのもこの子を連れては無理で、自分だけで水を汲みにいくにしても、誰か留守番してくれる人がいないと無理」

 さらにオムツなどの生活物資も底を尽きかけていました。しかし真弓さんを家に残して外出することはできません。そんな親子を助けた人がいました。

「物資を持っていこう」親子を救ったのは“親同士のネットワーク”

 兵庫県尼崎市に住む平本美代子さん(75)。「人工呼吸器をつけた子の親の会」のメンバーです。19年前に亡くなった夫の弘冨美さんが阪神・淡路大震災の発生当時、「親の会」の会長をしていて、新徳さん親子のもとへ支援に向かいました。

 (人工呼吸器をつけた子の親の会 平本美代子さん)「比較的被害が少なかった大阪近郊の会員さんと相談して、物資を持っていこう。(人工呼吸器の)圧縮ボンベを持っていこうという話になったんです。精製水とかいろんな医療物品を持って行って、空いている入れ物を持って帰って充填してもらってまた届ける」
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 親同士のネットワークにより新徳さん親子は37日間の断水も乗り切り生活を続けることができました。

アンケート調査で浮かび上がった実態は…

 実際に送ったアンケート用紙を見せてもらいました。

 (人工呼吸器をつけた子の親の会・平本美代子さん)「地震発生時、お子さんはどこにいましたか。自宅・病院・その他とか…。被害状況、停電・ガス・水道。健康状態、呼吸器など機器類の損傷」

 平本さん夫婦は震災後、兵庫や大阪に住む会員に被災時の状況をアンケート調査しました。見えてきたのは、行政や地域との繋がりが希薄で、孤立していた家族が多いという実態です。
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 (人工呼吸器をつけた子の親の会 平本美代子さん)「ここに呼吸器をつけたい人が住んでますよっていうのはね。日頃散歩に行ったり外出したり、お買い物に行ったり学校行ったり、普通にやってることをどんどんやっていかないと誰も知らない状態。災害が起こったときに、あそこのあの人どうしてるかなと駆けつけてくれる人がいて、最低限のことをしてもらえる」

国が「個別避難計画」を作成を進めるも…

 こうした人工呼吸器を付けて暮らす人や高齢者などいわゆる「災害弱者」の命を守るために重要なのが「個別避難計画」です。

 「災害弱者」一人一人が避難場所や避難時における必要な配慮などを書き、自治体や地域のヘルパーなどと事前共有を行うための資料です。

 2021年、国は災害対策基本法を改正し住民の個別避難計画の作成を市町村の努力義務にしました。

 神戸市も病状の経過や投薬状況、備えが必要な物品のリストなどが書かれた個別避難計画の作成を進めています。しかし…
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 (神戸市福祉局くらし支援課 筑田英子課長)「24時間の人工呼吸器装着患者の方はほぼ全てが作成済み。重症心身障害児と要介護5の方は1~2割程度です」

 市内に約26万8000人いる対象者に対し、作成が完了している人は約1万2000人と5%以下なのです。

"周囲が積極的にサポートしないと作成は進まない"

 震災を経験した神戸でも思うように進んでいないのはなぜなのでしょうか。

 1月13日、神戸市内の障がい者施設は、市からの委託を受けて個別避難計画の作成をサポートする会を開いていました。

 (神戸医療福祉センターひだまり 河崎洋子院長)「こちらできょう、個別避難計画の作成会を行っています」
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 (子どもが医療的ケア児 参加者)「不安なところも多いので、作成して安心しました」

 しかし、20人の定員に対し出席者はわずか3人だけ。過去にも数回開いていますが、参加者がゼロのときもあったといいます。

 会を開いた施設の医師は「周囲が積極的にサポートしないと作成は進まない」と指摘します。

 (神戸医療福祉センターひだまり 河崎洋子院長)「まず個別避難計画を作るということが、自分で備えるということの第一歩ですけど、そこにやはり人が集まらないということは、どれだけ皆さん自分事として考えられていないか。(日々の生活に)余裕のない方が多いのか。お手伝いしますよっていうことを、私たちも発信し続けて、諦めずに1人でもたくさんの方に備えていただきたいなと」

 本人だけでなく地域が一体となって備えを徹底していくことが災害弱者を取り残さない社会へと繋がります。

2026年01月17日(土)現在の情報です

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