2026年02月28日(土)公開
「カイロス3号機」3月1日に打ち上げへ...今度こそ成功なるか?県内企業もロケット事業に熱視線 スペースワン・豊田社長「着実に前進している。ミッション達成まで行くのでは」
編集部セレクト
東京の宇宙ベンチャー企業「スペースワン」が開発した民間小型ロケット「カイロス」。和歌山県串本町からの打ち上げに挑戦しています。目指すのは、成功すれば民間企業単独として国内初となる搭載した人工衛星を切り離し、宇宙の軌道にのせること。 過去2回の挑戦では、初号機は爆発、2号機は飛行中断となりましたが、3月1日、3度目の打ち上げに挑戦します。 こうした取り組みに、地元の自治体や企業も新たな観光の目玉や産業創出につながると期待しています。熱視線を送る地元や、打ち上げの舞台となる発射場の内部を取材しました。
“国内初”目指して挑戦続ける「カイロス」

おととし3月、和歌山県串本町には、ロケットの打ち上げを見届けようと大勢の宇宙ファンが集まっていました。
東京の宇宙ベンチャー企業「スペースワン」が開発する小型ロケット「カイロス」。ロケットから衛星を切り離し宇宙の軌道にのせることを目指していて、成功すれば民間企業単独としては国内で初めてです。
初号機は爆発、2号機は飛行中断…

ところが2024年3月の打ち上げでは、打ち上げからわずか5秒後に爆発。
9か月後。改良を加えた2号機で再挑戦するも、今度はロケットが大きく旋回。ミッション達成困難で飛行中断措置が取られました。
(打ち上げを見ていた人)
「残念だった」
「今まで上がらなかったですからね。いったん上まで行きましたので。また次がんばってほしい」
「あきらめない限りは失敗はないです。成功するまでやれば、それは成功です」
内部を取材! 日本初・民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」

和歌山県串本町にある日本初の民間ロケット発射場、「スペースポート紀伊」。去年7月、カイロス3号機の挑戦にむけて準備が進む施設の内部に入ることができました。
(スペースポート紀伊・佐藤信政副所長)「射座(しゃざ)組み立てタワーです。タワーの中で1段から順に積み上げることでロケットの形ができあがる。打ち上げの30分前に緑色の部分が後退してロケットがあらわになってそのまま打ち上げに臨む」
発射管制室では、打ち上げから人工衛星の分離まで16人体制でモニタリングします。
(スペースポート紀伊・佐藤信政副所長)「『自律飛行中断』という装置をカイロスロケットは初めて搭載しています。指定のコースを外れたらロケットは自分で破壊する。地上から何かあった時に指令破壊という『飛行中断せよ』のボタンはありません」
スペースワン・豊田社長「ミッション達成できるのでは」意気込み

カイロス3号機の先端、人工衛星を搭載する部分を見せてもらいました。
(スペースポート紀伊・佐藤信政副所長)「ロケットを打ち上げて大気圏を出るまでの間、この中に人工衛星が入ってますので。人工衛星を守っているものです」
3号機では前回、飛行コースを外れた原因と考えられた飛ぶ姿勢を制御する装置などが改良されました。「スペースワン」の豊田正和社長は、今回こそはと力を込めます。
(スペースワン・豊田正和社長)「1号機は残念ながら5.2秒しか飛ばなかった。2号機は187秒飛んでいて宇宙空間にまで届いている。着実に前進はしていると思います。3号機はミッション達成まで行くんじゃないかと思っています」
3号機を成功させ、2030年代には年間約30機を打ち上げ、人工衛星などを宇宙に運ぶ民間ロケットサービスを目指しています。
(スペースワン・豊田正和社長)「衛星にのせたさまざまな機器でデータを利用して、国民への恩恵を図れるようにするのが私どもの使命だと思っています」
和歌山県を「スペースエントランス」へ 期待高まる地元

ロケット事業の拡大に、地元・和歌山県も大きな期待を寄せています。
(和歌山県・宮崎泉知事)「本県が宇宙への玄関口、いわゆる『スペースエントランス』となることを目指しています」
ロケット事業は去年、中国に返還されたパンダに代わる観光の柱になる可能性があります。さらに関連産業が発達すれば、若者の減少も食い止められるかもしれないのです。
“メイドイン和歌山”の衛星打ち上げへ 県内企業らが集結

去年には、東京の企業などとともに、県内の5つの企業が参加して人工衛星の製造や運用などを行う新たな会社「WALL」(有井安仁社長)を設立。まずは2028年度内に「メイドイン和歌山」の衛星をカイロスにのせて打ち上げることを目標にしています。
(屋外照明メーカー)「照明で衛星を光らせるわけではないと思うのですが、LEDの技術や電気の制御などでお手伝いできれば。全く右も左も分からないけどチャレンジしていきたい」
(WEB制作会社)「専門性がそれぞれ違う。最終的には和歌山県がより良くなるようにできればいいなと」
「一から産業育成」で地元の活性化に期待

プロジェクトに参加する和歌山市内の精密機器メーカー・ノーリツプレシジョン。写真館や警察などで使われる高性能のプリンターや、画像処理技術を生かした介護現場の見守り機器などを手掛けています。
(ノーリツプレシジョン・吉井剛社長)「われわれが長年にわたって培ってきた『絶対壊れない・止まらない』そういった信頼性。これがいきるのがまさに宇宙という領域なのではないか」
長年培った画像処理のノウハウは、衛星から送られてくる画像の解析にいかせると考えています。
介護施設に入居している患者の事故を防ぐカメラには、入居者が起き上がるなど、より注意が必要になる兆候を検知して職員に通知する機能があり、少ない人数でも効率的に見守ることができます。これを応用できれば、人工衛星に取り付けたカメラを使って放牧した家畜の状態を把握することなどが可能になるといいます。
吉井社長は、ほかの企業とも連携し、和歌山の宇宙産業を盛り上げたいと話します。
(ノーリツプレシジョン・吉井剛社長)「和歌山で何かやろうと思っても『十分に機会がないのでは』などある意味、諦めみたいなものを持ってしまっている人も多いんじゃないかと。この宇宙という新しい分野で自分たちで一から産業を育成していって、どんどん和歌山を活性化させていく。具体的にはもっと人を和歌山に集めてくることができたらいいなと期待しています」
さまざまな思いものせるカイロス3号機。今度こそ宇宙に人工衛星を届けられるのでしょうか。
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