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【高校再編】加速する"学校の淘汰"改革&授業料無償化先んじた大阪のイマ  影響は公立だけじゃない...生徒の募集停止を決定の私立 受験控える家族は「選択肢残して」

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 2月18日に招集された特別国会でも審議される「高校授業料の無償化」。新制度では法改正により所得制限を撤廃し、すべての高校生が年間約45万円(上限)の補助を受けられるようになります。政府は今年4月から実施したい考えを示しています。 そのなかで大阪府では全国に先駆けて、すでに独自の高校授業料無償化の制度を実施しています。制度の実施によってどのような変化があったのか。大阪府内の高校の現状を取材しました。

自宅周辺の公立高校が次々に募集停止

 大阪府富田林市に住む北谷綾乃さん(55)。5人の子どものうち、末っ子の嶺芽さん(14)は中学2年生で来年、高校受験を控えています。

 (母・綾乃さん)「(高校で)何がしたいん?」
 (嶺芽さん)「高校?なんやろな、文化祭!」

 大阪府では、来年度から「高校の授業料完全無償化」が全学年で実施されますが、私立高校は入学金などが比較的高額になることから、公立を志望しています。

 しかし、ひとつ不安なことが…。自宅周辺の公立高校がここ数年で次々と募集停止になっているのです。

 (嶺芽さん)「(高校が)どんどん減っていくから、自分的にはすごく嫌だな。高校がなくなったら、その高校に行く人がおらんから、違う学校にみんな行きだすから、みんなが違う学校に集まって受かる確率が低くなる」

狭まる選択肢 合格のハードル高い高校だけ残る

 もともと北谷さんの自宅から自転車で1時間以内で通えるところに嶺芽さんの学力にあう高校が3校ありました。

 ところが最も近いところは2020年度末に閉校。次に近い学校も2024年度から募集停止となりました。さらに、残る一校も再来年度から募集停止となることが発表されたのです。

 いま公立の選択肢は嶺芽さんにとって、合格のハードルが高い学校しか残っていません。

 (母・綾乃さん)「学生生活を楽しみにしたいと思っている子たちがいける高校は残してもらいたい。選択肢ですよね。本当はもっと考えられただろうに、選択肢がないというのはきびしい」

相次ぐ生徒の募集停止 きっかけは14年前に施行の条例

 募集停止や閉校が相次ぐきっかけとなったのが、14年前に施行した条例です。

 (橋下徹大阪市長 ※2012年当時)「生徒が集まらない学校をずっと置いておいてもしかたがない。公立だけですよ、そういうこと言えるのは」

 大阪で知事と市長を務めた橋下徹氏のもとで進められた教育改革。「競争」に重点を置き、3年連続定員割れし改善の見込みがない公立高校は、再編整備の対象となる条例を2012年に施行しました。

 以降、大阪では30校の募集停止が決定。うち17校が閉校しました。

 さらに2024年には、大阪府で全国で初めてとなる高校授業料の完全無償化が段階的に始まったことから、私立人気が高まり、定員割れとなる学校が増加していて、今後も多くの公立高校が閉校となる可能性があります。

募集停止を決めたのは公立高校だけでなく…

 一方で、授業料の完全無償化は、私立高校にとってもいい面ばかりではありません。

 去年、夏の甲子園に14年ぶり2度目の出場を果たした東大阪大学柏原高校。授業料無償化が決め手となり、再来年度から生徒の募集を停止します。

 (東大阪大学柏原高校 小林康行校長)「すごく残念やなと思っている。せっかく甲子園も行かせていただいて、名前も知ってもらえたから来てもらえると思っていたところだから、すごく残念」

苦境に立つ私学も…一体なぜ?

 大阪の「授業料無償化制度」では63万円を上限に国と府が補助をし、それを超える分については学校側が負担をすることになっています。

 柏原高校では定員割れが続いていて、生徒を呼び込むためには設備投資などで学校の魅力を高める必要がありましたが、授業料を上げて費用を捻出したりすることができなくなったため、今後の見通しは厳しいと判断したのです。

 (東大阪大学柏原高校 小林康行校長)「物価も上がって、人件費も上がっているなかで、新しいことをしよう、設備をよくしようと思っても、それ以上かかると全部学校の持ち出しとなるので、経営上非常に厳しくなる」

市内に高校が「ゼロ」の地域も 「生徒が消えて悲しい」

 急速に高校が減少する大阪。市内に高校が1つもないという地域も…。阪南市では、府立泉鳥取高校が去年3月に閉校し、市内の高校がゼロになりました。

 泉鳥取高校の近くに住む林耕二さん(75)は、高校が閉校したことで町の活気がなくなることを懸念します。

 (林耕二さん)「ゴーストタウンになっているから、生徒が消えたのは悲しいことですよね。園芸部で一緒に畑をつくったりとか、グラウンドを開放してスポーツ交流したり、地域との交流の場所だった。そういうものがなくなって困っている人もいる。地域の活性化ということではマイナスですよね」

 高校だった場所は災害時の避難所に指定されていますが、ふだん閉鎖されているためいざというときに避難できるのか不安に感じる人もいます。

 (近くの住民)「このまま残して街のためとか住民のためになるようになればいいけど、このまま朽ち果てていったらどうなるんかな」

吉村知事「子どもの数が半減するなか避けて通れない」

 こうした状況に大阪府の吉村洋文知事は…

 (大阪府 吉村洋文知事)「現在の少子化という人口動態をみたうえで子どもたちの高校の公教育の在り方、適切な公教育を図っていきたい。そのためには一定、高校の再編は子どもの数が半分以上減るから避けては通れないと思う。それでも公教育を充実させていくという観点からの高校再編を進めていければと思っています」

 変わりゆく高校事情。私立高校の授業料無償化が全国で拡大したあと、どうなっていくのでしょうか。

2026年02月21日(土)現在の情報です

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