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【2025年台湾有事で米中対戦】「中国人民解放軍は台湾軍や自衛隊より弱い」「日本の戦闘機1機で中国を10機撃墜できる」...武田一顯氏の戦時想定

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アメリカ空軍の大将が「2025年に台湾有事でアメリカと中国が戦う」という内容にメモがあきらかになり、台湾有事が急遽クローズアップされています。また、今後の米大統領選や台湾の総統選を経て中国への対立がますます深まっていくことが想定されています。だとしても元TBS北京特派員・武田一顯氏は「中国の人民軍が台湾や自衛隊より劣っている」と話し、取材で自衛隊の元幹部が中国の空母を「バッタもの」とこき下ろしていたというエピソードも紹介。現状の中国に対する自衛隊の優位性を語りました。◎武田一顯氏(元TBS北京特派員。中国共産党の権力の攻防をウォッチしてきた歴史観に基づいて現代中国を語る。国会記者担当の経験から「国会王子」のニックネームで永田町政治のウォッチャーとしてコメントする機会多数)(2023年1月31日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

「向こう10年は通常兵器の戦闘で中国に劣ることはない」

---武田さんに解説をしてもらいます。
アメリカ空軍マイク・ミニハン大将の内部メモ。「私が間違っていることを望むが、2025年に戦う予感がする」と記されていました。このメモ自体が一体どういうものなのか明らかになってませんし、信憑性みたいなところもよくわからないんですが、ただ、台湾有事でアメリカと中国が戦うことを連想させるこんなメモが見つかったということです。2024年にはアメリカ大統領選挙、そして台湾の総統選がありますし、中国が軍事行動に出る可能性が指摘されていますけれども、武田さんこの台湾総統選を中国が非常に注目しているところではあるわけですね。
 
今の蔡英文さんというのは民進党という党で、台湾の独立志向が非常に強い。独立はもちろん行ってませんけどね。その次にどこがその政権を握るかっていうので、中国は今、注視している。最後はつまり台湾が「俺たちは独立する」って言ったら、中国は何が何でも武力で押さえつけてきますから、それが一番怖いシナリオです。

---選挙が2024年ですからこのメモに書いている2025年はこの後だということなのですが、日本が万博に沸くであろう2025年台湾有事が現実になってしまうのかどうなのかということなんですけども、武田さんの見解は中国が台湾に攻め込んでくる可能性は低い。なぜなら、中国の人民解放軍は台湾軍や自衛隊より弱いからと。

うん、人民解放軍全部が台湾に集中したら、もしかしたら勝てるかもしれないぐらいのもんです。だけど実際には人民解放軍は北はロシアとは友好関係にありますけど、インドとは紛争やってますし、韓国もいるし、その他国境線長いですから。
しかも台湾海峡という意味がありますんで全力を集中することはできない。そうすると台湾軍の敵ではないうことですね。もちろん核以外でしょ。核だけは別ですよ。

---この台湾軍や自衛隊より中国の人民解放軍が弱いんじゃないかという話で、武田さんエピソードあるんですよね。

明日2月1日でちょうど石原慎太郎さんが亡くなってから1年なんですよ。石原さんが都知事だったときに、石原さんは中国嫌いだし、「シナシナ」って言って嫌いだった人ですけども、都知事時代に議論したことがありましてね、議論ったって私はおずおずとお話をする。あの人怖いから、だから、おずおずとしてたんだけども、そのときに都知事時代の石原さんが、「いやもう日本の自衛隊は中国に軍に勝てないぞ」って言うから、私は石原さんに「いやあ、知事そんなこと言ったらちょっと笑われるんじゃないですかと全然敵にならないですよ」っていったら「そんなことあるか」ってまた怒られて。ところが、2012年に国会議員になって、2013年に予算委員会で質問をするんですけども。そのときに石原さんは「向こう10年間は通常兵器での戦闘で中国に劣ることはない」。つまり日本軍は10年間負けることはない。おそらく石原さんは私の話を聞いていいかどうか知らないけども、ちゃんと取材したんでしょうね。いろんなところの結果、10年間は負けないという風に結論づけた。いや、この石原慎太郎にして、これですからね。それから10年経ちましたけども、日本の武器も性能良くなってますから。今でも戦ったら自衛隊が人民解放軍に負けるってことはないですね。---でもここだけ見たらなんか武田さんとのやり取りが石原さんの考え方を変えたというようにも見えますけども、そこまではいかないんだけども、いや、石原さんってのはね、私も何度も会ってますけども、結構若い人がちゃんと言うと話は聞く人なんだから。橋下徹さんとも仲良かったわけでしょ。

自衛隊幹部曰く「中国の空母3隻はバッタもんみたいなもの」

---その中国人民解放軍は弱いという理由、武田さんの取材によると、例えば戦闘機についてはシミュレーションによっては日本の戦闘機1機で中国の戦闘機10機以上撃墜とか、あとは台湾も独自の戦闘機の開発を進めているということなんですよね。

そうです自衛隊の人、あるいは自衛隊だった元幹部なんかに聞くとよくわかります。私は日本の自衛隊が中国の人民解放軍に、主に海軍と空軍ですけども、負けるという人を知りません。軍事評論家ではよくいるんですよ。これはポジショントークで、日本の自衛隊の本当にいた人、いる人の中で言う人はいない。むしろ、中国は今空母3隻持ってますけども、私が先週聞いた自衛隊の元幹部は中国の3隻の空母について「あんなものはバッタもんみたいなもんだ」と言ってましたから、それぐらいやはり量は多いけども、内容は決してまだ日本に比べれば劣る。ただこれから数年経ったときにどうなるかってのはまた別の話です。

---なるほど、日本がその防衛費をGDP比2%に引き上げるという議論のときに各国の防衛費ランキングで、中国の軍事費がすごく大きくてびっくりしたんですけども。

人口14億いて国土も日本の26倍かな。だからものすごく大きいわけですよね。だからその中では当然軍事費も多くなるし、彼らは人件費とか言うし、人件費が高くなってるとばかりは思わないけども、それが全てが日本に向いているわけではない。四方を囲まれている日本の場合は東側が基本的に太平洋で敵がいないわけで、しかもその向こうアメリカという同盟国ですから。敵がいないわけですから、中国を過大評価する必要はない。私は日本の防衛費がこのままでいいと言ってるわけじゃなくて、今の時点では自衛隊は結構強いんだよ、その上で日本の軍事費どうしようか防衛費どうしようかっていう議論が冷静ですよねというふうに言いたいわけです。

中国の対米姿勢「トランプ時代は振り回されたけど、今度はそうじゃないぞ」

---ただしこういう指摘も。今中国は習近平氏の独裁状態です。国内で共産党への批判が高まったときなどはガス抜きでこんなことも考えられるんじゃないかと。例えば「台湾にミサイル」とか、「魚釣島を包囲」とか、このあたりの海域では大規模な軍事演習も行われました。日本政府は台湾での軍事衝突に備えて訓練を実施、3月末までに沖縄県先島諸島対象に図上訓練をする。国、自治体関係省庁が連携してシミュレーション。全国47回の訓練を行う。住民避難などということで子供さんたちも一緒になって避難練習。これは政府として武田さん進めていくということなんですよね。

政府はこれを防衛費を倍増させる計画を今、言っててこの国会でも議論になってますから、そういうことを考えるとやっぱりやらなきゃいけない。それから沖縄の人なんかに聞くとそういうのを今までむしろ全然やってこなかったからだから必要だっていうのはもちろんわかる。ただこれが何か中国の軍事力の比較をきちんとした上で冷静にやる。あんまりその中国の恐怖を煽るようなやり方でやるっていうのは私は賛成できない。アメリカの大統領選挙は秋以降ですね。バイデンさんがこのまま民主党の政権が続けばあんまり中国と結局あんまりことを構えることにはならないでしょうただそのトランプさんが常に今弱ってるけどどうなるかわからない状況にあって、トランプ政権の4年間で中国は非常に痛い目にあったわけですね。訳わかんなくて、だからそういう場合に今度はこの間の4年間。つまり6年前から2年前までかの4年間というのはトランプさんに振り回されたけども、今回はそうじゃないぞとあんまり変なことすると台湾に手出すぞというやり方をしたい。ただ共和党でももうちょっとまともな人が出てきたらそんなに中国がことを構えることはないというふうに私はみてます。

---うんですから中国・台湾だけじゃなくてアメリカもということですよね。日本には米軍基地もあるというところもあります。次に今度は中国と日本の人の往来なんですが、中国政府が日本人へのビザ発給を再開しました。日本の水際対策強化に対抗して今月10日、日本人へのビザ発給停止となりました。日本から中国に入れない状態ということですよね。で29日にビザ発給再開を発表したということです。春節の期間は大勢の中国のお客さんが来るんじゃないかと予想していたんですがただそのビザの発給が停止されていたと。武田さんによると、中国にルーツを持つ人が春節休み今月21日か27日に故郷に帰れずに不満の声。中国政府は意外と世論に敏感です。これですからやっぱりそのあたり中国政府も気にしているということなんですよね。

いわゆる華僑とか言われる人たちですけども、この人たちは中国の国内でかなり大きな影響力を持ってますから、「何で俺たち帰れないんだ」という人がそういうのが出てくると地元でまた文句が出てくるっていうので
それに敏感に反応した。それとビジネスマンですよね。お金の流通お金をどんどん流したいのにそれができないのが困る。それから何よりも、元々がどうもちょっと嫌がらせみたいなところがありましたから、中国側もこの辺でそろそろ手を引こうかということなんでしょう。

---台湾有事と言いながらも本当に多くの影響力を持つそういったことだと思いますこの時間は武田さんの解説でした。

2023年01月31日(火)現在の情報です

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