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「来年3月で診療休止」突然の発表に患者ら困惑「次の病院が受け入れてくれるか...」 赤字続く中で統合計画が"2度延期"病院が苦渋の選択「これ以上続けることは難しい」

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 日本病院会によると、日本の病院の約7割が赤字となっていて非常に厳しい経営を強いられています。病院の統廃合も進んでいて、兵庫・伊丹市の「近畿中央病院」も2年後の統合がすでに決まり準備が行われていますが、5月に「来年3月で診療を休止する」と発表されました。なぜ突然診療休止になったのか?困惑する患者たちの声を取材しました。

「朝は20錠くらい飲まなあかん」週3回以上通院する女性

 兵庫県伊丹市に住む79歳の桑原加容子さん。自己免疫疾患の一種である膠原病(こうげんびょう)や心臓の病気などを患っています。

 (桑原加容子さん)「朝は20錠くらい飲まなあかん。主に免疫内科と循環器内科の薬。(毎朝飲むのは)大変よ」

 桑原さんは自宅から歩いて5分ほどのところにある近畿中央病院に通っています。いまは免疫内科や皮膚科など、あわせて週3回以上通院していますが、来年、この病院がすべての診療をとめることが決まりました。

 (桑原加容子さん)「来年の4月か3月になくなると。みんな反対したけど、『残してほしい』と言ったけど、『それはできひん』と」

“来年3月で診療を休止する”突然の発表

 近畿中央病院は、ベッド数約450。23の診療科があり、長年、地域医療の中核的な役割を果たしてきました。

 しかし、建物の老朽化などから2027年度後半に市立伊丹病院と統合する予定です。現在、建設が進められている新たな病院が開くまで、近畿中央病院は診療を継続するはずでした。ところが5月に、病院のホームページで「来年3月で診療を休止する」と発表したのです。入院や通院中の患者については診療休止までに近隣の医療機関への紹介を行うとしています。

 週3回以上、近畿中央病院に通う桑原さんは、今後に不安を感じています。

 (桑原加容子さん)「最新医療の病院が受け入れてくれるかどうかという不安はある。今度の病院がどういう病院なのかわからへんやん。いい病院なのか、きめ細かく治療する病院なのか、わからないから不安」

 今後のことを考えて統合相手の市立伊丹病院への通院を希望する人が多いようですが、患者が集中することによる混雑も懸念されています。

 (病院に通う人 70代)「人が多くなると、いま以上に待ち時間とか診察時間がかかって、治療に時間がかかるのもしんどいかなと」

 (近隣住民 80代)「市立伊丹病院行きのバスの台数を増やしてほしい。(朝の)8時5分、10分くらいはバスいっぱいですよ。通勤の時間帯ですからね。不便です」

「これ以上診療を続けることは難しい」

 市立伊丹病院と統合する近畿中央病院。新たな病院が開くのを待たずに診療をとめるのはなぜなのか。病院を運営する公立学校共済組合に電話で取材すると…

 (公立学校共済組合)「病院の統合が延期になり、建物の老朽化や経営状況の厳しさなどから、これ以上診療を続けることは難しいと判断しました」

 近畿中央病院は元々赤字が続いていて、伊丹市からの提案を受けて市立伊丹病院との統合を決めました。

 市などの計画では、当初2025年10月に新病院を開くことを目指していましたが、資材価格の高騰などで業者が決まるのが遅れ、開院時期を2026年8月に延期。さらにその後、建設予定地で大規模な土壌汚染が確認されたころから、対策工事が必要となり、2027年度後半までずれ込んでしまいました。

 近畿中央病院は設備や医療機器の老朽化が深刻で、統合まではとなんとか持ちこたえてきました。しかし、度重なる計画延期でこれからも安全な医療を提供し続けるためには、設備の全面的な更新が不可欠なことから診療をとめることを決断したというわけです。

 (公立学校共済組合)「現在入院・通院中の患者様については、来年の3月まで可能な限り今の診療体制を維持していく」

伊丹市長「2度の延期はやむをえなかった」

 伊丹市から提案した統合計画の延期が招いた今回の事態。市長はどう捉えているのでしょうか。

 (伊丹市 中田慎也市長)「市民の皆さまには大きなご不安、ご不便をおかけしていると思っております。社会情勢変化や自然由来の影響等々がありましたのでなかなか予期できない。2度の延期ということにつきましては、やむをえなかったところだとわれわれは考えています」

 市長は計画自体に問題はなかったとしたうえで、診療休止中の患者の受け入れ先については、市も周辺の自治体などに協力を呼びかけていくと話しました。

 (伊丹市 中田慎也市長)「まずはできるかぎり、市立伊丹病院のほうで受け入れられるかぎり受け入れてまいりたい。ただ当然限度がございます。それゆえ、近隣の医療関係者の方々の力、隣の尼崎市、周辺の自治体や医療関係者と協力して、できるかぎり患者の皆さまに影響のない受け入れ体制というものを整えられるように力を尽くしていきたい」

 地域住民の命や安心を守る病院。統廃合が加速するなかでも切れ目のない医療が提供されるよう、迅速な対応が求められます。

2025年06月25日(水)現在の情報です

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