MBS(毎日放送)

よんチャンTV(テレビ)

編集部セレクト

『海外客にとって日本はバーゲンセール中』老舗酒蔵で1本1万ドルでも売れる!ブランド品買取企業では過去最高益で「ホクホクの冬」

2023年01月05日(木)放送

SHARE
X
Facebook
LINE

 海外からの問い合わせが相次ぎ引く手あまた、絶好調でホクホクの冬がすごせそう…と、輸出が中心の企業に円安は追い風となっています。今回、円安で売り上げを伸ばす関西の企業を取材しました。

海外ブランド品の定価値上がりで「中古ブランド品買取」が絶好調

 幕を開けた2023年。関西経済や私たちの暮らしにとってどんな年になるのでしょうか?

 (関西経済連合会 松本正義会長)
 「今年はまあまあ良くなってくるんじゃないですかね。インバウンドも復調してきているようだしね」
2.jpg
 (ダイキン工業 十河政則社長)
 「(日本は)食品をはじめとして輸入構造になっているでしょ。そうするとね、円安の中で物価高はそう簡単に収まらないと思います」
3.jpg
 (京阪ホールディングス 加藤好文会長)
 「物価がある程度上がるのはやむを得ない。企業経営としても当然コスト高になりますから、いろんな知恵を絞って吸収していく」
4.jpg
 多くの人や企業を悩ませる「円安」。去年10月21日には一時1ドル151円台になるなど歴史的な安値を記録しました。
5.jpg
 一方で、この円安を追い風に好調な企業も関西にあります。中古ブランド品などの買取を行う「エコリング」。円安の影響もあって海外ブランド品の定価が軒並み値上がりしていることなどから、中古品の相場も高騰していて売りに来る人が増えています。
6.jpg
 ルイ・ヴィトンのバッグ2点を売りに来た女性。15年ほど前に購入したものだということでそれなりに使用感もありますが…2点で6万4000円になりました。

 (バッグ2点を売却した女性)
 「思ったより高くて。スムーズに売却できてよかったと思います」
 (エコリング・エキスパートバイヤー 鈴木孝啓さん)
 「相場が上がっているので、数年前に比べるとかなり値段はついているかなと思います」

「海外客からすると日本でバーゲンセールが行われている状況」

 買い取り以上に好調なのが買い取った商品の売れ行きです。

 (エコリング 合田香織常務) 
 「こちらが出品準備をしている場所になりまして。時計を並べてチェックをする前です」

 エコリングでは買い取った商品を自社のオークションサイトで売却しています。
8.jpg
 (時計の担当社員)
 「こちらが最新作のロレックス(未使用)です。こちらは左利き専用のレフティーのものなのでリューズが左についております。いままで左利きモデルというものはなかったので。定価が税込み130万9000円、落札予想金額が330万円ぐらいではないかと思います」
9.jpg
 本社に集められた商品は、専門の知識を持つ社員が問題がないかどうか最終確認した後、様々な角度から撮影して、買い取りから10日以内に出品されます。
10.jpg
 オークションサイトは日本語・英語・中国語の3か国語で運営しています。現在はアメリカや中国、東南アジアなど世界10か国から1000社以上が1回のオークションに参加していて、月に6万点以上が落札されています。
11.jpg
 (エコリング 合田香織常務)
 「春先ぐらいから非常に海外のお客さまの流入が増えてきて。海外にいるお客さまからすると、(円安で)バーゲンセールが日本で行われている状況に見えているので、海外のお客さまに買っていただける金額が非常に多くなってきています」

 参加者の増加に伴って落札相場も上がっているということで、ここ1年でオークションの売り上げは約1.3倍になり、会社としても過去最高益を記録しました。

 (エコリング 合田香織常務)
 「絶好調だと思います。稼いだ分は社員に還元していこうという考え方がありますので、今年もしっかり賞与をお支払いできると思います。みなさんにホクホクの冬をすごしていただける」

世界から「日本酒」に問い合わせ相次ぐ…アメリカ売り上げは2倍に

 円安が続く状況を商品PRの絶好の機会ととらえる企業もありました。兵庫県姫路市の「本田商店」。「龍力」のブランドで知られる老舗の酒蔵です。
13.jpg
 去年11月、新酒の仕込み真っ只中の蔵に英語が飛び交っていました。

 (本田商店の輸出担当者)「10日前に仕込んだ酒です。気泡が見えるでしょう」
 (ソムリエのアーロンさん)「とてもフルーティな香りですね」

 アメリカ・ラスベガスのホテルで働くソムリエのアーロンさん。ホテルで出す日本酒として龍力も取り扱っていて、「どのように造られるのか見てみたい」とアメリカから視察にやってきていたのです。

 (ソムリエ アーロンさん)
 「本当にフレッシュです。口の中が少しくすぐられる感覚があって、泡が分かりますね。ふわっとリンゴと梨と…。こんな感じの日本酒は淡泊な魚ととても相性がいいですね。完璧です」
14.jpg
 この酒蔵では年間売り上げの1割ほどが海外向けです。最近、特にアメリカ向けが好調で、この1年でアメリカ向けの売り上げは倍になったといいます。
15.jpg
 (本田商店 本田龍祐社長)
 「こちらが外国に輸出する『秋津』です。アメリカのロサンゼルスに行きます」

 こちらのお酒「龍力純米大吟醸・秋津」は最高級の酒米から造られる純米大吟醸酒で、日本での小売価格は税込み1万6500円。アメリカでは1本500~700ドルくらいで売られていて、かなり高級な部類に入りますが、円安になってから注文が増加。今はアメリカや香港などに年間約500本を輸出しています。
16.jpg
 さらに最近は中国やシンガポールのバイヤーからも取り扱いたいという問い合わせが相次いでいるといいます。

 (本田商店 本田龍祐社長)
 「『今までちょっと高かったものがリーズナブルに飲めるよね』という評価はむちゃくちゃあります。『ウチと取引してくれませんか』という引き合いは山ほど来ます」
17.jpg
 なかには、こんなお酒も。

 (本田商店 本田龍祐社長)
 「これがね、『秋津』の20年物。アメリカで1万ドルで飲んでいただいております」

 日本円に換算すると約130万円ですが…。

 (本田商店 本田龍祐社長)
 「(Q売れるんですか?)そうですね、年間10本ほどですけどね」

 海外の人にとっては円安で割安になったことなどから注文が増え、売り上げは前年の1.6倍以上と好調です。

「アメリカの日本酒市場が成長するいい機会になる」

 アメリカから来たソムリエのアーロンさんは、このまま円安が続けば海外の日本酒市場はさらに伸びるとみています。

 (ソムリエ アーロンさん)
 「(シャンパンと日本酒を比べると)同じ値段だったらみなさんシャンパンを選びます。なぜなら、シャンパンは知っていて、日本酒はあまり知らないから。シャンパンもそんなに安くないし、あまり知らないものにお金を払いたくないでしょ。だから円安でもっと手に取りやすい値段になると、アメリカの日本酒市場が成長していくのにはいい機会になると思います」
19.jpg
 (本田商店 本田龍祐社長)
 「円安効果で多くの人に飲んでいただける可能性、楽しんでいただける可能性がむちゃくちゃ増える。すごい後押しですよ。コロナ禍が明けた時にはものすごく多くの外国の方に来ていただけるんじゃないかなと」

関連記事

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook