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橋下徹氏"岸田ジャパン"を生ジャッジ 防衛費増税・辞任ドミノはブラボー?レッドカード?逆に橋下発言はVAR検証 ロスタイム長めでキックオフ

2022年12月09日(金)放送

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橋下徹さんは現在の岸田ジャパンの戦い方をどのようにジャッジするのか?12月9日放送のMBSテレビ「よんチャンTV」に、弁護士でコメンテーターの橋下徹さんがゲスト出演。岸田ジャパンが現在挑んでいる3つのテーマとして『旧統一教会をめぐる救済法案』『防衛費と増税』『閣僚辞任ドミノ』について詳しく話を聞きました。橋下さんがブラボーと称賛したのは?そしてレッドカードを出した対応とは?(2022年12月9日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

「被害者救済法」はレッドカードでありブラボー

―――「岸田ジャパン 新しい景色は見えるのか」サッカーのワールドカップに見立てて岸田政権の戦い方を、橋下徹さんに生ジャッジしてもらう企画です。意義ありは「イエローカード」。ダメは「レッドカード」そして長友選手のセリフにありました、良い事は「ブラボーカード」。この三つで判定をしていただきます。一方、橋下さんは非常に激しいプレーで知られますので、VARシステムで発言を検証させてもらいます。

―――テーマ①「被害者救済法」JNN世論調査では実効性がないが56%以上、実効性があるは、たったの26%でした。法律家の橋下徹さん、早速カードをお願いします。

「レッドカード」使えないです、これ。旧統一教会側が争ってきたら今までと同じように裁判が長期化して救済できません。僕は第一の責任は与党にあると思います。ただ野党の方も攻め方を間違った。本当に自由な意思で寄付をしたんだけれども、それでも取り消してあげようという法律にするためには、今回のように、ごちゃごちゃいろんなこと書くのでなく、「寄付額で規制しない」と救えないですよ。

マインドコントロール下の寄付が駄目とか、意思を抑制してはいけない、とかつらつら書いてるけれど、似た話は消費者契約法の中に霊感商法の取り消し規定が一応あって、裁判を起こせば和解とかするんだけど、一番救ってあげないといけないのは「自ら寄付したんだ、信心から寄付したんだ、額は1億円」。これを取り返そうというスタートだったのにいつの間にか、マインドコントロールや意思の問題に入っていって、これでは使えないと思います。

(三澤肇解説委員)
野党案には、年収・可処分所得の4分の1という基準が設けられていたんですが、結局閣法には採用されなかった。いろんな専門家に聞くと4分の1って決めちゃうと、4倍したら年収を推し量ることができるなど、個人情報はどうなるんだというふうな意見もありますがそこら辺どうですか。

(橋下徹氏)
法律を作ろうと思えばいろんな問題点あります。今回の法律でどれだけの人が救えるのかという問題と、個人情報を旧統一教会側の方に知られるとかいろんな問題と、どっちがマシなのかといえば、僕は額で規制する方が救える人が増えると思います。野党も収入の4分の1以上の上限を決めたって言うんですが、野党はそこにマインドコントロール下の収入の4分の1以上と、しているんです。野党の攻め方としては「マインドコントロールとかそういうところに入らずに、僕は「額での規制」で野党がガンガン攻めるべきだったと思いますけど。


(三澤解説委員)
ただ、橋下さんの言うように金額で決めると、例えばある宗教団体で全額寄付をさせて、宿舎やご飯を全部面倒見ますよっていうところもあるわけです。すると、金額とか年収の何分の1とやっちゃうと、規制の網にかかってしまうけれども、まともなところもあるわけじゃないですか。そこら辺との整合性にかなり苦労したと聞きましたが。

(橋下徹氏)
そうです。問題点はいろいろあるけれど、どちらがマシかの話です。宗教っていうのは、マインドコントロールってのは僕はマイナス面だけとは思わないけれども、もしかすると宗教側の方から見たら僕みたいに宗教を信じてない人間が、マインドコントロールなのかもしれない。

―――岸田総理は、連立を組む公明党への配慮があり、さらに共闘している立憲・維新の野党にも耳を傾けるというようなことが今までありました。この立ち回り方に関してカードはいかがでしょう。

これは「ブラボー」。うまく野党を取り込みました。元々野党が無理筋でマインドコントロールとかいろんなこと言っている中で、うまいこと取り込んだ。僕は野党は徹底的に戦って欲しかったね。野党の方も世論を気にして、ここで法案に賛成しないと、旧統一教会の被害者救済に後ろ向きなんじゃないかと、だから賛成したんですけども、どうせ最後に決めるのは与党なんだから、野党はその筋の通りやすい理論で言った方が、おそらく今の法案よりも被害者側の方はみんな応援してくれると思う。だって今回の法案は、被害者の人たちはみんな使いもんにならないって言ってるでしょう。

―――不十分だけど、大きな一歩と評価する方もいらっしゃる。

ゼロではない。でも法案作るときに一番欠けてるのは、消費者契約法の中に霊感商法は取り消しできますよという規定が入った。その規定を使ってどれだけ裁判で勝てたのか不都合があったのか、そのデータは何にもないんです。何にもない中で、「困惑」とかいろんな言葉を使ってやるんだけども、僕はこれ裁判ではなかなか使えないと思います。もっと徹底的に攻めて欲しかった。

―――今回の野党共闘はいかがですか?「水と油」の立憲と維新が手を組むなんて橋下さんの時代じゃ考えられないでしょう。

あのね、立憲と維新が本当に水と油だった原因は僕だったんです。僕がいなくなったらきちっと話ができますから、こういう形でタッグを組んだ上に与党に迫っていけたと思うんですよね。いきなり一つの党になってしまうと有権者からは、また選挙のために一つになったのかって言われるけれども、今回は選挙のためじゃなく与党を追い込むために共闘して、実際に与党が動いたわけだから僕は一つ、国会のあり方として岸田さんブラボーだけど、野党も一緒に組んだところは「ブラボー」です。

(三澤解説委員)
野党は100点を目指すと言ってましたんで、100点にできるだけ近づいていくのかなというふうに思ってたんですけども、最後の最後で「十分な~」の一言で配慮義務が決まってしまったところは、私は腰砕けになりました。ここの落としどころはすごく残念でした。

(橋下徹氏)
マインドコントロールのところの文言で争ったら、これは完全に与党に分があります。与党が意思の問題を持ち出して、民法の全体の体系とか、法律全体の話を持ち出してガチンコで議論したら、僕は与党の方が分があると思うから、今回の戦い方で言ったら、野党はあそこで矛を収めるしかないと僕は思うんだけど、だから戦い方のところで僕は額のところで迫って欲しかった、最後までね。だけどこういう形で与野党がぶつかって、一つの法案ができることはいいことで、ブラボーは出したけど、全体としては「レッド」だからね、法案は完全に世論迎合型だからね。

「防衛費と増税」日本の将来像は?

―――続いてのテーマは「防衛費と増税」です。岸田総理は「約1兆円強については国民の税制でご協力をお願いしなければならないと考えております」と増税の考えを述べました。防衛費は5年後までにGDP比2%(約11兆円)まで引き上げるとしています。そうなると、総額43兆円必要になってくる。単純に割り算すると1人当たり年間4万円の負担が増える計算になり、ビックダディ橋下さんなら9人家族でいらっしゃいますから。36万円の負担増になります。

これは、増税分43兆円を全部増税するわけじゃないから負担増もこの額っていうわけでもない。ただいずれにせよ、これは駄目「レッドカード」。防衛っていう視点だけでいけば、僕は防衛力の強化は賛成です。ただお伝えしたいのは、中国とかロシアとか北朝鮮のことを考えれば防衛力の強化は必要なんですが、戦艦を増やし戦闘機を増やしミサイル増やし。だけれども今日本のもう一つの有事はね、少子高齢化問題ですよ。

もう1年で60万人が減っている、島根県1個ずつがなくなっている。それから子供たちの出生数も80万人を割って、どんどん少なくなってきている。こっちの問題を解決せずに、防衛費だけどんどん増やしていったら、気づいたときには、高齢者ばかりで活力のない日本に、ミサイルと戦闘機と戦艦ばかりが増えるような、こんな日本でいいのかね。だから僕は防衛力の強化も重要だけれども、20~30年言われ続けてきた少子化対策ですよ。こっちのお金どうすんのっていうのを、合わせて出さないと本当にとんでもない国になります。

GDP比2%は、これは何を基準にしてるかというと、NATO=北大西洋条約機構の加盟各国の基準、いっぽう日本には「家族関連社会支出費」っていうのがあって、要は家族や子供を支える費用、これをどれくらい出してるのかといえば、先進国の中で本当に少ない。防衛費をNATO基準にするんだったら、家族関連社会支出費や、教育費を先進国並みに上げるべき
先進国並みにあげようと思ったら年間5兆~10兆円です。防衛費を年間5兆円増やすなら、プラスαで少子高齢化対策も合わせて15兆円どうすんの、っていう話を、本来政治家が議論しなきゃいけないのに、世論迎合で、北朝鮮のミサイルとか、ロシアによるウクライナ侵攻とかを踏まえて、先に防衛費の方だけ言ったから、これ来年大変なことになる。


(三澤解説委員)
これは国会審議を経ないんです。閣議決定なんで、国会審議を経ずにそれをもとに予算が組み立てられていきます。国会のチェックが働かないというところもどうなんだろうというのは私は思いました。

少子化対策の問題は来年度に予算をどれぐらいにするか議論をまとめるらしいんですけど、であれば、国民に説明して防衛力の強化は必要だけれども、お金の話はね、23年度にその少子化対策とか家族管理社会支出費と合わせて23年度に出しますよってやるべきです。

―――では、財源です。プラス17兆円必要であ、そのうち16兆円は無駄遣いをなくしたり、余ってるお金を使ったり、防衛力強化資金を新設することも計画されているそうですが、残りの1兆円を増税で賄いたいということなんです。ただ来年度はしません。所得税は否定しています。法人税を軸に検討とのことです。

結局逃げてるんです。選挙も近いし、逃げずに、本当に必要なら負担を求めなきゃいけないけれど、少子化対策と併せて日本をよくするためには、これだけの負担が必要ですって少子化対策も見えればね、国民も納得してくれるだろうと思うし。歳出削減で頭に来るのは、番組でも何度も言ってるけど、旧文通費。国会議員にまつわるお金でどんだけ無駄なもんがいっぱいあるんですか。政党交付金も何十億もある積立金を返還しないんだから。他の積み立ては防衛費に回すといいながら、政党に積み立ててる政党交付金を返さない。それから彼ら政治家はノータックスですよ。税金なしで金かき集めてるんです。そういうところを切り込まずに、国民への負担は、もう本当に怒り心頭「レッドカード」これは国民は絶対認めたらダメ。

岸田政権は 世論に乗ろうとする「サーフィン政治」

―――次は「岸田政権の辞任ドミノ」。旧統一教会問題で山際大臣が辞任。死刑のハンコ発言で葉梨大臣が辞任。政治と金問題で寺田大臣が辞任です。この寺田氏の後任・松本総務大臣にも政治と金の報道が取り沙汰されていますし、秋葉復興大臣も「影武者疑惑」なんてお話が出てきて、この先の岸田政権は大丈夫なのかという話です。

「レッドカード」。辞任の話は必ず出ます。特に日本はメディアの追及が厳しいから、いろんな問題を隠すことはできない。岸田政権の問題点はね、世論に乗りすぎなんです。ただそれと同時に世論をある意味作っていくっていうのも政治は重要なんです。言い方はよくないかな、「波を起こしていく」賛否両論起こるような大きな政治課題を国民に問うていく、その大きな政治課題は少子化対策です。これ予算5兆円、10兆円増やしますっていうぐらいの大きな政治目標を僕は出していけば、こういう細かな問題はもちろん駄目だけれども、世論はこういうことあるけど、少子化対策でお金をきちっと使ってくれる岸田さんの方にかけようという支持も僕は増えてくると思うんです。岸田さんは今のところ自分で賛否両論沸き起こるような課題を設定せず、批判をちょっと恐れてるのか、世論に乗ろうとしてる「サーフィン政治」みたいなことばっかりやってると支持率は上がらないと思うな。国民の声だけを聞くということになれば、負担とかそういうことは嫌がるからね、国民が嫌がるような話をやっぱり積極的に出して、政治家が説得していく。民主政治の場合には、世論に乗ることと世論に反発を受けてでも進めること。二つが重要で、僕は反発を受けることばっかりやってたから駄目だった。

岸田さんには国民からメディアから反対を受けてでもね、この教育・子育て予算のびっくり増やれば、うん負担は嫌だなって思う人もいるかもわかんないけど、僕は必ずついてくると思うけどね。

(三澤解説委員)
増税はちゃんと言わなきゃ駄目です。やるんだったら増税しますということを言った方が良い。

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