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【ロシアへの攻撃】中村逸郎氏の見解「ロシア国内のウクライナ協力者を利用した攻撃」「カザフスタンが協力か」...プーチン大統領は方針大転換か

2022年12月09日(金)放送

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 ロシア国内の空軍基地などの複数の地点がウクライナの無人機などで攻撃されたとみられています。ロシア国深部への攻撃にロシア国内に衝撃が走っているといわれていますが、この攻撃について筑波大学名誉教授の中村逸郎氏は2つの可能性を示唆。①ロシア国内のウクライナ協力者を利用した②ロシアと離反しつつあるカザフスタン側から協力があった…というもの。プーチン大統領は急遽、安全保障会議を開催して「核戦争の脅威」をちらつかせていますが、中村逸郎氏は、核の可能性を繰り返し言及することで核使用のハードルが下がっていくことを危惧しています。 (2022年12月9日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

ロシア国内へのドローン攻撃で「新章突入か」

12月5日に国境から数百キロ離れた2州の空軍基地で爆発がありました。モスクワに近いところで攻撃を受けたということでかなり衝撃を受けていて、知人は首都の南160キロの街に攻撃があったということで、「いよいよ怖い」とメールしてきました。ロシアが実はピンチになってきているという国内世論の中で、プーチン大統領も非常に厳しい状況に追い込まれてるということです。

―――2ヶ所はいずれも軍事施設の攻撃ということです。中村先生が現地の情報などから考える二つの可能性とは。まず一つ目のリャザン州での攻撃、なぜ首都近くを攻撃できたのかというと「ロシア国内からウクライナの協力者を利用して撃った可能性」

いま私達は日本で接している情報は、ウクライナが旧ソ連製のドローンを改良して600~800キロ飛べるようなものに改良して撃ったんじゃないかというもの。ところがね、きのうロシアの防空施設システムの元責任者がロシア主要紙のインタビューに答えて『ウクライナからここまで打つことは到底不可能だ。なぜかって言うと防空システムが何重にもなっていて、例えばドローンが上空50mを飛んだとしても無理で、何らかのカメラでも残ってるはずだ。それはありえないだろう』と。じゃあ何が考えられるかというと、実はロシア国内のリャザン州周辺から発射されたんじゃないかと。ウクライナの旧ソ連型ドローンの改良型だとしても、リャザン州の近くに持ち込んでいて、もちろんロシア人の協力者がいて、撃ったんじゃないかって、本当に現場をよく知っている人が重要な発言をしています。ロシアで本当に読まれている、ソ連時代からある大きな新聞がそう報じているんです。


―――そして二つ目はサラトフ州で起きた攻撃の背景に「旧ソ連のカザフスタンが協力。防空システムを制御した可能性」という話があるようです。

今すごく仲が悪いんですよ。トカエフ大統領は、プーチンさんに付いていけないと、プーチン離れをして、併合した四つの州をロシア領だと認めないということを言っている。サラトフ州に撃たれたものはカザフスタンの国内から撃たれたんじゃないかと。最も近い150キロで何が起こったかっていうと、実は先ほど言ったウクライナで作った改良型ドローンがカザフスタンに運び込まれて、そこから撃ったんじゃないかと、先ほどの軍事専門家が言ってるんです。

ではなぜ撃つことができたかっていうと、実はロシアとカザフスタンの防空システムが問題なんです。ロシアが防空システムを作っているわけじゃないんです。旧ソ連の6カ国の軍事同盟がシステムを作っていて、まさかロシアとカザフスタンがそういう関係になると思ってないのでシステムが甘いわけなんです。

ロシアにとってウクライナとカザフスタンって、旧ソ連の中でも強い絆で結ばれてるとこなんですね。ですからウクライナを敵に回している。そしてカザフスタンも敵にまわして、ウクライナと連携を強化してきたとなると、どんどんプーチン大統領への包囲網ができてきてるというところで、今回のドローンのようなことが起こってるとみられるんです。

―――まだウクライナが攻撃したか明らかにはなっていないんですがモスクワに近いところで、非常にこれ大きな出来事です。

実はですね、プーチン大統領は今回の動きを見て、ロシアの国益が失われた場合、あらゆる手段で反撃するって言ってんです。あらゆる手段の中に当然核が含まれているんじゃないかと、そのくらい今回の出来事は大きい。プーチン大統領にとって攻めてばかりいたんですけど、今度受け身に回ってるわけですねですがそこで核の使用が考えられてくるという状況に変わってきてるわけです。

―――核の使用の可能性はどういうふうに考えますか。

結構あるんじゃないか。なぜかっていうと、本当にこういう核とかいう言葉をプーチン大統領ね、発言しちゃ駄目なんですね。だけど、どんどん繰り返して発言してくると、もうそれが本当に実際にやってしまうんじゃないかと。ハードルがどんどん低くなってきてるっていうところが怖いところなんです。

―――米ロ間で行われた囚人の交換。ロシアで懲役判決を受けましたアメリカの女子プロバスケットボール選手、いっぽうロシアの武器密売「死の商人」と呼ばれていますビクトル・ボウト受刑者、この2人をUAEの空港で交換手続きをしたということなんです。

交換が実現した理由は、先月トルコで行われた米ロの情報機関トップ会談だと。日本ではあまりニュースにならなかったんですけどもG20がありました。その裏で2人が会って交渉をしてたんです。ウクライナ問題で交渉したと言われたんですけども、昨日入ってきたナルイシキンさんの話によれば、実はこの囚人交換について話し合ってきたんだと。

しかもロシアにとって、死の商人と言われている人は、どうしても帰したい。今、強硬派、ワグネルのオーナーのプリゴジンさんが今プーチン政権でどんどん力を強くしている。ボウト受刑者は、アフリカとかアメリカにどんどん輸出した人でワグネルの活動の基盤を作った人なんです。ですから、プリゴジンさんはボウト受刑者を何とかしてロシアに帰したいと、プーチン政権にものすごい圧力をかけてきたんですね。

―――「プーチン大統領への不満、ロシア国内で沸々」車に乗るプーチン大統領に「なぜベンツなんだと」いう話もあるようです。

ありえないです、いまは欧米の経済制裁で全然部品が入ってこないんです。入ってきたとしても10倍20倍かかるわけで、会社をどんどん手放してる人が多いわけですね。しかもプーチンは11月9日に「ロシア製の古いもの、自分たちで作るものを大切にしよう」って話を出したばかりだから、国内でいっぱい不満が出ました。

ペスコフ大統領報道官が何と釈明したかというと、「プーチン大統領が行ったところにベンツがあった」と。ロシアはプーチン大統領専用の国産車作ったんです、防弾の。なぜそこで使わなかったのかなっていうふうに非難の声が上がっています。

旧ソ連諸国に逃げてる人が1000万人近くいるんですよね。この人たちは戦争が終わったら、ロシア帰りたいと思ってんですけども。アメリカに脱出する人がこの2年間で46倍に増えてるってことは、もう祖国には帰れないと思ってる人たちがいるっていうことなんですね。

―――国内でも大変な不満が募りつつあるというロシアの現状でした。

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