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5~11歳へのワクチン接種どうする?小児科医の見解は「チャイルドシートのようなもの」「強制や同調圧力はあってはならない」

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 新型コロナウイルスへの対応をめぐり、「療養期間の短縮」「無症状の人の買い物容認」など政府が打ち出した様々な制限緩和。そんな中、子どもたちは2学期に突入しました。子どもたちを起点に感染は拡大していくのか。また、子どもたちのワクチン接種をどう考えるのか。発熱外来を取材するとともに、専門家に見解を聞きました。

診察開始前から駐車場に続々と車が 発熱した患者は車内で診察

 9月2日、大阪府堺市の藤田医院では、診察が始まる15分ほど前の午前8時45分から、駐車場に続々と車が入ってきて、あっという間に満車になりました。

 (最初に到着した患者)
 「(Q朝一番に来てすでに満車だが?)いつもなのでね、ここはもう。近いからここに来るけど毎回いっぱい」
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 午前9時、診察が始まります。発熱した患者は基本的に診察室に入れないため、駐車場で車に乗せたまま診察します。

 (看護師)「(お子さんは)熱ありました?」
  (母親)「熱は37.9℃。鼻水も出ています」
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 大抵の子どもは検査を嫌がります。泣く子を必死に抑える母親の姿もみられました。
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 診察中も患者は増え続け、駐車場前に車が列をなすほどに。

   (記者)「まだ1時間なんですね…ずいぶん大勢の患者さんをみた感じだが?」
 (藤田院長)「そうなんです。いま入口やんな」
  (看護師)「はい」

 院内の隔離スペースでも診察は行われます。目立ったのは子どもやその家族です。
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 院内でぐったりしているのは、小学生の男の子。首の痛みを訴えます。新型コロナウイルスへの感染が疑われ、検査結果は陽性でした。

   (父親)「すごく倦怠感があるみたいで」
 (藤田院長)「熱さましですかね。粒のお薬飲めますか?」
  (男の子)「うん」
 (藤田院長)「わかりました」

『5~11歳のワクチン接種』保護者の考えは?

 夏休み以降、子どもの感染が顕著になったと藤田院長は話します。

 (藤田聖子院長)
 「(Qお子さんが多いですね?)多いでしょ。多いです。夏休み、お盆に皆さん旅行に行かれたりしていますので。保育園とか幼稚園でクラスターが出ていると聞きとりすることも多いので、そこからの感染も多いんじゃないかと思っています」
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 一方で、9月6日から“努力義務”となった5~11歳のワクチン接種について、保護者はどう思っているのでしょうか。子どもに受けさせるか聞きました。

 (保護者)
 「受けさせようと思うんやけどね、怖いからようせんくて」
 「ぼくらはあと20年後に何かあっても(仕方ない)と思うんですけど、(接種後に)子どもがどうなるのか不安がある」

2学期が始まり感染は拡大していく?

 2学期が始まる一方で制限の緩和へ踏み切った政府ですが、今後感染は広がるのか?また、努力義務となった5~11歳のワクチン接種についての見解などについて、9月9日のMBS「よんチャンTV」では、長崎大学医学部の教授で小児科の医師でもある森内浩幸先生に話を聞きました。
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 ―――東京都の若者の新規感染者に関するデータでは、10歳未満の感染者の割合は8月16日以降増えてきています。8月下旬には都内の一部の公立学校で2学期がスタートしましたが、2学期とともに再び感染拡大となってしまうのか。森内先生は、じわりと増える可能性はあるけれども再び規制を強化するほどではないという見解ですね?

 「東京都のデータですけど、あれは百分率で示していますが、絶対数として見ればどの年代層でも減ってはきています。ですので、学校が始まったから一気に増えるということではないと思います。今のオミクロン株の潜伏期とか、発症する前からウイルスを出していることを考えると、だいたい2~3日周期でどんどん増えるなら増えていくはずですので、学校が始まった影響というのがもしかなり大きいものであれば、今頃はもっともっと爆発的に増えているだろうと思います。多少増えるとしても、規制を強化するほどのレベルに達することは、私はかなり低いのではないのかなと思っています」

子どものワクチン接種は「チャイルドシートのようなもの」

 ―――子どものワクチン接種についてどう考えていくべきなのでしょうか。5~11歳の1回以上接種者は20.0%、12~19歳では76.4%。2回接種完了者は5~11歳が18.4%、12~19歳では75.6%ということです。街で取材すると「子どもは基本的に重症化しにくいのではないか。ならば、打つ必要はないのでは」という保護者からの声も聞かれますが、ワクチン接種についてはいかがですか?

 「どうしても今のワクチンは武漢のウイルスに対して作ったものなので、今のオミクロン株に対する効果は当初よりは落ちています。ですので、どうしても感染してしまうかもしれませんけど、ただ、かかったときに重症化するのは防ぐことができる。ただ、効き目も前ほど長くはないので、ある一定の期間を経たところで、やっぱり追加の接種をした方が、より有効性というものをしっかりと引き出すことができると思います」

 ―――そこは子どもに対しても同じ考え方ということですか?

 「はい。確かに5~11歳のもともと健康な子どもさんが重症化する確率は低いです。子どもたちがこの新型コロナにかかって命にかかわる確率は、今のところの数字だと0.0006%とかなり低いですけど、ただ、起こるときは起こる。よく私はチャイルドシートみたいに例えるんですけど、チャイルドシートをつけなくても一生の間に1回も子どもの命にかかわるような交通事故を起こすということはまずないわけです。でも、たまたまそういう事故を起こしたときにチャイルドシートをしているかしていないかで命にかかわる確率は十数倍違う。ワクチンも同じで、ほとんどの場合、ワクチンを打とうと打つまいと重症化しないのにということですけど、たまたま重症化することに当たってしまった場合、ワクチンを打っていればそこまでにならずに済んだのにということはやっぱり出てくると思います。ですので、なかなか実感しにくいですけど、そのようなものだというふうに思っていただければよろしいかなと思っています」
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 ―――チャイルドシートは義務ですが、5~11歳の子どものワクチン接種はあくまでも“努力義務”という形ですね。森内先生は、親子がともに納得してすべきもので、ワクチン接種に義務・強制・同調圧力があってはならないというお考えですね?

 「ワクチン接種について私は推奨はしていますけれども、ただ義務という言葉を使うと、いやいや打つ人が出てくるかもしれない。例えば『義務になっているのにお前打っていないじゃないか。そのためにみんなクラスで流行って修学旅行に行けなくなったぞ』みたいないじめに繋がってもいけません。それから、不安感・恐怖感があるにもかかわらずワクチンを接種すると、ワクチン成分とは何の関係もなしにそういうストレスによって起こる反応というのが出てきます。よくあるのは血管迷走神経反射と言われる、お化け屋敷とかホラー映画でバタって倒れるのと同じような反応がワクチン接種のときに起こることがあります。倒れたときに打ち所が悪いと奥歯を折ってしまったり大きいたんこぶを作ったりとか、実際にそういう報告がありますけれど、これは当事者にとっては紛れもなくワクチンの副反応ということになります。たとえ、実は空打ちだったとか中身が生理食塩水を間違えて打ったというときでも起こってしまうことではありますけれど、やっぱり同調圧力・強制があると、そういうことが起こってしまう。それも広い意味ではワクチンによって起こるデメリットになってしまいますので、少なくとも親御さんはしっかり納得する。5歳の子どもは納得しないのは私たちは経験しておりますけど、ただ、子どもたちも親が納得している場合と、親も何か不安に思っている場合とではストレスのかかり方が全然違いますので、十分に納得できるまで、かかりつけの先生とご相談をしてから接種会場に行っていただきたいと思います」

インフルとコロナ“同時流行のおそれ”…ワクチン接種のタイミングは?

 ―――次は、インフルエンザの話です。9月8日に政府分科会の尾身茂会長は「冬にかけて、いわゆる8波というものがインフルエンザと同時流行で起こる可能性がある」としました。同時流行について森内先生は、新型コロナウイルスとインフルエンザのピーク時期がずれる可能性があるとし、さらに、どちらかに罹患してもう一方にかかると重症化リスクが高くなるというデータもあるということですが、このあたりを詳しく教えていただけますか?

 「例えばですけど、昨年、インドでデルタ株が大流行して、それがまだ完全に下がりきらないところで次にインフルエンザの流行が起こっています。ピークはちょっとずれたりはするんですけど、ただ両方の流行のかぶる時期というのがあったりしますので、そうなるとどっちがどっちかわからなくなってしまうということもあります。それからヨーロッパの方のデータですけれども、コロナとインフルエンザの両方にかかった人は、片一方だけかかった人よりも少し重症化しやすいというデータが出たところもありますので、やはりこの両方が同時に流行するおそれのあるこの秋から冬にかけては注意が必要だと思います」

 ―――森内先生の見立てでは、日本と季節が逆の南半球の様子から、今年のインフルエンザのピークは12月かと、ちょっと早いんじゃないかということです。そうなるとワクチン接種は早めがおすすめで、大人・子ども関係なく、コロナとインフルエンザのワクチン同時接種は問題なしということですので、先生のポイントとしては、子どもはインフルエンザにかかる方がリスク大ということで、インフルエンザのワクチンを特に先生としては推奨したいということでしょうか?

 「もちろん既にコロナワクチンが打てるわけですので、それをまず打った上でインフルエンザのワクチンが打てるようになったら、そちらもぜひ打ってほしいなと思います。タイミングが一緒になったときに一緒に打つ分も全然構いませんけれども、同時に打つのがちょっと心配だなという方がおられたら、少なくともコロナの方を先に打って、次にインフルエンザのワクチンをいつでも打てるような態勢を整えておくということがいいと思います」

 ―――別に数週間空けなくても、子どもでも場合によっては「コロナのワクチンを前日に打ったが、スケジュール上、きょうインフルエンザのワクチンを打ちたい」と、これはOKですか?

 「新しいワクチンなので念のために2週間以上空けるということになっていましたが、もう世界中でこのコロナとインフルエンザのワクチンに関して言えば、同時接種で特別何か、それで1+1=2以上になるみたいな副反応が出ることはないということはしっかりエビデンスが出ていますので、あまり心配することはないと思います」

2022年09月12日(月)現在の情報です

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