2023年03月14日(火)公開
踏切の12m先にすぐ信号『危険な踏切』前が詰まると踏切内に...電車とトレーラーの接触事故から10年経っても地元住民「改善されていない」
特盛!憤マン
遮断機から交差点までの距離が約12mしかない『危険な踏切』が兵庫県高砂市にあります。10年前にはトレーラーと電車が接触する事故も起きています。警察は中型以上の車の通行を禁止にするなどしましたが、10年が経っても危険な状況が続いていて、地元住民は不安を抱えていました。
車2台が並ぶのがやっと…交差点が近い「危険な踏切」
兵庫県高砂市にある『神鋼前踏切』。周囲には工場地帯が広がっていて、山陽電鉄・荒井駅から約200mの場所にあります。地元住民らにこの踏切の印象を聞くと…。
(地元住民)
「危険だと思います」
「危ないですね」
「安全かどうかというとちょっと疑問ですね」
危険な踏切だと皆が口を揃えます。そのワケとは…。
(記者リポート)
「こちらの踏切なんですが、遮断機から交差点までの距離が約12mしかありません」
踏切と交差点の間隔が狭く、車2台が並ぶのがやっと。交差点の信号が赤になった際に車が詰まって電車と接触するおそれがあるのです。
10年前に起きた“電車とトレーラーの接触事故”
実際にこの踏切では事故も起きています。2013年2月、踏切を通過しようとした直通特急とトレーラーが衝突。衝撃で電車は荒井駅のホームにぶつかり、乗客15人がけがをしました。
(記者リポート 2013年)
「現在、警察が事故車両を持ちこんで現場検証をおこなっています。事故当時、遮断機はトラックの後部部分に引っかかったということです」
交差点の信号が赤になったことで車が詰まり、遮断機がトレーラーの後部に接触。脱出するためにスロープを倒したところ特急と接触したのです。
バスやトラックを通行禁止に…でも他府県ナンバーのトラックなどが次々と
事故から10年。現場では事故を防ぐ対策がとられています。警察は、踏切を越えて交差点に向かう北向き道路の一部区間について、バスやトラックなど中型以上の車の通行を禁止しました。
(トラックドライバー)
「『中型は向こうまわってね』と言われているので」
「そりゃさっと行けるほうがいいけれども、昔に電車の脱線事故があったから、多分永久にダメやと思うね。欲を言えば通れるようにしてほしいけど」
とはいえ、ルールを守るドライバーばかりではありません。
(記者リポート)
「トラックが踏切を横断してきました。ここは本来通ってはいけない場所です」
通行禁止の標識がこれでもかというほど設置されているのですが、標識に気が付かないのか、主に他府県ナンバーのトラックやバスが次々と踏切に進入していきます。
再び事故が起こるかもしれないと、地元住民は心配しています。
(地元住民)
「事故以来は(注意)看板とかは立っていますけれども、改善はあまり感じないですかね」
「(車が)停止線で止まって2台並んだりだとかトラック1台並んだら、本当にここのオレンジライン、この踏切の遮断棒に引っかかるところまで来ますので。『今、警報機が鳴ったらダメなのかな』と思う瞬間はよくあります」
全国に約1500か所「緊急に対策の検討が必要な踏切」
このような危険な踏切は他の場所にもあります。大阪府枚方市の京阪・御殿山駅すぐ近くの踏切。遮断機から前の府道までの距離は高砂市の踏切よりもさらに短く、約5mしかありません。
(ドライバー)
「これやばいですよ!閉じ込められる可能性あるでしょ」
「たまに危ないなという感じの人はよくおって、(車が)ギリギリで行っているから」
府道は交通量が多いため、踏切を渡った先でたびたび車が動けなくなるのです。
(記者リポート)
「前方の道路の車が途切れず、踏切の中に車が取り残されています。車が1台踏切の中にいます。今、遮断機が下りてきたら非常に危険な状態です。警報機が今鳴ってきました!非常に危ないです!危ない!…危なかった」
枚方市は、前方に車が止まっていたら踏切に進入しないよう呼び掛けていますが、それでも前の車に続いて進入してしまう車が後を絶ちません。実際に2016年に取材した際には、踏切を渡ったトラックの荷台が遮断機に引っかかることがありました。
周辺の住民はあわや事故という場面を何度も目撃しています。
(地元住民)
「あまり知らない人なんかが通ったらよくはさまっています。トラックの場合はもっと向こうまで行くから、ギリギリで止まってもお尻が引っかかったり」
(ドライバー)
「(この踏切を)知らなかった時に渡ってしまって遮断機が閉まって危ない状態になったので、それ以来は1台向こうにいたら渡らないようにしていますね」
国土交通省によりますと、こうした「緊急に対策の検討が必要な踏切」は全国に約1500か所あります。しかし、踏切自体を廃止するなどの抜本的な対策は交通事情などもあり現実的に難しいのです。
高砂市の担当者『市でできる最大限の対策をやっていきたい』
10年前に踏切事故が起きた高砂市の担当者も頭を抱えています。
(高砂市都市創造部 名田友博係長)
「(Q踏切の廃止は?)こちらの踏切は高砂市道の中でも自動車の交通量が一番多い道路にある踏切ですので、現在のところは『踏切の廃止』というのは検討しておりません」
兵庫県はこの踏切周辺の線路を高架にする方針です。しかし、完成するのは20年以上先で、解決にはほど遠い状況です。
(高砂市都市創造部 名田友博係長)
「踏切事故というのはゼロにしたいと思っています。ですので、抜本的な対策としましては連続立体の交差事業になるんですけれども、やはり長期的な事業になってきますので。それまでの間は交通安全の啓発であったりとか、今、市でできる最大限のことをやっていきたいと思っております」
10年経ってもなかなか前に進まない踏切の安全対策。再び事故が起きないように早急な対策が求められています。
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