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「いつも満車で予約取れない。調べて!」万博の障がい者用駐車場...取材すると『閉幕日まで終日満車』なぜ1日200台しか止められない?

特盛!憤マン

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 5月、MBSにある情報が届きました。「万博に行くために、障害者用駐車場を利用しようとしましたが、いつも満車で予約を取ることが出来ません」その後、同様の「調べてほしい」という依頼が立て続けに寄せられました。一体、万博の駐車場で何が起きているのか?現地に向かい真相を調べました。

閉幕日までほぼ終日満車の「障がい者用駐車場」

 大阪・関西万博の東ゲートから歩いて5分のところにある「夢洲障がい者用駐車場」。一日に200台止めることができ、障がい者手帳を持つ人やその家族、加えて車椅子に乗る人など、移動が困難な人が利用できます。

 ホームページで予約の状況を確認してみると、確かにほぼ毎日、終日満車の状態で、万博が閉幕する10月13日まで、予約がいっぱいになっていました。
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 MBSにメールを送ってくれた大阪市内の岡田浩さん(63)。50代で病気を患い、杖なしでは歩くことができません。人が多い電車での移動は難しく、移動は主に車を使います。

 (岡田浩さん)「(大阪・関西万博が)開幕して1週目くらいで行こうとした時は、意外にサッと取れたんですよ。おもしろい、もう1回行きたいなと思い、その後に見てみると、もうすでに全部満車になって(予約が)全然取れない」

 万博にはこれまで2度訪れ、すっかりファンになったといいます。しかし、障がい者用駐車場の予約が取れないため気軽に行くことはできません。

 (岡田浩さん)「今から行きたいな、行こうと思える距離なんだけど、ちょっと無理かって二の足踏んでしまうところはありますよね。この状況だと(200台は)少ないのかなという気はします」

満車のはずが…行ってみると駐車場はガラガラ!なぜ?

 予約がいっぱいで止められない、という声があがる障がい者用駐車場。取材班が現場を見に行きました。午前8時。駐車場には続々と車が入っていきます。

 ただ、中に入ってみると…「終日満車の障がい者用駐車場ですが、ご覧のようにガラガラです」(記者リポート)

 予約はいっぱいなはずなのに、スペースがかなりあります。

 (利用者)「結構空いているなと思いました。いっぱいなのかなと思ったら結構スカスカで」

担当者は「時間帯ごとに均等に」

 一体、なぜなのでしょうか?博覧会協会の担当者に聞きました。

 (博覧会協会・交通局 淡中泰雄交通部長)「やはり一度に多くの車両が入ってしまいますと、車両から歩行器をおろした上で会場に向かうこともありますので、各時間帯ごとにほぼ均等に割り付けさせていただいた」

 この駐車場では200台を一気に開放することはなく、朝から1時間ごとに約40台ずつの駐車を受け付けています。午前中で約150台が止まる計算です。

 博覧会協会によりますと、車椅子などをおろすのに必要な空間や、安全にゆっくりと乗り降りできる時間を確保するために、あえて200台すべてを一気に開放することはしていないといいます。

 そのため、午前中はガラガラのように見えましたが、昼を過ぎれば多くの車が止まっていました。駐車場が閉幕する10月13日まで、予約が取れないことに変わりはありません。

「駐車スペースを増やすのは難しい」そこで…

 連日10万人を超える人たちがやってくる万博。障がい者用の駐車場が「200台では少ない」という声が上がっていますが、夢洲で増やすことはできないのでしょうか?

 (博覧会協会・交通局 淡中泰雄交通部長)「夢洲にはコンテナターミナルやIRの事業用地があって、われわれの万博の用地があるので、土地利用に関する自由度が大きくないですね。残念ながら夢洲に駐車スペースをこれ以上確保するのが難しい状況であります」
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 そこで、5月末から博覧会協会は対策を講じています。万博会場がある夢洲のとなりの舞洲。そこにある一般駐車場で、障がい者が利用できる駐車スペースを100台分確保したのです。この駐車場に止めた人は、シャトルバスで万博会場に向かいます。シャトルバスには車椅子を2台乗せることもでき、利用者の多い時間帯は5分に1本程度運行しています。

 (利用者)「以前はあちら(夢洲)に止めていたんですけど、いっぱいで取れなくて、1回こっち(舞洲)を使いました」

 一方で、舞洲の障がい者用駐車場は当日予約のみ。障がい者の方からは「同行者の都合も含めて事前に計画しておきたい」という事情などから、当日予約では万博への来場を断念する声も聞かれました。

人工透析のために車に戻らないといけない人も

 さらに駐車場が舞洲では困る人もいるようです。

 万博にやってきた木村さん(仮名)。駐車できたのは舞洲でした。木村さんは2年前から人工透析をしています。

 (木村さん)「(透析のために)こっちまで来ると余分に30分かかるので、一日の計画が全然変わるのかなと」

 木村さんは少なくとも1日3回の人工透析が必要で、万博会場に行っても、時間が来れば車に戻って人工透析をしなければなりません。舞洲の駐車場では、シャトルバスがタイミングよく来たとしても、往復の移動だけで40分はかかってしまいます。

 (木村さん)「歩いていける、もしくはバスに乗らなくていいことが必要な方が結構いると思うんですけどね。夢洲に止められたらいいなというのはありますね」

 車椅子やベビーカーに配慮してパビリオンや施設をバリアフリーにするなど、誰でも楽しめるよう数々の工夫がされている大阪・関西万博。ただ、障がい者からはさらなる改善を求める声も上がっています。

2025年06月19日(木)現在の情報です

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