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「拾った小石で竹に落書き」「立ち入り禁止エリアに侵入」京都の人気スポット・竹林の小径で迷惑行為が深刻化...記者の直撃にも悪びれないインバウンド客たち 地元商店街からも嘆き「本当にやめてもらいたい」

特盛!憤マン

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 これから紅葉シーズンを迎える京都で、オーバーツーリズム問題が深刻化。地元住民らを悩ます迷惑行為は、京都市内だけではなく、市外の小さな町でも起きているといいます。秋の京都で一体何が?実態を取材しました。

嵐山の人気スポットで急増「竹への落書き」

 京都・嵐山。紅葉はまだこれからですが、メインストリートは連日、外国人観光客でごったがえしています。

 インバウンド客のお目当ては、約7000本の竹が続く「竹林の小径」。日本らしい風景として人気の名所で、記念撮影を目的に立ち入り禁止エリアに侵入する、観光客による迷惑行為が横行しています。人力車の引き手が注意しても…しばらくすると再び観光客が侵入していきます。
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 さらに、より悪質な問題も起きています。

 (嵐山商店街 石川恵介会長)「このあたりにも残念ながら、アルファベットなのかわからない言葉もあるんですけど」

 竹への落書きです。名前のようなものやハートマークまで。今年の春ごろから急増していて、市が10月に行った調査では約350本の竹で落書きが確認されたといいます。

落書きする観光客を直撃すると…

 こうした状況に地元商店街の石川さんたちは。

 (嵐山商店街 石川恵介会長)「落書きが見えちゃうと、私もしていいんだという『模倣犯』みたいなのが出ちゃうので、とりあえずビニールテープを」

 被害を防ごうと養生テープを使って落書きを隠しました。ところが。
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 (記者リポート)「地面から小石を拾って竹に何かを書こうとしています」

 いました、模倣犯。取材班が直撃すると…

 (記者)「竹に落書きしてはいけないと知っていますか?」
 (マレーシアからの観光客)「知らない」

 マレーシアから来たという女性たち。悪びれる様子はありませんでした。竹には新たに「M」の文字が。

 地元の人たちは落書きで傷んだ竹の伐採も検討しているといいます。

 (嵐山商店街 石川恵介会長)「きれいな景色を台なしにする落書きは本当に悲しい。また費用をかけて直さないといけないのも悲しいので、本当にやめてもらいたい」

迷惑行為は「舟屋」が人気の伊根町でも…

 深刻化する観光客による迷惑行為。頭を悩ませているのは京都市内の観光地だけではありません。

 京都府の北部・丹後半島にある人口1800人ほどの伊根町。「舟屋」が伊根湾を囲むように立ち並ぶ景色がSNSなどで人気を集め、年間の観光客数は去年、48万人を記録。人口の約270倍もの人が訪れているのです。これに地元の人は。

 (地元住民)「(観光客に)来ていただくことに大賛成。にぎやかな田舎はうれしい」
 (地元住民)「こんな寂しいところに人がきてくれるならええやん。私はにぎわった方がいいと思う」

 と、小さな町の活性化につながると歓迎する声もある一方で…

 (地元住民)「道いっぱいに歩かれるせいで日中は外に出られない」
 (地元で働く人)「車で来る人が多いから、歩いている子どもやお年寄りが危ない」

 「観光客が多すぎて外を出歩けない」というのです。

あちこちで渋滞やポイ捨て「注意したくても言葉が通じない」

 街中を取材してみると。

 (記者リポート)「昼を過ぎて観光バスが続々とやってきました。バスからは外国人の方でしょうか、多くの観光客が降りてきます」

 取材日は金曜日でしたが、町の駐車場へはひっきりなしに観光バスがやってきます。鉄道が通っていない伊根町へのアクセス方法は車などに限られていますが、道路の幅が狭いため、対向車とすれ違うのも一苦労。しばしば渋滞も発生します。

 さらに、車道で車と観光客が入り乱れる場面も。交通誘導員が配置されていますが、対応に苦労しているといいます。

 (交通誘導員)「注意したくても言葉が通じないから。道のど真ん中を歩かれたら車は通れない、それを日本語で言っても通じない」

 問題は交通事情だけに限りません。

 (記者リポート)「道路の脇には飲み物の容器とみられるものが置かれています。中国語で『ヨーグルト風味』と書かれています」
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 人目のつきにくいところに、ひっそりと放置されたゴミ。ポールには堂々とゴミが入った袋がかけられています。こうした状況に地元住民はほぼ毎日、ゴミ拾いに追われています。

私有地に無断侵入して撮影 柵を設置するなど対策するも…

 さらに、住民たちが頭を悩ませている、より悪質な迷惑行為が…

 (舟屋の住民)「天気がいい日は写真を撮るために入ってくる」
 (記者)「どのあたりまで?」
 (舟屋の住民)「ここまで入ってくる。ここを通って先まで出ていく」

 観光客が自宅の敷地内に無断で入ってくるというのです。取材班が張り込んでみると…
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 (記者)「他人の家の玄関前まで入ってポーズを取っています」「観光客が私有地へためらうことなく入っていきます」

 私有地に自由に出入りする観光客の姿が。

 この敷地への無断侵入、今に始まったことではありません。私有地への立ち入りはコロナ禍が明けて観光客が増えた時期から頻繁に見られるようになったといいます。

 そこで、地元の人たちは対策として私有地であることを知らせる柵を設置。柵に気付いて後戻りする観光客もいますが…

 (記者)「男性と女性が無断で私有地に入り込み、写真を何枚も撮り続けています」

侵入者「母国では全ての道を行き来できる」

 なぜ柵を無視して無断侵入するのか。記者が直撃しました。

 (記者)「舟屋が私有地と知っていましたか?」
 (韓国からの観光客)「知りませんでした。初めて伊根町に来たんです。私は1回も聞いたことがなかった。そういう考えはなかった」

 韓国から来た女性は私有地という認識はなかったと話します。敷地に立ち入らないように記者が注意すると…

 (韓国からの観光客)「韓国では全ての道を行き来することができる。狭い道であったとしても。すみません」

 謝罪はしながらも「自分の国では問題ない行為」だと言って去っていきました。

 小さな町にまで波及しているオーバーツーリズム問題。観光と暮らしの共存が叶う日はくるのでしょうか。

2025年11月04日(火)現在の情報です

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