2025年12月04日(木)公開
【独自】年金事務所による「強引な差し押さえ」で経営危機の運送会社 厚労省の審査会が差し押さえを取消「主張認められ大変うれしい」 日本年金機構などを相手取り差し押さえ処分の取り消しなど求めた裁判は12月9日予定
特盛!憤マン
2025年9月1日「よんチャンTV」で放送した吹田年金事務所による強引な差し押さえ。 この差し押さえの大半について、管轄する厚労省の審査会が取消す決定を下したことがMBSの取材で分かりました。
「適切、妥当なものではない」厚生労働省審査会 差し押さえの取消し

【厚生労働省審査会の書類】
「原処分は適切、妥当なものではなく、取消しを免れない」
厚生労働省社会保険審査会が「適切、妥当なものではない」と指摘し、差し押さえの取消しを伝える文書。
これは大阪府高槻市の運送会社シーガルに11月30日届いたものです。
社員が横領し滞納…「税金」「雇用保険」は納付を猶予

シーガルの事務所は以前は3階建てのビルでしたが、いまは駐車場の一角にあるプレハブ造りの建物に。
その理由は、おととし10月経理担当の男性社員が会社が収めるべき税金や厚生年金などを横領していたことです。
(運送会社「シーガル」 村岡大典総務部長)「(社員が)実は横領してました、中国の妻に送ってましたと。(Q総額いくらくらい?)5000万円以上かな」
その3か月後、男性社員は心臓病で急死、残されたのは多額の滞納金でした。
![]()
法律で犯罪被害や災害にあった場合、税金や保険料は納付を1年猶予してもらえると定められているため、『税金』を徴収する税務署や市役所、『雇用保険』などの徴収窓口である労働局は、全てが『納付を猶予』してくれました。
厚生年金は納付の猶予認めず 年金事務所は“勉強不足”認めるも差し押さえはやめず

しかし、3000万円以上を滞納していた『厚生年金』だけ、年金事務所が『納付の猶予』を認めませんでした。
![]()
(運送会社「シーガル」 村岡大典総務部長)「そんな猶予する理由がないと。横領はおたくの事情、資金をどう捻出するかもおたくの事情、そんなことはうちには関係ないです。1年間猶予できるってあるじゃないですか?というと。『何の法律ですか?そんなん聞いた事ないですね。何の何条ですか?』と言われたんです」
![]()
年金事務所は去年8月、取引先から支払われる運送料まで差し押さえをし、その結果、経営が危ないと思われ、取引先が激減し、売上げは3分の1に。運転手は20人以上解雇せざるを得なくなりました。
そんななか、年金事務所の職員から去年9月…
(運送会社「シーガル」 村岡大典総務部長)「『(法律に)横領は猶予の対象になるってありましたわ、勉強不足ですいませんでした』って言われたんです。(差し押さえの)残りの分は止めていただけるんですか?っていうと『それは無理ですねえ』と言うんです」
「主張が認められたということは大変うれしい」

村岡さん達は去年12月、日本年金機構などを相手取り、差し押さえ処分の取り消しなどを求め大阪地裁に提訴。
同時に、機構を所管する厚生労働省にも差し押さえ5件を不服として審査を請求。その裁決結果が11月30日に送られてきたのです。
![]()
結果は差し押さえ4件については、担当職員が納付を猶予できる可能性を認識していなかったと認定し、「適切・妥当ではなく、取り消しを免れない」と裁決。
残る1件については「取り消しても被害回復ができないので却下」でした。
![]()
(運送会社「シーガル」 村岡大典総務部長)「私どもの主張が認められたということは大変うれしいです。行政の方からはそういう裁決がおりた訳ですから、裁判の方もそれを考慮していただいて、正当な判決を出して下さることを期待してますし、信じております」
原告の代理人弁護士は。
![]()
(原告代理人 小泉哲二弁護士)「上級官庁の判断が出たら(日本年金機構が)覆すことは法的にできないので原告側の勝ちです。不当な差し押さえで会社を縮小したりお得意さんを失ったりしていますから、本来得られるはずの利益が得られなかったと、そこの部分の争いが今後残るんだろう」
この裁決について日本年金機構は「関係する法令の規定に基づき適切に対応していく」としていますが、12月9日に大阪地裁で開かれる裁判でどのような対応をとるのか注目されます。
2025年12月04日(木)現在の情報です
