2025年10月02日(木)公開
千年以上の歴史ある寺の一部が心霊スポットに!?住職逮捕で無人化→「肝試し目的」の不法侵入が相次ぐ 近隣住民から不安の声 大阪・阿倍野区「正圓寺」
特盛!憤マン
大阪市阿倍野区にある寺「正圓寺」。939年に創建され、千年以上の歴史がある由緒ある寺です。しかしいま、その寺で『心霊スポット』として不法侵入する人が相次いでいて、地域住民から不安の声が上がっています。
「気味が悪い」地元で親しまれた由緒ある寺の現在
大阪市阿倍野区。「あべのハルカス」の南、緑に囲まれた土地にあるのが真言宗の寺「正圓寺」です。
創建は平安時代の939年。随筆「徒然草」で知られる吉田兼好ゆかりの寺で、地元では「天下茶屋の聖天さん」として親しまれてきました。
ところが今、この寺について近隣住民たちに話を聞いてみると…
(近隣住民)「不気味だから通らないようにはしてるかも。怖いから」
(近隣住民)「長いことあの状態がずっと続いてますからね。気味が悪いのは気味が悪い」
寺の敷地に建つ『廃墟』のような建物
「気味が悪い」とはどういうことなのか。山門のわきにある道を進んでいくと、見えてきたのは寺の敷地に建つコンクリート製の大きな建物。壁には落書きがされ、窓ガラスは割れていて廃墟のようになっています。
一体この建物は何なのか。実は正圓寺が特別養護老人ホームの経営を始めようと、8年ほど前から建設を始めた建物です。
しかし、その建設工事を巡って寺の資金繰りが悪化。さらに、寺の住職だった辻見覚彦受刑者(58)が、差し押さえを免れようと、寺の土地を売買したとするウソの登記申請を行ったなどとして詐欺などの罪で逮捕・起訴されました。
そして去年10月、大阪地裁は辻見受刑者に懲役2年6か月の実刑判決を言い渡したのです。
そのため寺や、問題の建物は辻見受刑者が逮捕された約2年前から無人状態となっています。
肝試し目的の不法侵入が多発 近隣住民からは不安の声
また、この建物を巡っては新たな問題が浮上しています。それが「心霊スポット化」。
近隣住民らによると、肝試しなどを目的に廃墟化した建物に不法侵入する人たちが相次いでいるというのです。寺のすぐそばには学校や公園もあり、不安の声が上がっています。
(近隣住民)「3回くらいパトカーが来られたのは見ていて、誰かが潜んでたのか。落書きがあったりガラスが割られたりしていたようで」
(近隣住民)「公園が近くにあるので、たまり場とかになってるというのは、不安なところはあるかなと思います」
正圓寺は債権者から破産を申し立てられ、大阪地裁は今年6月、破産手続きの開始を決定しています。
建物も現在は別の会社の所有になっていますが、管理をしている男性も侵入者に頭を悩ませています。建物の入り口をふさぎ、立ち入り禁止の張り紙などをしていますが、なかなか効果がないといいます。
(管理会社の男性)「不法な侵入は困りますね。窓が割られたりしていると、器物破損になりますから。そういう行為はやめていただきたい」
取材班が建物に入ってみると…いたるところに落書きやゴミ
地域を不安に陥れる侵入者。よく現れるという週末の夜に取材班が建物を訪れてみると…
街灯に照らし出された無機質で巨大な建物。昼よりも一層、異様な雰囲気が漂っています。取材班は朝方まで周辺をパトロール。この日、不法侵入をする人物は現れませんでした。
別の日、管理会社の許可を得て敷地の中に入ってみると…
(記者)「入ってすぐ壁に大きな落書きがされています。窓ガラスは割れてしまっています。使われなくなったタイヤが不法投棄されています」
明らかに何者かが侵入した痕跡が。さらに、建物の中には、大量のネジが散らばるなど、工事が中断した時のまま資材が放置されています。
取材班が2階に上がってみると、粉々になったガラスやまだ新しいタバコの吸い殻が…最近も侵入があったようです。集団で入ったのでしょうか、ペットボトルや缶など、たくさんのゴミも捨てられていました。
警察は地元住民とともにパトロールを行うなど対策強化
こうした状況を受け対策が始まっています。警察は地元住民らとともに定期的にパトロールを行うなど、不法侵入の取り締まりを強化。
阿倍野署によりますと、今年4月以降、肝試し目的などで侵入した高校生ら約15人を補導したということです。
こうした地道な対策で不法侵入は少しずつ減ってきているといいます。
(地元の住民)「今回はだいぶいろんな方が協力してくれているし、ただ(地域などの)興味がなくなったらまた元に戻るんで、そうならないようにしたいなと思います」
警察や消防は、管理者に対して建物の周りに塀を設置するなどの対策も求めていくということですが、地元に平穏は訪れるのでしょうか。
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