2025年09月23日(火)公開
水の入ったペットボトルや拾ってきたマスク...住宅地を侵食する「ゴミ屋敷」に近隣住民は悲鳴「すごく不衛生」 直撃取材に住民「片づけたい気持ちはあるけど足踏み状態。そんな情けない人間なんですよ」
特盛!憤マン
神戸市北区の住宅街に地域住民たちが頭を悩ませている家があります。住民の男性が、自宅だけでなく周りの土地や施設にもモノを積み上げるなどし『やりたい放題』だといいます。 長年改善されない状況に取材班が住民男性を直撃すると、自宅の中へと案内されることに。男性が語った片づけができないワケとは?
水の入ったペットボトルに拾ってきたマスク…周囲を浸食する「ゴミ屋敷」
神戸市北区の鈴蘭台。三宮へ通勤する人が多い閑静な住宅街です。この街に住む田中さん(仮名)はある場所に頭を悩ませています。
(鈴蘭台に住む 田中さん(仮名))「(Qすごい量)毎日のように持って帰りますのでね」
家の玄関の周りに積み上げられた大量の「モノ」。水の入ったペットボトルに、軍手や鍋といった日用品などが山積みになっています。
(田中さん(仮名))「(Qマスクが…)拾ってきたマスクだと思うんですけどね。こうして干してある。風がきつかったらみんな落ちてしまう。道路際に落ちてきたら車が通れなくなる。そういう意味でも本当に片づけていただきたい」
玄関の奥に見える灰色の住宅。そこに一人で暮らす男性が6年ほど前からどこかからモノを拾ってきて溜め込んでいるというのです。横から見てみると、玄関だけでなく家へと続く階段にもギッシリと詰まっているのが確認できます。
この家は道路に面した玄関から階段をおりた先に建っています。この階段がある斜面や隣接する土地は神戸市が所有していますが、そこにもモノがあふれて置かれている状態です。
「不衛生」「みんな迷惑している」近隣住民は困惑
問題はほかにも。近くには水道局の施設があるのですが…
(田中さん(仮名))「1時間おきにある程度の水が出てくるんです。(問題の家の)住民が拾ってきたものをここで洗濯するんです」
田中さん(仮名)によると、住民の男性が施設から出る水で洗濯をし、フェンスに布団などを干しているというのです。
さらに敷地の中にバイクも停めています。周りの土地や施設まで使う「やりたい放題」の男性に、ほかの近隣住民たちも憤っています。
(近隣住民)「水をためてボウフラがわいたりとか、そういうのを見るとすごく不衛生だなと思うこともありますし、電池もそこらへんに捨ててあることもあるので、発火ということも考えられて危険だなと思う」
(近隣住民)「みんな迷惑してますよ。鈴蘭台って一番夕焼けが美しい坂道があるんです。あそこを通らないといけないというだけでイヤだと思いますね。とても残念なことです」
神戸市「行政代執行する段階にない」
田中さん(仮名)ら近隣住民は神戸市などに相談。撤去を勧告する紙が貼られるなどしましたが、改善しなかったといいます。
周りの市の土地にもモノが置かれている状態ですが、強制的に撤去することはできないのでしょうか。
(神戸市北区役所 田中俊之課長)「いますぐにでも対応しなければ甚大なことになってしまうという切迫度の大きさで判断基準が決まっている。行政代執行する段階かというと、その段階ではない状況にあります」
「何でもかんでも置いときゃいいだろって」住民男性を直撃
何とか状況を改善できないのか。取材班が男性に会うため玄関の前で待っていると、山積みになったモノをよじ登って初老の男性が現れました。
ーーーQお話を伺っても?
(住民の男性)「いいっすよ」
ーーーQ荷物はご主人のもの?
(住民の男性)「そうなんすよ」
ーーーQ何か理由があって置いている?
(住民の男性)「性格的に雑なところがあって、何でもかんでも置いときゃいいだろって置いている人間なんですよ」
ーーーQ柵のゴムチューブとかマスクとかも?
(住民の男性)「道端におっこちてたのを、これ使えるんじゃないかなと僕貧乏性なんで、何でもかんで使えるんじゃないかなってそれでこうなってしまうんですよ。捨てるのもやっぱりちょっと気が引けるっていうか。これは歯ブラシとかブラシですよ。これでね靴洗うんすよ」
ーーーQこの靴は片方だけ?
(住民の男性)「いまは」
ーーーQゆくゆくもう一足手に入る?
(住民の男性)「この辺あるでしょ多分」
男性は「もったいない」という気持ちでモノを集めていると話します。ただ、これだけ山積みの状態でどうやって出入りしているのでしょうか?
(住民の男性)「行き方としては積まれているモノを上がって足をかけて、通っていかなきゃいけない」
ーーーQ柵に足乗っけてますけど大丈夫?
(住民の男性)「僕もときどきウワーってなるんすよ」
ーーーQ落ちたことはないですか?
(住民の男性)「何回かは落ちかけました」
男性の案内で取材班も中に入ります。なんとか一番下にたどり着いたかと思いきや…
(住民の男性)「2階から出入りしてるんですよ」
ーーーQ本当はこの奥に1階がある?
(住民の男性)「あそこにドアがあるんですけど」
1階はモノで埋めつくされていて入ることができないと言います。
ーーーQこれは最近使ったというものは?
(住民の男性)「ときどき使ったりするのはバケツみたいな。洗濯するときに使ったり、はっきり言って99%か98%のモノは使わないです」
天井近くまで積み上げられたモノ
ふだん出入りしているという2階の中は、天井近くまで日用品や衣類などが積み上げられていて、今にも崩れ落ちてきそうです。
(住民の男性)「入るときはこういう風に足かけて上がって、ここで靴を脱いで、靴とかいつもこの辺に置いて、虫が入ってくるからこんな感じで閉める」
(住民の男性)「もう無理やりスペース作ってそこで毛布を敷いたりして寝る。『こんなんじゃよくないかな』と思っているんですけれど、自然と日々そうなってくると慣れっていうか」
ーーーQ体調を崩したり火事になったりしても、消防が来られないのでは?
(住民の男性)「それはあると思いますよ。具合悪くなって救急隊員が来て救助するのも大変だろうし、火事が起こったときに逃げたりするのも大変だと思うんですけど、こういう生活は僕はおすすめしません」
約2時間にわたる説得「年内めどに片づける」
本人も不便だという生活。では近隣住民の迷惑も考え片付けた方がよいのではないでしょうか。
ーーーQ置いてることは申し訳ないと思っている?
(住民の男性)「それはもうありますよ。迷惑かけているかもというのは重々わかっています。そりゃもう自分がわかっていますから。やりたい気持ちはある。でも足踏み状態でどうしよう、どうしよう、そんな情けない人間なんですよね。近所の人間から言われても分かっているよ、そんなことは。アンタに言われる筋合いないだろうみたいな」
ただ、取材班が約2時間、説得を続けると…
(住民の男性)「自分の不始末は自分で片を付ける。ある程度は」
ーーーQいつごろをめどに片づける?
(住民の男性)「年内ですね。やっぱりちょっと涼しくならないと」
「年内をめどに片づける」と話した男性。バイクに乗って去っていきました。約束は守られるのか。取材班は今後も状況を見守っていきます。
頭ごなしの否定や指示は× 解決のため相手を受け入れる姿勢が大事
(川地晴也記者)
「家の前に1本の通りがあり、そこを通るときには匂いはしますが、生ゴミとかではなく、基本的には日用品がメインとなっていて想像しているよりは臭いはないなというのが、個人的な感想です」
行政の今後の動きはどうなるのでしょうか?
(川地晴也記者)
「ゴミ屋敷問題に詳しい心理カウンセラーの佐藤英子氏に取材すると、ペットボトルが並んであったりマスクが決まった場所にかけてあったりなど住民男性は法則性を持ってゴミを並べていて自分なりの強いこだわりを持っている人です。そのため、頭ごなしに片付けてくださいなどの否定や指示はよくなく反発してしまいます。相手をなるべく受け入れる姿勢が大事だということで、『一緒に片付けましょうか』や『何でこうなったのか』というようなことを寄り添いながら、アプローチしていくことが必要だとしています」
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