2025年06月27日(金)公開
「歩くたびにギシギシ」床にヒビ、穴開いた天井から液体..."低すぎる耐震性"に学生から不安の声 建て替え求めるも認められず「怒りを禁じえない。いつまで放ってるの?」京都府立大学
特盛!憤マン
京都府立大学の下鴨キャンパスで「低すぎる耐震性」が指摘されています。校舎の約半数が震度6~7の地震で倒壊する危険性があり、キャンパスに通う学生からは不安の声もあがっています。なぜ建て替えが進まないのか、取材しました。
天井に「穴」、壁や床に「ヒビ」
京都市左京区にある「京都府立大学」。学生の数は約2300人と規模は小さいものの、去年から新たに学部を2つ増やすなど時代のニーズに合わせて学びの幅を広げています。そんな学び舎で、ある問題が。それは…
「(床に)ヒビ入っています」
大学で25年以上教べんをとり、充実した学生生活の実現を目指し教員や学生などでつくる団体の高原正興名誉教授(75)。高原さんが授業をしている2号館は、学内で最も古く1961年に建てられました。
実習指導室の天井に空いた穴。約3年前から修復されず、そのままになっているといいます。
(別の教員)「下にバケツありません?」
(高原正興さん)「バケツ?物が落ちてきた?わけの分からない液体が落ちてきた?」
(別の教員)「液体が落ちてきたらしいです」
2号館以外の校舎も建設から40年以上経つものがほとんどで老朽化が進んでいます。ただ、高原さんがそれ以上に問題視していることがあります。それは、低すぎる耐震性です。
(京都府立大学 高原正興さん)「古いですね。これ(7号館)も耐震はないですね。第一体育館が一番耐震指数が低い。体育の授業では使えないから、グラウンドの隅っこに仮設の体育館を建てて授業はそこでやっています」
校舎約半数が耐震不足 学生から不安の声
建物の耐震性能を表す指標の一つに「Is値」というものがあります。震度6~7程度の地震が起きたとしても、Is値が0.6以上であれば、「倒壊または崩壊する危険性が低い」、つまり一定の耐震性があるとされています。
京都府立大学がまとめた資料には学内の主な8つの建物のうち、6つでIs値が0.6を下回っています。
Is値0.6以上が占める割合を耐震化率といいますが、国立大学では全国すべての大学でほぼ100%、私立大学は平均で約96%なのに対し、京都府立大学は約52%で極端に低いのです。
学生たちは…
(学生)「(体育館の)壁が剥がれてたりとか、歩くたびにギシギシいったりするんですけど、そういうところでも耐震性の不安を感じたりしますね」
(学生)「3年生、4年生にあがっていくにつれて、2号館にお邪魔することも多くなっていくので、自分たちが危険な目にさらされる状況になるかもしれないのも、あんまり好ましくないのでちょっと嫌やな」
学生が建て替えを求めるも京都府は認めず
京都には、JR京都駅の北東から滋賀県高島市まで続く全長約47kmの「花折断層」があり、府の想定では大学がある左京区は最大震度7を観測するとされています。
このため一部の学生は今年2月、府に校舎の建て替えなどを求める請願書を提出しましたが、多額の事業費がかかることや学部再編に合わせた整備が必要なことを理由に認められなかったといいます。
こうした状況に高原さんは…
(高原正興さん)「怒りを禁じえない。なんでいつまで放ってるの?(京都府の)言い訳はお金がないって言う。大学の将来像が見えないことが京都府が校舎を建て替えない理由の1つになっている。ちょっと納得いかないですよね」
一級建築士の名和さんは、建て替えがすぐにはできないとしても補強を急ぐべきだと話します。
(一級建築士 名和啓雅さん)「費用対効果の問題もあるかと思いますけど、変形が大きいと思われるところに上手な予算の使い方で補強をしていくと。そういう方法が当面のやり方としては的を射てるんじゃないかなと思いますけど。新しく建て替えるのが理想です」
京都府に“受け止め”を聞くと…
この問題を京都府はどう受け止めているのか。取材に対し、文書で回答しました。
(京都府)「老朽化や耐震性の問題の解決と合わせて、今年度は特に耐震性の最も低い体育館整備を検討する予算を計上し、建て替えに向けて検討を進めている」
一部の建て替えを検討している考えを示しました。
いつ来てもおかしくない地震。学生たちは一日でも早く安心して学べる環境を求めています。
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