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「何年かかるねん」「いつできるねん」完成が20年遅れている『駅の高架化』...続く「開かずの踏切」では警報機が鳴ってもみんな構わず突っ込む

特盛!憤マン

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 阪急電鉄京都線と千里線4駅を含む『高架化工事』。1994年に計画されて2013年に完成する予定でしたが、予定が延びに延びて、現在は2032年に完成予定となっています。阪急淡路駅の周辺では開かずの踏切により“危険な状態”となっていました。

約20年も完成が遅れている「阪急電鉄4駅の高架化」

 大阪市東淀川区にある阪急電鉄・淡路駅。京都線と千里線が乗り入れていて、1日に平均3万2000人が利用しています。

 (地元住民)
 「便利ですよ、非常に。千里山も行けるし京都線も行けるし、十三で乗り換えて神戸線も行けるし」
 「(Q梅田までも時間かからない?)ドアツードアで15分ですね。阪急百貨店まで行って帰って買い物して、2時間あれば十分遊べますね」
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 そんな淡路駅で地元住民の悲願ともいえる計画が進行中です。まず淡路駅では4階建ての新駅舎が建設されています。そして計画では、現在は地上を走っている京都線と千里線の計約7.1kmを周辺の3駅(崇禅寺駅・柴島駅・下新庄駅)と合わせて高架化するとしています。これにより阪急電車の線路は新幹線の線路よりも上部に通されることになります。
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 しかし、実現までの道のりはそう簡単ではないようで、地元で不動産業を営む石原幸二さん(56)はこの計画について呆れ果てていました。

 (石原幸二さん)
 「何回も延期になってここまできているという感じですね。『何年かかるねん』『いつできるねん』というのは合言葉になっていると思います」
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 というのも、鉄道の高架化は1994年に計画されて2013年に完成する予定でした。ところが用地買収が難航して、完成見込みは3度にわたり延期され、今から10年後の2032年に完成する見通しです。

 (石原幸二さん)
 「『いつできる』と言ってもずっと遅れてきているから、あまりみんな信用していない部分が多いですね。(Q10年後に完成予定ですが?)そこもなかなか心配している方が多いですね」

建設費用は当初より約700億円も増加…地元住民『いつ完成するの?』

 建設費用も、物価上昇や人件費の増加、安全対策の強化や土壌汚染の判明などの理由で、当初見込みの1613億円から2326億円まで膨れ上がっています。費用負担は国が約50.3%、大阪市が約41.2%、阪急が約8.2%です。こうした状況の中、地元住民は本当に完成するのかと疑念を抱いています。

 (地元住民)
 「私が淡路に引っ越すときにこうなりますと聞いて、娘が生まれるときやったんですよ。その娘がもう26歳なんで。もうすでに20年遅れている」
 「(Qいつになるのかなと?)みんなそう言っている、いつ完成するのって。じゃあ私たちはあと何年生きられるのみたいな。どっちが早いんやろみたいな」

2本の踏切が連続した「開かずの踏切」に住民たちは困惑

 「一刻も早く完成してほしい」と口を揃える住民たち。そこには切実な理由がありました。

 (記者リポート)
 「千里線と京都線の両方の踏切が閉まっていて、踏切と踏切の間のエリアには大勢の人が取り残されています」
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 淡路駅のすぐ近くには千里線と京都線の2つの踏切が連続していて、地元では『開かずの踏切』として知られているのです。

 (石原幸二さん)
 「朝と夕方は結構閉まっていることが多いです。5分~10分くらいは待つときがありますね」

 実際に憤マン取材班が夕方のラッシュ時に調べてみると、1時間に上下線計54本の列車が通過。その間に、なんと54分間もどちらかの踏切が閉まっていました。
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 (記者リポート)
 「警報機が鳴っているのに自転車をこいで遮断機の中に侵入している人がいます。危ない危ない!出ないと!」

 踏切がたびたび閉まるため、強引に渡ろうとして踏切の中に閉じ込められる人も…。
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 下りてきた遮断機にぶつかった人もいました。警報機が鳴り始めてもみんな構わず突っ込んできます。危険性を認識していないのでしょうか。

      (記者)「今、警報機鳴っていませんでした?」
 (踏切を渡った人)「警報機は鳴っていましたね」
      (記者)「なんで渡ったんですか?」
 (踏切を渡った人)「これぐらいは渡れるかなと思って」
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 高齢の人が遮断機が下りてきているのに一時停止することなく踏切に進入。踏切の先にいた警察官に呼び止められていました。警報機が鳴っている時に自転車で踏切に進入すると道路交通法違反となります。この人に話を聞くと…。

 (踏切を渡った人)「(警報機)鳴っていたか?」
      (記者)「鳴っていました。危なくないですか?」
 (踏切を渡った人)「こっちもわからんかったんや」
      (記者)「なんで渡ったんですか?」
 (踏切を渡った人)「渡れるから渡ったんや」

 警報機が鳴っているのを確認したと記者が何度も告げると…。

      (記者)「電車が通りすぎるのをなぜ待たないのですか?」
 (踏切を渡った人)「待つのが嫌やからや。待つのが嫌やから」

 平日午後4時から5時までの1時間で、記者が目撃した警報機が鳴ってから踏切に進入した数は、車13台・自転車43台・バイク3台・徒歩4人となりました。

松井一郎市長『実現できるように組織として総力をあげる』

 危険行為が横行している開かずの踏切。踏切に進入する人たちにもちろん責任はありますが、工事を進めている大阪市はこの実態を放置するのでしょうか。

 (大阪市 松井一郎市長 11月18日)
 「開かずの踏切を無理やり開けることはできませんからね。やはりそこは工事が終了するまでの間は、交通規制やルールを守っていただいて、事故のないように一人ひとりが自覚を持ってもらうしかないと思います」

 松井一郎市長は工事が終わるまで打つ手がないと言います。また工事が再び延期する可能性については次のように話しました。

 (大阪市 松井一郎市長 11月18日)
 「スピード感を持って進めたい。今はその日程で実現できるように組織として総力をあげます」
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 気になる高架工事の行方。今後、大幅に遅れる可能性は低いと都市計画の専門家である立命館大学の村橋正武上席研究員は指摘します。

 (立命館大学総合科学技術研究機構 村橋正武上席研究員)
 「用地買収がほぼ終りました。1年ずれるという可能性はありますけれども、これが5年ずれるということは私はもうないと思いますけどね」

 20年近く遅れている淡路駅の高架工事。地元住民の期待を裏切らないためにも、さらなる延期は絶対に許されません。

2022年11月22日(火)現在の情報です

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