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"医師の体調不良"で『入院病床の休止』を市が決定...しかし医師は「体調不良で休んだことは1回もない」と発言 実際の理由は『経営改善』?へき地医療の危機に住民困惑

2022年11月14日(月)放送

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 京都府南丹市美山町で、医師の体調不良を理由に、市が運営している診療所の「入院病床休止」が決まりました。町民たちが「体調不良ならしかたがない」と思っていたところ、休止の理由となった医師は「体調不良で休んだことは1回もない。利用されたのでは」と話しています。一体何が起きているのでしょうか。

人口の半数近くが65歳以上の町で『診療所の入院病床休止』が決定

 京都府のほぼ中央に位置する南丹市美山町。かやぶきの家が立ち並ぶ風情豊かな景色が広がる一方、人口約3500人のうち半数近くが65歳以上と高齢化が進んでいます。そんな町を支える医療に今、ある異変が起きています。
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 (美山町に住む下村眞さん)
 「ここが南丹みやま診療所です。このへき地の美山に入院がなくなるのはびっくりというんですかね。そんなことしてええんかと」
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 怒りをあらわにするのは美山町に住む下村眞さん(75)。町で唯一医師が常勤する南丹みやま診療所の入院病床4床がすべて休止するといいます。

休止理由は『医師の体調不良』住民への説明は紙1枚のみ

 事の発端は今年9月、南丹市の西村良平市長の発言でした。

 (南丹市 西村良平市長 今年9月の南丹市議会)
 「中心的なドクターでございます中村先生、体調を崩されて入院の医療体制が整わない状況になってきてしまっていますので、当面入院病床は休床せざるを得ない」

 入院病床休止の理由とされたのは、これまで診察で中心的な役割を担ってきた中村真人医師の体調不良です。これにより当面入院の医療体制が整わないことから、やむなく休止を決定したといいます。しかし、住民への説明はあまりにあっけないものでした。
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 (美山町に住む下村眞さん)
 「きちっと住民に説明すべきだと思うんですけど、この紙1枚を出して、それで説明おしまいだと。(Qこれだけ?)これだけですよ。これだけで市長の1年半前の公約である4床残すということを休止するんだと。納得できるはずないですよね」

 提示されたのは「入院病床 休床のお知らせ」という紙1枚のみ。入院病床の廃止ではなく休止のため、市としては市長の公約に違反しないというスタンスです。

診療所の運営をめぐる問題は過去にも

 実は、取材班がこの診療所を取材するのは今回が初めてではありません。

 (住民説明会で発言する住民 去年3月)
 「美山診療所をぜひ充実させて、住民が安心して安全に暮らせる施策にしていただきたい」
 「全てが決まった上でその報告だけを聞くというのはいささか違うのではないか」
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 去年3月、診療所の運営方針をめぐって町は揺れに揺れました。経営悪化により診療所は市の直営になり、無料送迎サービスは廃止され、職員の数もほぼ半減するなどサービスは大きく低下。そんな中でも住民たちの猛反発を受けて守られたのが入院病床だったのです。

 診療所を普段利用する住民からは次のような声が聞かれました。

 (住民・96歳)
 「(Q入院病床が休止になるかもしれないが?)それが一番困りますね。年寄りは何があるかわからないので」
 (住民・89歳)
 「なくなったら、子どもといっても遠いし、大阪だし。年寄りなので1週間とか入院することもあるかもしれませんし、なくなったら困りますね」
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 南丹市の面積の約6割を占める美山町では、診療所まで車で30分以上かかる地域も。入院病床が休止になれば約1時間かけて隣町の医療機関へ行くことを余儀なくされます。

体調不良のはずの医師が往診に現れる「私が利用されたのではと」

 へき地医療を支え続けてきた診療所から入院病床が消えるという危機。取材を続けていると、ここで“思わぬ事態”が。体調不良のはずの中村真人医師(68)が住民の往診に現れたのです。
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 (患者)
 「私も心配して。もしも先生が入院してたりしたらここにおれへんから、心配してた。よかった」

 一体どういうことなのでしょうか?
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 (南丹みやま診療所 中村真人医師)
 「通院のために休ませてもらっていたくらいのことで、体調不良で休んだことは1回もないです。私を理由に報道すれば患者さんも反対するわけにはいかないということで、私が利用されたのではないかというふうに個人的には思っています」

 中村医師によりますと、市は経営の悪化を理由に入院病床の休止を検討。中村医師は反対しましたが、逆に市は中村医師の体調不良を休止の理由にしたというのです。

 休止が発表された議会で示された「診療所の経営状態の資料」には次のようなことが書かれていました。

 【資料に書かれた内容】
 『入院診療機能を廃止することが、最も収支改善効果を期待できる』

 収支改善が目的なのであれば入院病床は休止に留まらず、そもそも廃止が決まっているのではないかと中村医師は考えています。

 (南丹みやま診療所 中村真人医師)
 「まず1回施設や入院病床を閉めたらなかなか再開なんてできないです。人を集めることもできないから、閉鎖はできても再開はなかなか難しいことだと思います。でも(市は)そのことは絶対言わないでしょ?」

 入院病床は今後再開されるのでしょうか。取材班は市長にインタビューを申し込みましたが、市は書面で回答しました。

 【南丹市の回答内容】
 『今回の休床と「経営診断」が直接関係してはいませんが、今後、検討することとなります。再開は、未定です』

「医療のない状態が生まれてしまう」「住民の命を守ることが大事」

 入院病床が休止となる10月31日、住民たちは改めて不安な心境を訴えました。
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 (下村眞さん)「ベッド4床がなくなるだけじゃないと。深刻な、医療のない状態が美山に生まれてしまう」
    (住民)「大きな病院でも正常な経営はなかなか難しい。ましてやこんな田舎で経営が成功するのは非常に難しい。それよりも住民の命を守ることが大事」
    (住民)「行政の責任だと思う」

 患者1人1人のよりどころとなっているへき地の医療。行政は現実に目を背けず住民の命を守る責任があるのではないでしょうか。

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