2022年09月06日(火)公開
シラサギ大繁殖で「学校プール占拠」「道端に食べ残しの魚」...しかし場所は『白鷺城』近くで『市鳥』でもあり対応に苦慮
特盛!憤マン
『白鷺城』の愛称で有名な世界遺産・姫路城(兵庫県姫路市)。しかしその姫路市でシラサギが大繁殖しているということです。シラサギによるさまざまな被害に住民らは頭を抱えています。
フンや食べ残しが道路に…街の“シンボル”が大繁殖
世界遺産の姫路城。真っ白の天守閣がシラサギの飛ぶ姿に見えることなどから『白鷺城』とも呼ばれています。
姫路市はシラサギを街のシンボルである市鳥に指定していますが、今そのシラサギを巡って問題が起きているのです。
(近隣住民)
「すごいよ!何百羽というやつやな」
「ギャアギャアギャアっていってるよね。(鳴き声は)かわいくない」
「ウンチかけられたとか結構あるみたいで」
現場は姫路城から車で約4分の場所にある手柄山。周辺には小中学校があり生徒たちの通学路になっています。
(記者リポート)
「あそこですね。木の上にシラサギが集まっています」
体長90cmほどの大きなシラサギ。山の至る所にずらっと100羽以上が確認できます。
よく見てみると木の上には巣がつくられています。この山はシラサギの一大繁殖地になっているのです。
取材班が近づいてみると、シラサギがいる木の下部は、葉がフンで真っ白になっています。
道路にも白いフンの跡が点々とついています。
さらに、路上にシラサギの食べ残しがそのまま放置され、あたりには悪臭が漂っています。
(記者リポート)
「え!魚が落ちていますよ」
『プールを占拠』『車がフンまみれ』近隣学校でも被害
被害は現場の目と鼻の先にある小学校でも出ています。
【教職員が撮影した映像より 2020年】
「大変なことが起こっています。学校のプールがサギの住みかになってしまっています」
映像では、水を飲みにきたシラサギがプールを占拠する事態になっていました。
(手柄小学校 満田誠校長)
「プールのオフシーズンを中心にやってくることが多いですね。よくプールの中に、くわえていたエサを落としていたりだとか、フンが落ちていたりだとか、そういうことはあります」
プール周辺の建物には鳥よけのワイヤーが設置されていますが、プールサイドに降り立たれると打つ手はありません。
さらにフロントガラスにべったりとついたフン。シラサギが小学校の上空を飛ぶため、教職員の車は頻繁にフンまみれになるといいます。
(手柄小学校 満田誠校長)
「帰るときにみんな『ああ…やられた』という感じですね。車にかけられているとみんなテンションが下がってしまうんです。職員もね、帰るときに。拭いて取れる程度の量じゃないので洗車しないといけない」
独特の鳴き声が一晩中続く日も
被害はフンだけではありません。日中はエサを求めて海や川に移動するシラサギ。日が暮れるとねぐらとなる山に戻ってきます。
(記者リポート)
「こっちからもシラサギが来ました。すごい。一気に巣に帰ってきています」
そして独特の鳴き声があたり一面に響き渡ります。近所の人によりますとシラサギの“大合唱”は一晩中続く日もあるといいます。
臨海部の森林伐採で移動か
この山でシラサギが確認されたのは2011年ごろ。毎年、繁殖期の春~夏ごろにやってきて、最も多い時期には500羽を超えるといいます。そもそもなぜこの山に住みついたのでしょうか。
姫路市などによりますと、シラサギの群れは元々は南部の臨海部に生息していたとみられます。2011年ごろまでに臨海部で工場開発が行われ、森林が伐採されたことから、この山にねぐらを移したとみられています。
専門家「集団になりやすいサギが集まっている」
一方で鳥の生態に詳しい大阪市立自然史博物館の和田岳さんは、この山に集まった理由ははっきりしないとした上で、サギの種類に特徴があると指摘します。
(大阪市立自然史博物館 和田岳さん)
「サギと一口に言っても、バラバラで繁殖する種類もいるし、すごく大きな集団を作る種類もいる。集団になりやすいサギがあそこに集まっているんですよ」
山に集まっているシラサギは主にダイサギと呼ばれる種類で、集団で巣をつくり繁殖する性質があるといいます。シラサギの群れは今後より一層拡大する可能性があると和田さんは話します。
(大阪市立自然史博物館 和田岳さん)
「大きめのサギは日本全国的に増えていると言われていて、その増えている種類の筆頭が(この山にいる)アオサギとダイサギなんです。この10年くらいですね。ダイサギがガンガン増え出したのは」
別の市では『木を伐採』『ロケット花火』などでも駆除できず
急増するシラサギ。一方で駆除は簡単ではありません。兵庫県丹波篠山市では15年以上前からシラサギの被害があり、市は巣がある木を伐採するなどの対応をとってきました。しかし群れは別の木に移り、そこで再びトラブルに。
住民たちは鳥獣駆除用のロケット花火で追い払おうとしましたが、一旦飛び立っても数分後には元の木に戻り、全く動じません。
姫路市にとってシラサギは“街のシンボル”で駆除は…
一方の姫路市。シラサギは街のシンボルということもあり駆除には消極的です。市は道路の清掃や、落ちてくるフンへの注意を呼びかける看板を設置するなど、まずは住民の被害の軽減に取り組んでいます。
(姫路市公園緑地課 志水浩樹さん)
「今後のことを考えると、このままどんどん繁殖地が大きくなるというのは好ましくないのかなと現地に来て思いますので、今後、専門家の意見も聞きながらどういったあり方が望ましいかは判断していくことになると思います」
夏が終わると多くのシラサギは姫路の街を後にします。来年またこの山に戻ってくる前に、何らかの対策が求められるのではないでしょうか。
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