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"世界一悪い原油"ベネズエラ「石油大国」の歴史を振り返る アメリカと二人三脚で開発~生産量トップクラスに~反米政権による国有化で衰退へ

解説

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 アメリカのベネズエラへの軍事攻撃、大統領拘束というニュースが世界を驚かせています。なぜ国際法違反とも言われる強引なやり方をしてまで行動を起こしたのか。 専門家は「計算しつくされた戦略で、すべては今年の中間選挙に向けて支持率を上げるためではないか」と指摘しています。 ベネズエラ侵攻がなぜ支持率アップに繋がるのか。そこにはベネズエラの石油利権と歴史が関係していました。 アメリカの狙いを独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の野神隆之首席エコノミストへの取材を含めて解説します。

ベネズエラへの大規模攻撃…その狙いとは?

 1月3日未明、アメリカはベネズエラの首都・カラカス市に対して大規模攻撃を行い、少なくとも40人が死亡しました。

 ベネズエラ・マドゥロ大統領は「違法薬物の取締り」を理由に連邦拘置所に拘留されていて、麻薬組織と共謀してコカインを密輸したなど4つの罪に問われています。

 NYの裁判所に出廷したマドゥロ大統領は「私は無実です。有罪ではありません」と主張。マドゥロ大統領の弁護人は「軍による拉致が合法なのか疑問だ」としています。

 アメリカのベネズエラ攻撃の狙いはどこにあるのか…?

「石油大国」のベネズエラ アメリカと二人三脚で開発してきた歴史

 南米大陸の北端にあるベネズエラ。実は1930年代から「石油大国」であり、当初はアメリカ主導のもと、アメリカ・ベネズエラが二人三脚で石油開発を進めてきました。

 1970年代、生産量は世界トップクラスで、2020年のデータでは、原油埋蔵量は世界一を誇っています。

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▼原油埋蔵量(2020・Energy Institute)
1位:ベネズエラ   3038億バレル
2位:サウジアラビア 2975億バレル
3位:カナダ     1681億バレル
4位:イラン     1578億バレル
5位:イラク     1450億バレル

 一方、親米政権下で貧富の差が縮まらず、富が一部の富裕層やアメリカに流れているとの不満が貧困層の間で蓄積されていきました。

 そんな中、貧困層の強い支持を受けて1999年に反米・左派のチャベス政権が誕生。その後継者として2013年にマドゥロ政権が誕生しました(2024年3期目当選も不正か)。

トランプ大統領にとって石油支配は一石二鳥?

 掘って掘って掘りまくれ―――

 アメリカ国内の物価高対策・経済活性化のため、トランプ大統領が望むのが「原油価格の下落」。しかし、価格を下げると支持基盤である石油産業が損失を被ってしまう…そこで目を付けたのが「ベネズエラ産の原油」です。

 原油は精製されて軽油・ガソリン・ジェット燃料・重油となりますが、実は原油には産地によって品質の差があり、軽油・ガソリンに精製しやすい原油=「良い原油」とされています。一方、ベネズエラの原油は“世界一悪い”と言われていて、普通の精製では重油ばかり生産されてしまうのです。

 アメリカはこのベネズエラの原油を安く買い叩き、自前の高度な精製能力で精製し高く売ってきたという歴史があります。

 しかし、チャベス反米政権は貧困層への社会保障のためお金が必要であったことから、2007年、国内の石油産業を実質国有化し、アメリカ企業の設備を接収・追い出しにかかりました。その結果、ベネズエラの石油産業は老朽化が進み規模は縮小。1日の生産量は96万バレルにまで減りました(アメリカは2014万バレル)。

 そして、アメリカの精製能力は“宝の持ちぐされ”に。2010年ごろの「シェール革命」により、アメリカは世界有数の産油国となりましたが、原油の品質はトップクラスであり、高度な精製設備は20年近く遊んでいる状態なのです。

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 アメリカがベネズエラの石油を支配できれば、ベネズエラの石油産業が復活し、アメリカの精製能力も生かせて一石二鳥…

 そんな狙いが見え隠れする、今回のベネズエラ攻撃。2019年、第一次トランプ政権時には、ベネズエラに経済制裁を発動しています。

「ドンロー主義」中国・ロシアの影響力を排除したい?

 そして、今新たにトランプ大統領が打ち出している外交戦略が“ドンロー主義”。「西半球の権益はアメリカが確保する。今や“ドンロー主義”」と発言しているのです(CNNによる)。

 ドナルド・トランプの「ド」と、モンロー主義の「モンロー」を掛け合わせた造語ですが、ここには、中国やロシアの影響を排除したいという狙いがあるのかもしれません。実際、中国・ロシアとベネズエラの結びつきは強く、アメリカが買わなくなったベネズエラの原油は中国が買っています。

※モンロー主義
第5代モンロー大統領の外交政策。ヨーロッパ(東半球)と南北アメリカ(西半球)はそれぞれの問題に互いに関与しない。

東半球の問題=中国の台湾侵攻にはどう出るのか

 トランプ大統領が掲げる“ドンロー主義”は、世界にどのような影響を与えるのか?

 まず、懸念として考えられるのが、東半球(アジア・ヨーロッパ)に関与しないなら、ロシアのウクライナ侵攻、中国の台湾侵攻にどう出るのかという点です。

 また、ベネズエラ国内も一枚岩ではありません。マドゥロ大統領への賛成・反対が入り混じっていて、反マドゥロ=親米派とも限りません。

 トランプ大統領の思惑通りに事態が進むのか、今年予定されている日米首脳会談を含め、今後の動向を注視する必要がありそうです。

2026年01月07日(水)現在の情報です

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