2026年01月05日(月)公開
【台湾有事の抑止力低下? 】アメリカがベネズエラに大規模攻撃 表向きは「麻薬流入の阻止」もホンネは「石油利権の掌握」 か 日本への影響は...
解説

南米ベネズエラの首都・カラカス市内では、1月3日未明に行われたアメリカの大規模攻撃で、軍関係者や民間人を含む少なくとも40人が死亡したということです。 ベネズエラのマドゥロ大統領は連邦拘置所に勾留。表向きの理由は違法薬物の取り締まりですが、トランプ大統領の狙いは中国やロシアとの関係を深め、反米姿勢を強めていた「マドゥロ政権の転覆」とみられています。 さらにベネズエラには世界最大の原油埋蔵量を誇る石油施設があり、石油利権の確保という見方も…。 国際法違反の疑いも指摘される主権国家への直接攻撃。「力による支配」が世界に拡散する懸念が強まるなか、日本にはどのような影響があるのか?同志社大学大学院の三牧聖子教授への取材を含めて解説します。
野球で知られるベネズエラ 政治情勢は混乱を極める
アメリカ大陸の南米北側に位置しているベネズエラは、これまで中国やロシアに近い親中・親露の姿勢を鮮明にし、反米を掲げるマドゥロ氏の政権が統治していました。
ベネズエラといえば野球が非常に盛んな国としても知られています。日本のプロ野球でも、ペタジーニ氏やカブレラ氏、ラミレス氏、スアレス氏といった多くの名選手が活躍してきました。現在もオリックス・バファローズにはエスピノーザ投手やマチャド投手が在籍しています。
一方、国内の政治情勢は混乱を極めていました。独裁色が強いマドゥロ政権に対抗してきた野党指導者のマチャド氏は、2025年にノーベル平和賞を受賞しました 。
今回のアメリカ軍による攻撃を受け、マチャド氏は「自由が到来した。マドゥロ氏は国際司法の裁きを受けることになる」と非常に前向きなコメントを発表しています。
攻撃の「建前」と透けて見えるホンネの“石油利権”
ベネズエラでは長年混乱が続き、国連の統計によれば、国民の4人に1人にあたる790万人もの人々が避難を強いられ、安全を求めて国境を越えているという深刻な事実があります。
なぜ、アメリカは攻撃に踏み切ったのでしょうか。同志社大学大学院の三牧聖子教授によると、アメリカ側が主張する建前は「麻薬の流入阻止」です。
ベネズエラから流入する大量の麻薬をアメリカへの攻撃とみなしその反撃であるとしています。麻薬取締りはアメリカ世論の支持を得やすいためこの理由が掲げられたとみられます。
一方で、真の目的は「石油の利権掌握」ではないかとの指摘もあります。ベネズエラは世界最大の原油埋蔵量を誇っていて、さらなる石油利権を手に入れ、同時に親中・親露政権を転覆させたいという狙いが見え隠れしています。
どうなる国際秩序 台湾有事が起きても抑止力は低下?
今回の攻撃では、軍関係者や民間人を含む少なくとも40人が死亡したという情報が入っています。
アメリカのベネズエラへの介入の世界への影響としては、ロシアによるウクライナ侵攻や、将来的な中国による台湾侵攻の際にアメリカの行動を口実に「力による現状変更」が正当化され、国際秩序が乱れるおそれがあります 。
また日本への影響として、トランプ大統領が西半球(中南米)へ注力することで、相対的に台湾に対する抑止力が弱まるとの指摘もあります。
中国の習近平政権が2027年までに台湾侵攻をする可能性が指摘される中 、日本から離れた南米での出来事であっても決して日本にとって無関係な話ではありません。
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