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維新・吉村代表「約束を守らない政治が嫌」かつて反故にされた"安倍・野田合意"身を切ることなく消費増税...議員定数削減は「政治姿勢の問題」

解説

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 今年10月に発足した自維連立政権。その際、維新・吉村代表が最も強く訴えたのが「議員定数削減」でした。しかし、審議されぬまま先送りに。 政治改革のセンターピンだと訴え、“連立の絶対条件”に掲げたものの、遅々として進まない議論…吉村代表は「茶番劇。自分たちの身分に関することになると結論を出さない」とコメントしました。 連立与党として初めて臨んだ国会。やりたいことはできたのか?MBS『よんチャンTV』のスタジオで、吉村代表に直接聞きました。

「鵺(ぬえ)みたいな政党だから気をつけろ」自民党の印象は?

 ―――維新元代表の松井一郎氏は、自民党を「鵺(ぬえ)」=「相手を絡め取って骨抜きにする妖怪」と表現されました(12月17日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)。与党入りした今、自民党にどのような印象をお持ちでしょうか?

 吉村代表「与党入りする前、松井さんと相談した時も、『自民党は“鵺”みたいな政党だから気をつけろ」と言われました。自民党での経験が長い馬場前代表からも『自民党は甘い政党ではない』という話は聞きました。その上で高市さんと話し、日本を前に進めるために連立入りする、リスクを取ってでも前に進めていこうと判断しました』


 ―――実際に「鵺」のような雰囲気を感じることはありますか?

 吉村代表「あると思いますね。高市さんは非常に信頼しています。誠実で、日本の政治を前に進めたいという熱い思いを持っておられる。ただ、自民党全体で見れば、高市さんを降ろしたい勢力もいれば、議員定数削減をやりたくない人もたくさんいる。非常に難しい状況だと思いますが、それでも高市さんは自民党をまとめて、維新と一緒に『議員定数45削減』の法案を提出してくれました。高市さんはしっかりと約束を守ってくれた。日本を前に進めようという思いで通じています」

「議員定数削減」自民に“騙されかけた”ポイントとは?

 ―――今国会では議員定数削減が成立しませんでした。自民党に「騙された」という思いはありますか?

 吉村代表「そこまでは思っていません。『騙されかけた』というポイントはありました。定数削減の法案を作る時、自民党側から「プログラム法(計画だけを立てて具体的な数などを明示しない形)でやりませんか」という提案がありました。『それなら野党も賛成する。賛成しないと意味がないですよね』という話がありましたが、『駄目だ』と言いました。議員定数削減は“数と時期”が大切で、そこを誤魔化すのは有権者を誤魔化すことになる。ここはかなり自民党とやり合って、最後は高市さんがぐっと抑えてくれたことで、法案提出につながりました」


 ―――審議入りすらしませんでしたが。

 吉村代表「審議入りしなかったことは残念です。賛成・反対はあると思いますが、議論をして結論を出すのが国会という場だと思っています。それにも関わらず、審議入りすらしなかった。成立も反対もしようがない状態で、今国会は終わりました。ただ、議員定数削減の法案は簡単に出せるものではない。自民党が出すというのは大変だと思います。維新は3割削減を公約に掲げていて、府議会では109あった定数を88まで削減して、補助金の改革や財政改革をして、財政を立て直して、いろんな投資ができるようになりました。約束したことを実行してきました。自民党としては難しかったと思いますが、法案を共同で提出したことは大きな一歩だと考えています。ただ、審議入りしなかったのは本当に残念。賛否両論あっても審議するべきだと思います」


 ―――吉村代表は「この臨時国会で定数削減法案を成立させる」と仰っていました。自民党の責任もあるのでは?

 吉村代表「政治改革の委員会は、野党の委員長です。自民と維新を足しても過半数にならない。採決しても否決される可能性があります。他の政党か無所属が賛成しないと、定数削減も成立はしません。その中で、成立させるべきだとやってきました。審議入りしなかったことを自民党の責任にするのは、ちょっと違うんじゃないかなと思っています」

「これは野田さんの作戦」自維関係はギクシャクしている?

 ―――立憲・野田代表は「(自維の)関係が極めてギクシャクしている」と指摘しています。

 吉村代表「これは野田さんの作戦。内部でバラバラになるのが一番良くない。賛否両論ある中で1つにまとめて進めていくのが政治だと思うので、その意味で、自民と維新は方向性を一致させて進んでいると思います。議員定数削減に反対する人はいると思いますが、社会保障改革などを進めるためにも、自分たちのことからやるべき。これは自民党も民主党も約束していたことです。まずはそれをやろうと高市さんと合意しました。反対派も多くいました」

キーマンは参政党?次の通常国会は「延長戦」

 ―――連立から2か月、「約束通りに物事が進まない」とお感じになることは?

 吉村代表「立憲民主党・公明党は難しいだろうなと思っていました。『比例50削減』は駄目だと、“少数政党潰し”じゃないかと、やるんだったら小選挙区もやらなきゃ駄目だと、立憲民主党も公明党も言っていました。僕たちは、それに合わせて修正しましたが、同じ論調で『反対だ』ということでした。最初から反対なのでしょう。ただ、国民民主党に関しては、自民と維新が法案を出したら賛成すると玉木さんがテレビでも言っていましたので、僕らはそれに期待もするし、藤田共同代表から玉木代表に、この法案について話をしました」

 「もう1つは参政党。参政党も、この参院選で議員定数削減を公約に掲げているんです。なので、この話を持って行っています。ただ、参政党は『身を切る改革ではない』と。『秘書を充実させるのだったら、ちゃんと我々も考える』と言ってくれています」

 「実は、審議に入ると結構議論されることになっているんですよ。でも審議されなかったら、そこにたどり着かない。今回の国会は閉じた。でも、今の法案が終わったわけではなくて、そのまま次の通常国会にスライドするということになりましたから、次の通常国会は時間切れにはなり得ないと思います。というのは、予算を2月・3月にやったとしても、4月・5月・6月とありますから、時間切れで終了にはならない。ある意味延長戦だと僕は思っています」


 ―――その時のキーマンは国民民主党?

 吉村代表「参政党じゃないですかね。比較的前向きに考えていただいていると、協議していて感じています」

各党意見が割れる「企業団体献金」着地点はあるのか?

 ―――企業団体献金について、維新は「廃止」を訴えていますが、自民は「デジタル化で透明性の強化」など各党で意見が分かれています。今後、折り合いは付くのでしょうか?

 吉村代表「維新は企業団体献金を禁止しています。確かに政治にはお金がかかりますが、実際に今は受け取っていません。だから一番フラットな立場で言えるのは維新です。『受けるのは悪くない』『透明化していこう』『デジタル化すればいいじゃないか』というのが自民党の法案として出されています」

 「国民民主党・公明党(+立憲民主党)からは、受け皿を限定するという案が出されている。それぞれ立ち位置があって、例えば、立憲民主党も国民民主党も企業団体献金を労働組合から受けているんですよ。1億円単位で受けたりしているんです。それぞれの立ち位置があるので、学識者のお手盛りではなくて、第三者の人に政治資金のあり方を決めてもらって、それをみんなで受け入れた方がいいんじゃないかというのが、自民と維新で合意した与党案です(制度のあり方を議論する第三者委員会を設置。2027年9月までに結論)」

 「企業団体献金は去年からずっと議論されてきて、最初は去年の3月に結論を出すという話だったんですよ。それが出ず、参院選でも出ず、そして今になっている。だいたい議論が煮詰まってきているので、企業団体献金の法案をそれぞれ責任を持って出しているんだったら、採決すればいいじゃないかと僕らは提案したんです。『企業団体献金が審議中だから定数削減はやりません』と言われていますので、企業団体献金についてもそれぞれ責任を持って出しているのだから採決したらいいではないかと提案しましたが『採決もしません』と。そして臨時国会が閉会しました。それは、おかしいのではと」

「目先の話よりも少し先のことを」連立入りで維新が得たものは?

 ―――連立に入って維新は何を得たのでしょうか?

 吉村代表「例えば、小学校給食無償化の方向性が決まりました。高校無償化についても、今回の臨時国会で制度として確定させました。ガソリン暫定税率についても、連立合意書に盛り込みました。でも、まだ2か月。目先の政策も大事ですが、その先にある社会保障改革や副首都、外交・安全保障など、2か月で結論が出ないから、ちゃんとした協議体を作って、まず始めましょうと協議書にも書いています。そういった協議体はもう既に出来あがって議論が進んでいるので、そういった意味では、現在進行形ということですね。この臨時国会で何をしたのかと言われると、来年に審議される法案を出したとか、そのレベルになってしまいますが、目先の話よりも、もう少し先のことを考えてこの2か月準備してきたということです」


 ―――議員定数削減の法案は成立しないと事前に分かっていましたか?
 
 吉村代表「分かっていなかったですね。僕が一番心配していたのは、議員定数削減の法案を出せるかどうか。それも、実効性のあるものを出せるかどうか。ここはポイントだと思っていました。もし出せば、国民民主党や参政党など、当初から賛成すると言っていた政党もあるわけですから。ただ、法案を出すかどうかが、実はすごく難しいだろうなとは思っていました。自民党は絶対やりたくないんですよ。なので、『プログラム法』を持ち出した。そこで僕が折れていたら、通っていたかもしれないけれど、ふにゃふにゃした法案で自分も国民も騙すことになったと思うので、それは駄目だと。自民党からは『プログラム法』でしか駄目だとかなり押されましたけど、それしかできないんだったら腹を括ろう(離脱する)と、藤田共同代表にも遠藤国対委員長にも言いました」

議員定数削減は「政治姿勢の問題」「約束を守らない政治が嫌」

 ―――何のための議員定数削減なのか、本当に日本のためになるのか、そうした疑問は多くの人が持ったと思いますが、そのあたりの説明が不足していたのでは?

 吉村代表「そこはおっしゃる通りだと思います。何のための定数削減なのか、これは重要だと思うんですね。僕は『約束を守らない政治』が嫌で、かつて消費税を増税するときに、自民党と民主党は『国民に増税の負担を求めるんだったら定数削減やりましょうよ』と、野田さんと安倍さんは合意したわけです。『45削減法案』を出したんですよ。でも、結果、消費税だけ増税されて、議員定数削減はやっていないんです。その後、民主党も『80削減法案』を出した。でも、やっていない。復興増税のときも、『負担をお願いするんだったら議員報酬を削減しましょう、2割削減しましょう』ということで、最初始まったんです。でも数年したら、スーッとなくなって、復興増税だけが残っているんです。維新はこの2割報酬削減を自主的に今もやっています」

 「そういう政治がすごく嫌で、まず約束したことを守る。例えば社会保障改革は賛否両論あります。負担を求めることも必要になってくるかもしれません。でもそういうことをやるのだったら、まず自分たちのことをやりましょうと。だから僕は“センターピン”だと言っている。自分たちの身を守りながらではできない。維新は大阪でそれをやってきて、大阪府・大阪市の放漫財政を立て直して、財政も今良くなりました。借金を減らして改革をして、高校無償化も増税せずにやっていますから。むしろ借金を減らしながらやっている。万博もできるようになった。そう考えると、国民に負担を求めなくても、政治家が腹を括ればできる。まず自分たちのことやらないと。それができていないのが僕は嫌だと」

 「国会議員1人あたりの経費は1億円ぐらい、45削減しても45億円ですよ。国家予算から見ると、そこまで大きくない。だから、これはコスト削減だけの話ではなくて、政治姿勢の問題だと思うし、約束を守らない政治でこれからの日本の改革なんか進められない。少なくとも30年成長していないわけですから。本当に前へ進めるのだったら、自分たちのことをやらないといけないという思いで、定数削減を掲げています」

2025年12月18日(木)現在の情報です

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