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ジョークじゃなかった「琵琶湖の水止めたろか」上流・下流で対立し続けた過去 水位低下中の琵琶湖の"知られざる話" 460本超の河川から流入するのに対し...出口河川は1本!? 

解説

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 滋賀県の三日月知事が12月16日の会見で発表した琵琶湖の水位低下問題。水位はマイナス73cm(12月16日午後4時半ごろ時点)まで下がっていて、取水制限が発動されるマイナス90cmに迫っています。 京阪神1400万人の暮らしを支える琵琶湖。約400万年の歴史を持つ古代湖の特殊性、上流・下流の対立…琵琶湖をめぐる知られざる歴史を深掘りします。

琵琶湖水位の基準「大阪湾の海面から85.614m」

 琵琶湖の水位測定における基準点は、大阪湾の海面(干潮時)からプラス85.614mと設定されています。この高さは大阪城の天守閣とほぼ同じ高さです。鳥居川量水標という水位測定ポイントでこの基準が採用されていますが、なぜこの高さが選ばれたのか、その理由ははっきりしていません。

 また、琵琶湖の水位と態勢について、マイナス65cm程度から “イエローカード”状態となり、マイナス90cm程度で取水制限開始となります。

 マイナス65cm程度 注意態勢・自主的な節水呼びかけ
 マイナス75cm程度 本部の水位低下警戒設置(県)
 マイナス90cm程度(取水制限) 第一警戒態勢→第二警戒態勢→第三警戒態勢
 マイナス150cm程度 レッドゾーン

その歴史はなんと400万年!その背景には…

 琵琶湖の2つの“日本一”は、圧倒的な「大きさ」と「古さ」です。

 貯水量は275億tで、日本一の貯水量を誇る徳山ダム(岐阜)約42個分。水位1cm分だけで京セラドーム大阪約6杯分の水量に相当します。

 そして、数十万年以上の歴史を持つ湖が「古代湖」と呼ばれ、世界に20程度しか存在しないとされていますが、琵琶湖は400万年の歴史を誇ります。現在の三重県の場所で誕生し、地殻変動により徐々に北上し、約40万年前に現在の位置に至りました。

 なぜ琵琶湖はこれほど長期間存在し続けることができたのでしょうか。通常の湖は土砂の流入により約1万年で埋まってしまうか、流水を制御する堰(せき)が崩れて干上がってしまいます。しかし琵琶湖は、土砂の堆積速度を少し上回るスピードで湖底が沈下し続けているため、埋まることなく現在まで存在しています。

 この長い歴史が生み出したと言われるのが、ビワコオオナマズやビワマス、ニゴロブナ(ふなずしの原材料)といった固有種を中心とする独自の生態系です。

上流・下流の長きにわたる“対立”

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 約460本の河川から水が流入しているのに対し、水が出ていくのは「瀬田川」の1本だけだという点も大きな特徴です(河川以外の流出口としては、ほかに京都への水を運ぶ「琵琶湖疎水」も)。
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 そんな琵琶湖の水の唯一の調整弁であるのが「瀬田川洗堰」。この洗堰の操作をめぐっては、双方の利害が真っ向から衝突し、対立する構造が1905年(現在の形の前身となる洗堰が完成した年)から90年間にわたって続きました。

 水不足時の対立構図は明確です。上流の滋賀県側は、農業への影響や生態系保護の観点から、水位維持のため洗堰を閉めたいと考えます。ニゴロブナの産卵場所確保など、生物多様性への配慮も重要な要素となります。一方、京都や大阪などの下流側は生活用水や農業用水確保のため、洗堰を開けての放水を求めます。

 洪水時には立場が逆転します。400本以上の河川から水が流入する琵琶湖は、ゲリラ豪雨で一気に水位が上昇します。1秒間に最大6000立方メートルの水が流入するのに対し、洗堰から排出できるのは1秒間に800立方メートルのみです。この圧倒的な差が、調整を難しいものにしています。

 つまり、上流側は水があふれるのを防ぐため早期の放水を求めますが、下流側は洪水被害を恐れて放水制限を求めるのです。

 この膠着状態を打破したのが1992年に制定された「瀬田川洗堰操作規則」です。国土交通省、近畿地方整備局が近隣自治体の意見を調整し、明確な操作基準を策定しました。現在はこのルールに基づいて洗堰の開閉が行われており、かつてのような激しい対立は解消されています。

取水制限が発動しても…すぐには生活に影響なし?

 今回の水位低下は、琵琶湖周辺地域の今年9月の降水量が例年の約半分、11月も4割減という降水不足が大きな要因と見られています(近畿地方整備局河川部によると)。

 取水制限が実施されても、10%程度であれば各自治体などの浄水場での調整により、一般家庭への直接的な影響はあまりないということです。しかし40%を超えると水圧低下などの影響がでます。過去には実際に5%、10%、20%の取水制限が実施されたこともあります。

 今の私たちにできることは、日常的な節水意識の徹底です。特に年末の大掃除シーズンを迎える今、無駄な水の使用を控えることが、琵琶湖の水位維持につながります。400万年の歴史を持つ古代湖を未来に残すため、一人ひとりの行動が問われています。

2025年12月17日(水)現在の情報です

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