2025年12月18日(木)公開
維新創設者・松井一郎氏「背骨を抜かれるなら連立離脱した方がいい」"連立の絶対条件"の議員定数削減が見送り...維新は何も得なかった?「自民党は鵺(ぬえ)みたいなもの。何でも飲み込む妖怪」
解説

12月17日に閉会した秋の臨時国会。今国会は、国民生活に直結する補正予算の編成に加え、高市新政権が発足した節目の国会となりました。 外交面に目を向けると、台湾有事をめぐる発言を契機とした日中関係の悪化は、依然として続いています。 また、今国会は自民党と日本維新の会による連立政権が始動した場でもありましたが、維新が求めていた「議員定数の削減」は審議されぬまま先送りとなりました。 維新の連立入りを有権者はどう見るべきなのか?日本維新の会元代表・松井一郎氏に見解を聞きました。
「みんなやりたくない」“永田町の常識”に吉村代表が騙された?

維新が連立の条件としていた「議員定数削減」。審議入りすらできないまま、今国会の成立が見送られる形となり、維新・吉村代表は「スピード感なさすぎて残念に思います。いつまでたっても結論が出ない。それで17日で終わりですからね。そのあと正月休みに入る。まっぴらごめんですね」と発言しました。
―――維新・吉村代表は「野党は削減に消極的」だと批判していますが。
松井一郎氏「『野党は与党の邪魔をするのが仕事』というのは、永田町の一番の悪いところ。『永田町の常識は世間の非常識』と言われる。常識外れなんですよ。だから、吉村代表は永田町の住人を半年しかやっていないので、騙されやすいんです。最初(2012年)に議員定数削減を言い出したのは立憲の野田代表ですから。吉村代表は『野田代表も言ってたんだから、一緒にやりましょう』と説得すれば話が通じると思っていた。でも、そんな文化じゃないんです、永田町は。逆に言うと、吉村代表以外、与党も含めてみんなやりたくなかった。やろうと思えば、強行採決できるんです。でも、『選挙というのは民主主義の根幹ですから』などやらない理屈をつけて、先延ばしになっているわけです。『乱暴だ』と言っている野田代表は当時、もっと乱暴にやろうとしていた。みんなやりたくないんです」
―――先日、MBSが取材した際、「来年の通常国会でも成立しないだろう。自民党はやる気がない」などと言う維新幹部もいました。維新も一枚岩ではないのでしょうか?
松井一郎氏「吉村代表が知事として外から情報をドンと出していく中で、国政にいる人たちの混乱はあるのでは。僕もそうだったけど…もう少し丁寧にやっていましたね。表でドンと言う前に」
「背骨を抜かれるなら離脱した方がいい」

―――“改革のセンターピン”としていた議員定数削減が見送りとなった今、維新はこのまま連立を続けるのでしょうか?
松井一郎氏「閣外協力にしたのは、自民党を知っている維新のベテランの人たちが『閣内に入って近づきすぎるのは危ないよ』と、吉村代表たちが走りすぎるのを止めてきたから。そもそも『閣外協力』ですから、“是々非々与党”で良かったと思います」
―――離脱してもいいとお考えでしょうか?
松井一郎氏「閣外ですから。(自民党に)背骨を抜かれるなら離脱した方がいい」
―――今の維新は背骨を抜かれているようにも見えますが。
松井一郎氏「そこは、まあ再生医療でなんとかね…」
「自民党は鵺(ぬえ)みたいなもの。何でも飲み込む、骨抜きにする妖怪」

維新が連立入りをする際、松井氏はSNSで「自民党はそんな甘い組織ではない。これまで連立を組んだ党はすべて絡め取られて終了」(本人Xより)と発言。自民党は維新の連立入りで衆院過半数を実現させ、“政治とカネ”問題について現状あまり批判されていません。
―――その一方で、維新は何を得たのでしょうか?
松井代表「自民党は鵺(ぬえ)みたいなもの。何でも飲み込む、骨抜きにする妖怪」
―――それぐらい怖い相手だと。
松井一郎氏:「私は自民党が長かったですから」
維新の“背骨”は「改革のマインド」

―――松井さんが考える“維新の背骨”とは?
松井一郎氏「改革のマインドの部分ですね。例えば『OTC医薬品の保険適用外』が実現すれば、1~2割負担が10割負担になるわけですから、痛みを伴います。ただ、これをやっていかないと今の保険会計が持たないので、実現していこうよと。そうすると、まず政治家の身分にメス入れるという意味で、吉村代表は議員定数を減らすと言っているわけです」
―――今後、維新はどう振舞うべきでしょうか?
松井一郎氏「連立連立と言われますが、是々非々で、背骨を抜かれないように、良いことは良い、ダメなものはダメという態度で臨んでほしいと思います」
「特別区を条件から外して多極化を」副首都構想どう見る?
―――副首都構造についてはどう思われますか?
松井一郎氏「副首都はやるべきだと思う。東京一極は非常に危険。日本が持続可能な国としてやっていくために、稼いでいける経済の拠点というのは東京一極ではなくて二極、三極と広げていくべきだと思います。ただ、『多極化』と『都構想』を一緒にしちゃダメだと、前から言っています。『特別区』を必要条件として副首都法案に入れると、やれる所がない。大阪もできていない。やれる所がない法律というのはおかしいと思うので、特別区を条件から外して、日本の多極化を作っていくべきだと思います」
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