2025年09月24日(水)公開
「腹が立つ。行く気持ち失せた」"奪われた"万博チケット...誰かが不正ログイン→勝手に譲渡されていた!博覧会協会は『返金・再交付できない』警察への被害届は『受理されない』
解説
閉幕まで3週間を切った大阪・関西万博。“駆け込み”の来場者がつめかけ連日混雑が続いていますが、ここに来て、チケットをめぐるトラブルが発生しています。 前もって購入していた夜間券の日程を変更しようとするもログインできず、パスワードを変更して再度ログイン。すると、「チケットが勝手に譲渡されていた」というのです。 なぜこのようなトラブルが起こったのか?私たちにできる対策は?情報セキュリティに詳しい神戸大学の森井昌克名誉教授ら専門家の見解をもとにお伝えします。
「エラーではなく譲渡されています」夜間券を買ったのにログインできない!
大阪府に住む40代の女性。大阪・関西万博に今月11日に入場するチケットを予約していました。女性が予約していたのは、1枚3700円の夜間券。入場予定日の約1か月前に購入しましたが、日程を変更しようと万博のウェブサイトへログインしようとしたときのことです。
(大阪府40代女性)「『夜間券の日時を変更して買い直した方がいいのかな』と思ったときログインができなくて、あれ?と思って。間違っているはずないのに(サイトに)入れないなと」
女性はログインすることができず、パスワードを変更。その後、ログインすると、本来表示されるはずのチケットが表示されませんでした。不審に思い、電話で問い合わせたところ、知らない間にチケットが何者かに譲渡されていたことがわかったのです。
(大阪府40代女性)「(チケットを)買ったのが初めてだったので気が付かなくて、万博側のエラーで表示されていないのかなと思って、問い合わせしてみました。『エラーではなく譲渡されていますよ』と言われて、え?となって」
博覧会協会の回答は“対応不可” 返金・再発行されず「協会に腹が立つ。行く気持ち失せた」
万博の公式サイトでは、家族や友人などにチケットが譲渡できる機能があり、その機能が悪用されたとみられています。
女性は協会側にチケットの返金や再発行が可能かについて問い合わせをしましたが、「対応できない」との回答だったといいます。女性は今も、協会側には返金対応などを求めています。
(大阪府40代女性)「不満しかないです。(万博が)終わってからでも(返金対応を)やってほしいです。誰も行っていないチケットを、お金だけ取っているだけだから。協会に腹が立っているので、行く気持ちが失せた」
「不正操作の説明・立証が非常に難しい」
大阪市在住の40代女性が被害にあった、万博チケットのトラブル。経緯は次のとおりです。
(1)8月に9月11日の夜間券購入
(2)後日日程を変えようとするもサイトにログインできず
(3)博覧会協会に問い合わせ⇒「チケットが譲渡されている」「返金や再交付はできない」
(4)警察に相談するも被害届出せず
亀井正貴弁護士は「女性は電子計算機使用詐欺罪等で被害届を出せるかもしれないが、不正操作の説明・立証が非常に難しい」と述べています。
“不正ログイン”3つの手口…対策は?
情報セキュリティに詳しい神戸大学の森井昌克名誉教授は、次のような不正ログインの手口が考えられると指摘します。
▼フィッシングサイトで情報入手
⇒偽サイトに誘導しパスワードなどを盗む
▼パスワードスプレー攻撃
⇒複数アカウントに対して同じパスワードを同時に試す
▼パスワードリスト攻撃
⇒事前に入手したID・パスワードの組み合わせリストを使って不正ログイン
(神戸大学 森井昌克名誉教授)「IDとパスワードだけで認証しているので、こういうシステムはなりすましされる可能性が0ではない。色々な人の(IDやパスワード)を試してみて、たまたまIDなどがうまく当たった人にだけ被害を与えている可能性がある」
また、対策として、IDやパスワードを「複雑なものにする」「いろんなサイトで使い回さない」などの方法を推奨しています。
今回のようなトラブルは、ID・パスワードを使用する全てのウェブサイトで起こり得えます。利用者側としては、パスワードをこまめに変更する、自分なりのルールを決めてパスワードを作るといった対策を徹底するのが有効な手立てだということです。
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