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石破総理は諦めムード?「政権に終止符」か「続投」か 命運決める"総裁選前倒しの意思確認"カギ握る動きは「トランプ関税」と「党四役の相次ぐ辞意」

解説

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 石破政権の命運が近く決まるかもしれません。「総裁選前倒し」を行うかどうかについての意思確認が9月8日に行われる予定で、党内では石破政権の「存続派」と「石破おろし派」の攻防が激化しています。 石破政権はどうなるのか、そして総裁選前倒しが実現した場合、キーパーソンは誰なのか?ジャーナリスト・武田一顕氏の見解を交えてまとめました。

実現すれば初「総裁選前倒し」

 2024年10月に就任した石破総裁。総裁任期は3年なので任期満了の2027年9月30日まであと約2年あります。一方、衆院選・東京都議選・参院選で3連敗しているため、自民党内部からは辞任を求める声が出ています。

 自民党に「総裁を辞めさせられる」規定は実はありません。しかし、総裁選の前倒しは可能で、これが実質、辞めさせられる唯一の手段と言えます。今まで総裁選の前倒しが行われたことはなかったため、実現すれば初めてのこととなります。

 前倒し総裁選が行われるかどうかが決まるのが9月8日(月)。党所属の国会議員295人と各都道府県の代表47人(計342人)のうち、過半数172人が賛成すれば前倒し選挙が決定します。総裁選前倒しの希望者は8日、党本部に書類を提出することになっており、その際、氏名が公表されます。

カギ握る議員らの意向は?

 総裁選前倒しは行われるのか。ジャーナリスト武田一顕氏は「空気感で言うと(石破総理にとって)かなり厳しい」と指摘します。

 (武田一顕氏)「署名して党本部に持っていく(前倒しに賛成)という人が増えていて、唯一派閥が残っている麻生派の親分である麻生太郎氏も、最高顧問の役職なのに総裁辞めろと言うってことだから、空気感としてはかなり厳しい」

 党所属国会議員と都道府県連にJNNが意向調査をしたところ、どちらも半数以上が「態度示さず」や「未定・不明」という回答でした。

 【党所属国会議員】※先週公表 295人中219人が回答
 行うべき 49人
 必要ない 19人
 態度示さず 137人
 その他 14人

 【都道府県連】※9月4日午後7時時点
 賛成(決定・方針) 11道県
 反対決定 4県
 未定・不明 32都府県

「トランプ関税」めぐる動きが追い風に?

 総裁選前倒しへの意思が固まっていない議員らの判断材料になりそうな動きが2つあります。1つ目は「トランプ関税」です。

 7月に合意済みの内容について、トランプ大統領が大統領令に署名したことが日本時間5日朝に発表されました。自動車関税は現在の27.5%から15%に、相互関税については▽15%未満の品目は15%、▽15%以上の品目は上乗せなしとなることが盛り込まれました。これを受け、5日は株価の上昇も見られました。

 また、石破総理からトランプ大統領へ、以下の内容の親書を送っていたことも明らかになりました。

 「トランプ大統領とともに日米関係の黄金時代を築いていきたい。そしてトランプ大統領をぜひ日本にご招待したい」

 一つ実績を残したとも言える今回のトランプ関税に関する動きは、石破総理にとって追い風となるかもしれません。

「党4役」が相次ぎ辞意

 一方で逆風と言えるのが、自民党内で役職を持つ「党4役」の動きです。

 党の実質ナンバー1とも言われる森山裕幹事長、そして鈴木俊一総務会長・小野寺五典政調会長・木原誠二選対委員長の4人、つまり“石破総理の仲間たち”が次々に辞意を表明したのです。進退は総理に預けている状態のため、現時点ではまだ辞めていません。

 武田氏はこの動きに、「ドミノ辞意なんて言葉は今まで聞いたことない。普通は辞任ドミノって言うんですよ。辞意だけというのは茶番劇、猿芝居などと言われてかなり評判が悪いんです」と後ろ向きな評価です。

 そうした中、複数の政府・与党関係者によると、石破総理本人は、追加の経済対策を関係省庁に指示する方向で検討しているということで、「現金一律2万円給付」(子どもや非課税世帯には4万円給付)案は見直す方針です。

次期総裁選が行われれば…誰が軸に?

 これらの動きを踏まえ、武田氏は「前倒し賛成多数が見えてきて諦めムードなのではないか」という見立て。「今まではやる気満々で絶対やるという感じだったが、そろそろ石破総理自身も『駄目かな』というのに気づき始めている」「いつ辞意表明をしてもおかしくない状況」と指摘しています。

 では、もし前倒しで総裁選挙が行われる場合どうなるのか?まず、石破総理が再出馬する可能性はないというのが武田氏の見解。総裁選の前倒しが行われるということは、石破総理の辞任を求める人が過半数いるということだと指摘し、「勝てるわけがないから石破さんは辞任せざるを得ない」といいます。

 その上で、次期総裁選の“軸”になるとみられる人物として、高市早苗前経済安保担当大臣と小泉進次郎農林水産大臣を挙げます。

 「高市氏と小泉氏は前回の総裁選でもかなり上位に食い込んだ。高市氏は党員選挙で1位でした。それを考えると、事実上この2人の争いになるだろうと」

 ポイントは、ある“キーパーソン”の応援を得られるかどうか。その人物は「石破総理」だと武田氏はいいます。

 「石破総理は支持率が高い中、引きずり下ろされて辞めるわけです。石破総理は総裁選で高市氏と小泉氏のどちらかを応援する。おそらく小泉氏を応援するんだけど、石破総理が応援についた方が、支持率が高い事実上の前総理が応援するということで、かなりの影響力を持つ」

求められるのは「総理大臣になれるトップ」

 一方で、そもそも自民・公明の与党は衆議院・参議院ともに、過半数割れしている状況。つまり、自民党の新総裁になったからといって、必ずしも首相指名選挙で勝てるとは限らないため、誰をトップにすれば、総理の座も守れるか、ということも判断材料になると思われます。

 また、武田氏は、衆議院の議員をイチから選び直す「解散総選挙」という選択肢にも言及しています。

 「いわゆるリセット解散と言われているやつです。その中で、また自民と公明で過半数を取れないとしても、どこと組むかをはっきりさせてやろうじゃないかというのが解散総選挙の意味合いです」

 石破政権の命運はいかに。総裁選前倒しの意思確認が行われる8日に向けて、党内の動きが注目されます。

2025年09月06日(土)現在の情報です

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