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大阪・ミナミは再開発でどう変わる?「グレーターなんば」構想でなんばエリアを"目的地"に!2031年には「なにわ筋線」開業へ

解説

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 多くの観光客でにぎわう大阪・ミナミの中心部である難波。駅直結の巨大複合施設が新たに建設されることになったほか、JRと南海電鉄が運行予定の「なにわ筋線」の開業に向けた工事が進められています。 JR大阪駅周辺の「キタ」や森ノ宮周辺の「ヒガシ」だけでなく「ミナミ」でも進む再開発の動き。そこにはどんな狙いがあるのか?りそな総合研究所大阪本社・荒木秀之主席研究員の話を交えお伝えします。

開発ラッシュの「ミナミ」

 「うめきた」が開発されて大阪・キタエリアのイメージも変わりつつありますが、インバウンド客が多いミナミも生まれ変わろうとしています。

 ランドマークになりそうなのが、関西初進出のホテル「ハイアットセントリックなんば大阪」(2031年開業予定)。高島屋大阪店の東側に地上28階建てで建設され、ホテルは267室、商業施設やオフィスなども入るということです。

 それ以外にも、2022年には星野リゾートの「OMO7」、2024年には西日本最大級のアパホテルなど、ホテルが続々と開業しています。2023年にはホテルやオフィスが入る「なんばパークスサウス」が誕生しました。

2031年に「なにわ筋線」が開業

 2031年春に「なにわ筋線」が開業予定です。JRと南海電鉄が運行予定で、新今宮からうめきたまでを繋ぐ線で「南海新難波」という駅も新たにできます。

 現在、関西空港から新大阪までJRで1本で行くことできますが、このなにわ筋線を使うと、関西国際空港から新今宮やうめきたを通って新大阪に行けるので直通の手段が増えることになります。

 りそな総合研究所・荒木秀之氏は、難波は魅力のある観光地のため、1回難波周辺の駅で降りるという選択にも繋がるのではないかと話します。

なんばエリアを「目的地」に!

 南海電鉄が進めているミナミエリア再開発の構想「グレーターなんば」。一体どんなものなのでしょうか?

 グレーターというのは「より大きな」という意味で、難波をより大きくしていこうという構想です。

 万博やIR、そして新しいなにわ筋線の開業を見据えて、南海なんば駅を中心に魅力的なまち作りを行っていこうという取り組みで、なんばエリアをさらに国際的な観光都市に育成し、「目的地」となるように整備していきたいということです。

 この構想は、なんば駅を中心としたエリア、東、西、南のエリアの4つに分けて開発していくということです。

「4つのエリア」に分けられ再開発

 では、そのエリアを1つずつ見ていきます。まずは、なんば駅を中心としたエリア「シン・なんばターミナル」。南海なんば駅をブラッシュアップすることを目指していて、2023年に「なんばパークスサウス」が開業し、2024年には「なんばパークス屋上公園」がリニューアルして、景色が変わりつつあります。

 次はその東のエリア。こちらはエンターテインメントを重視していて、NGK(なんばグランド花月)を中心に新たな魅力を創出します。併せて、旅客機の操縦体験ができる施設「ANAスカイコネクトなんば」が2025年にできたほか、2031年には先述のホテル「ハイアットセントリックなんば大阪」含む複合ビルが開業予定です。

 そして西側のエリア「新駅ライフ・ステイ」。2031年開業予定の「南海新難波駅」の周辺に、都市型の住居が新たにできるということです。他にも、マンションやホテルも建っていくということで、今後は住む場所にもなっていくということです。

 ミナミでもさらに南のエリアの開発は「ダイバーシティ(多様性)」がキーワードで、インバウンドビジネスの集積・拡大を行います。世代や国籍を超えて交流できるような場所にしていく狙いがあるということです。

 2022年には星野リゾートの「OMO7」が開業。2024年には南海電鉄が通天閣をグループ化しました。通天閣がある“コテコテ”な雰囲気のエリアが、ミナミの玄関口の一つになっていくかもしれません。

 この4つのエリアの拠点となるのが、2023年に完成したなんば広場。元々タクシー乗り場だった場所が広場になりました。パラソルなども設置されていて、ここから様々な場所に分散していってほしいという構想を立てているということです。

 これについて荒木氏は、「インバウンド向けの計画であることは間違いない」とした上で、魅力が分散することで観光客も分散することから「オーバーツーリズム対策に繋がり、大阪府民にもメリットがある」とみています。

「ミナミ」のさらに南部の開発計画

 ミナミの開発は、その次も見据えられています。大阪のより南のエリアも開発されていくということです。

 特徴がそれぞれ違っていて、泉北・金剛・狭山エリアは、住みやすいまちの整備で人口流入を目指し、さらに南の関西空港に近い泉州では、りんくうを中心に観光エリアを育成して、「インバウンドが一泊したいまち」をつくっていきたいということです。
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 なぜここまで開発を進めているのかというと、2031年のなにわ筋線の開業だけではなく、2030年にはIR=統合型リゾート施設が開業し、神戸空港の国際定期便の運用も始まります。さらに増加が見込まれるインバウンド客を見据えた魅力作りが、この開発に繋がっていると荒木氏は話します。

 目指すところは、「大阪の人が好きになる」ようなまちづくりかもしれません。

2025年08月29日(金)現在の情報です

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