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自維連立を加速させた高市氏・吉村氏の直接通話  『40分の隙間』に両者をつないだのは"維新の黒子"だった―― 激動政局の舞台裏をキーマンが自ら明かす【維新・遠藤敬 総理補佐官インタビュー】

解説

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 公明党の連立離脱後、政局を大きく変えた「自維連立」。自民・維新の二党間で水面下の調整を担っていたのが、高市政権で総理補佐官に任命された遠藤敬氏でした。維新の国対委員長を長年務めた遠藤氏は「自民・維新のほか、他の野党にも多くのネットワークを持つ情報通」(ジャーナリスト・武田一顕氏)で、高市総理とのつながりも深い人物です。 実は今回の連立、公明党の連立離脱の前日、遠藤氏が高市氏に送った“一通のメッセージ”から動き出したといいます。自維連立の前夜、水面下では何が起こっていたのか?MBSは遠藤氏への単独インタビューを敢行。政局激変の舞台裏をキーマンが自ら明かしました。 ◎インタビュー:武田一顕氏(ジャーナリスト 元TBS国会記者)

公明離脱の前日に“虫の知らせ”でメッセージ!?遠藤氏→高市氏「お体だけはご留意くださいね」

 自維連立のキーマン・遠藤敬総理補佐官と高市総理。その深い付き合いは7〜8年前から始まり、国会の議運委員長室で2人でうどんを食べながら『ああしよう』『こうしよう』と相談事をすることもあったといいます。

 ―――どのような経緯で連立交渉が始まったのでしょうか?
 「(10月)10日が、公明党が(連立)離脱した日。その前日に、私の方から高市さんにショートメールをしたんです。『大変でしょうけど、お体だけはご留意くださいね』と、ちょこっと送ったんです。それから30分後ぐらいに高市さんから電話をいただいて、『まぁまぁ大変なのよ』『一緒にやれることは一緒にやっていこうよ』という話をいただいた」

 「そうは言っても、国民(民主党)とも(協議を)おやりになっているので、『国民(民主党)とまず一緒にやられたらいいんじゃないですか』という感じで申し上げたら、(高市氏は)『報道に出ているような国民民主党との関係は密にやっていません』と」

「この時間しかありませんが」テレビ出演の合間を縫った40分間…高市氏→吉村氏へTEL

 ―――高市氏が積極的だった?
 「そうですね。できるならやろうという思いもあったし、国民民主党もその時、“高めの球”を投げすぎていたのではないかと。それならちょっと1回やってみようということでゴリゴリ…これは"水面下の水面下”でやらないとダメなので、本当に誰にも分からず人知れず」

 遠藤氏は水面下で自民・維新間での調整に着手。公明党の連立離脱に前後して、10月9~10日には遠藤氏の依頼により維新・藤田共同代表と自民・木原稔氏(高市政権で官房長官に就任)による政策協議が行われるに至ったということです。

 そして、最終的な二党のトップ同士の話し合いを設定したのも遠藤氏だったといいます。

 ―――2日間水面下で両党すり合わせを行ったということですが
 「高市さんと吉村さんに私の方から電話をさせていただきました。『いよいよ煮詰まりました。ここで双方のトップ同士が話をしないと、これ以上いったら時間の無駄になるし、壊れるんやったら壊れる』と」

 「40分間、テレビ出演の合間に、吉村さんが『その時間なら空いている』と言ったので、私の方から高市さんに『この時間しかありませんけれども、そのタイミングでお電話を吉村さんにしていただけませんか』とお願いした。すると(高市氏が)『電話しますよ』ということで」

「いけるわ、いけるわ」「あれなら本気でやってくれるんじゃないか」

 こうして、遠藤氏の調整により高市総裁・吉村代表の直接通話が実現したといいます。当時、話し合いを終えた両者はどのような感触を示していたのでしょうか。

「それから夜10時か11時ごろに、双方に電話をして、『どうでしたか?』と。(高市氏は)『いけるわ、いけるわ』『話合うわ』という反応。吉村さんに確認しても『かなりの熱量だ』『あの迫力なら本気でやってくれるんじゃないか』と」

 「ギリギリのところまで詰めて、あとは最終判断は代表・総裁がというところまで持ってきた。その結果、2人が意気投合したということで、一気にアクセルを踏むために、翌14日から、私と梶山さん(自民・梶山弘志国対委員長)でじわじわと“にじみだし出し作戦”をやったと」

「経験値もない。“数合わせ”の懸念も」維新が入閣しなかった理由

 そして10月20日、国会での総理指名の前日に自民党と日本維新の会の間で正式な「連立合意」に至りました。しかし、成立した「自維連立」はこれまでの自公連立とは違い、維新からは閣僚を出さない「閣外協力」の形に。

 ―――維新が入閣せず閣外協力を選んだ理由は?
 「やはり経験値もないし、自民党に巻き込まれて影形がなくなって、政策実現どころかただの“数合わせ”になってしまうという懸念も幹部の中にもあった。『いいように使われてしまう』という懸念もある。与党になったらこういう立ち振る舞いをしないといけないというのを分かってからやった方がスムーズにいくのではないかという判断です」

 ―――大臣をやりたかった?
 「いえいえ、全くないです。私は黒子に徹するのが専門なんで。体が裏方に徹しているので」

“小泉総裁”想定で動いていた維新「それを高市さんとの間でも持ち出して…」

 公明党が連立を離脱したのが10月10日。そこから自民・維新の話し合いが始まったとされています。しかし、遠藤氏の話では、連立離脱の前日(9日)には、すでに「高市-遠藤ライン」が動き出していたのです。

 「(遠藤氏は)小泉進次郎さんが自民党総裁になることを想定して、すでに小泉さんとの間では10項目ぐらいで合意しようとやっていた。それを高市さんとの間でも持ち出して、『やれるわ』となったところから一気に進んだ」(ジャーナリスト・武田一顕氏)

取材した武田氏「覚悟を見て取れた」実行できなければ“連立解消”も?『議員定数削減』

 維新が“連立のセンターピン”としているのが「議員定数削減」。遠藤氏は「臨時国会で法案提出・採決を目指す」と述べています。遠藤氏への取材を終えたジャーナリストの武田一顕氏は…

 「(遠藤氏は)『大阪だからかも知れないが、地元に帰ると“議員定数削減しろ”という声がものすごく強い』と言っていました」(武田一顕氏)

 また、削減数について遠藤氏は「比例の50減が現実的。実行できなければ“連立解消”の可能性も」と述べています。この点について武田氏は、次のような見立てをしています。

 「遠藤さんは『連立を離脱するかどうか決めるのは自分たちではない』という趣旨のことを言っていた。『世論から“維新は中にいてもしょうがない”という声が湧き起こってきたら、自分たちは連立を離脱する』と。そういう世論が起こったら、いつでも連立離脱するという覚悟は見て取れました」(武田一顕氏)

「なんでそんな削減するんだ」自民党員が“高市氏ではなく”遠藤氏にクレーム!?

 遠藤氏はこの議員定数削減について「自民党内から強い反発ある」としていますが…

(武田一顕氏)「自民党の面々が、高市さんに言わずみんな遠藤さんのところに連絡してくると言っていました。『なんでそんなに削減するんだ』と文句を言ってくる、と。遠藤さんはもともと自民党の方ですから」

 ほかにも、企業・団体献金の禁止をめぐって野党がまとまった場合など、維新はどのよう動くのでしょうか。

 「野党側が(案を)出してきたとき維新は困るでしょう。連立に入っていて、遠藤さんは官邸の中に部屋があるわけですから。賛成できないというジレンマを、維新もこの臨時国会中に抱えることになります」

 長年国会を取材してきた武田氏が「遠藤さんは昔かたぎの政治家。昔はこういう人が何人かいたが、今では本当に珍しい。絶滅危惧種みたいなタイプの政治家」と印象を語った遠藤氏。維新が強く打ち出している議員定数削減などをめぐり、今後どのような動きを見せるのでしょうか?

2025年10月26日(日)現在の情報です

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