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あなたは買う?『古古古古米』ついに放出へ...小泉大臣「コメをじゃぶじゃぶにしていかないと」 気になる味・品質を専門家に聞く【解説】

解説

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 小泉進次郎農水大臣は6月10日、備蓄米の追加放出を発表。すでに放出していた「古古古米」(2021年産)に加え、「古古古古米」(2020年産)を今回初めて放出することになります。古古古古米の店頭価格は5kg1700円程度を想定しているということです。ほとんどの人は食べたことがない古古古古米。味や品質はどうなのか。専門家らの見解などをまとめました。

新たに2020年産の「古古古古米」放出へ

 現在の備蓄米の放出状況は、2024・2023年産の古米31万トンが「競争入札」で放出されましたが、なかなか市場に出回らないという問題も。小泉進次郎農水大臣に代わってから2022年産の古古米20万トンを大手小売り向けに、2021年産の古古古米10万トンを中小小売り向けにそれぞれ「随意契約」で放出。

 そして新たに2021年産の古古古米10万トンと2020年産の古古古古米10万トンの放出を決めました。小泉大臣は、古古古古米の放出について「(コメを)じゃぶじゃぶにしていかないといけない。それじゃなかったら価格は下がらない」とコメント。また、11日に古古古米の随意契約受け付けを開始したところ「約30社から応募がある」と明らかにしています。

 なお、国が保有している備蓄米は残り10万トンとなります。

『コメ全体の価格を引き下げるねらいか』

 一連の備蓄米の放出について、元農水省官僚でキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「小泉大臣はコメ不足の懸念に対し、必要であれば輸入も辞さないという強い姿勢を示している」と指摘。また、「滞留しているコメを市場に動かし、銘柄米を含めコメ全体の価格を引き下げるねらいがあるとみられる」とコメントしています。

 一方、多くの備蓄米が出回ると市場でコメが余ってしまうのではないかという懸念について、山下研究主幹は「市場に出回るコメの種類が増えても価格は需要と供給のバランスによって決まるため、供給過剰にはならないのでは」と話します。

 備蓄米が多く流通しコメの市場価格の平均が下がるほど、銘柄米の価格も少しずつ下がっていくのではという見立てもあります。

気になる「古古古古米」の味と品質は?

 気になる2020年産の古古古古米の味と品質について、コメの食味や品質を分析している新潟薬科大学の大坪研一特任教授に聞きました。

 古いコメの特徴としては、まず、「脂質の酸化が進む」ということです。古古米になると「古米臭」が出てきて、古古古米になるにつれて「組織が硬くなり、炊き上がった仕上がりがパサパサ」に。古古古米以降は「うまみ・あまみなど味に大きな変化を感じる」ということです。

 古古米や古古古米はチャーハン・ピラフ・カレーなどに合い、炊飯する際に水を少し多めに入れたり、みりんや蜂蜜、昆布などを入れたり、また、炊き込みご飯などにするとおいしく食べることが可能だということです。
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 大坪特任教授によりますと、コメは古くなるにつれ、『割れるコメが増加』『光沢の低下』『粘り・弾力の低下』『うまみ・あまみの減少』といった特徴があらわれます。

 ただ、10年ほど前に比べて保存状態が向上し、貯蔵しても劣化しにくい品種が増加していて、コシヒカリやひとめぼれなどのコシヒカリ系の品種は味などの劣化が緩やかだということです。

2025年06月13日(金)現在の情報です

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