2025年06月07日(土)公開
万博会場で検出『レジオネラ属菌』 肺炎が重症化し死亡も...免疫力低い人や高齢者らは「水しぶきを吸う状況」に要注意【医師が解説】
解説
大阪・関西万博の会場で、指針値の20倍の「レジオネラ属菌」が検出され、6月6日の水上ショーは中止となりました。レジオネラ属菌のリスクなどについて、医師で公衆衛生に詳しい関西福祉大学の勝田吉彰教授らに話を聞きました。
河川や土壌などに生息 20~50℃で増殖
そもそもレジオネラ属菌は、河川や土壌など自然界に生息する細菌です。アメーバなどに寄生し、20~50℃で増殖します。エアロゾル=細かい水の粒の吸入などで細菌が感染。ヒトからヒトへの感染はしないということです。
そして、温泉・入浴施設・プール・噴水などではレジオネラ属菌の検査が義務づけられています(※各自治体により異なる)。
勝田教授は「この菌自体は自然界にいるもの。どこにでもいるものだが、問題はそれが増殖するということ。それによって、例えば各地の温泉や噴水であるとか、いろんなところで問題を起こす」としています。
感染症「レジオネラ症」のリスク
レジオネラ属菌には感染症「レジオネラ症」のリスクがあります。症状の1つ「レジオネラ肺炎」は高熱・呼吸困難の症状が出て、急激に重症化し死亡することもあるということです。また、「ポンティアック熱」は発熱・寒気の症状が出て、軽症で治ることが多いとされます。
レジオネラ症全体の死亡率は5~10%で、去年の感染者は2419人。この数字について勝田教授は「ここ数年、感染者数はだいたい2000人台で、ほぼ一定。死亡率については、そもそも感染・発症する人が免疫力の低い人や高齢者らで、母集団が限られる」とコメント。指針値20倍のレジオネラ属菌は、免疫力のある成人ならおそれなくてもよいが、高齢者や基礎疾患のある人らはレジオネラ症を発症するおそれがあるとして、水しぶきを吸うという状況には注意した方がよいということです。
家庭で気をつけることは?
また、医師の丸田佳奈さんによりますと、温泉施設のほか、高齢者施設の循環式浴槽、家庭内の加湿器でもレジオネラ属菌検出の報告があるということです。そのうえで、「水に接触したからといって発症するわけではなく、間違ってその水を飲んだとか、大量にミストを浴びてしまった場合に発症する。ただ、発症した場合は重症化しないように薬などを使う必要あるため、自分の体調があやしいなと思ったら病院行くのが重要」と話します。
家庭でレジオネラ属菌に気をつける機器としては、「加湿器(超音波振動)」「循環式浴槽(追い炊き・24時間風呂など)」「エアコン」があげられるということです。また、勝田教授によりますと、厚労省はシャワーヘッドにも気をつけるよう示していて、各所、定期的に掃除・洗浄を行うことがポイントだということです。
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