MBS(毎日放送)

JAが"備蓄米以外のコメ"供給控えれば価格下がらない!?「JAの供給状況を調査すべき」元農水省官僚が指摘

解説

SHARE
X
Facebook
LINE

 スーパーでのコメ平均価格は5kgで4220円(5月1日時点)。16週連続の値上がりで、最高値を更新しました。去年の同時期と比べると約2倍の水準で、今年の新米も高値がつけられると専門家は予測しています。 政府が備蓄米を放出したにもかかわらず、なぜ値上がりが続いているのか。農水省の元官僚でキヤノングローバル戦略研究所・研究主幹である山下一仁氏の見解などをまとめました。

「全体の2%」スーパーなどに渡った備蓄米

 高騰が続くコメの価格。4月14日~20日のスーパーでのコメの平均価格は5kg・4220円となり、16週連続の値上がりで過去最高値を更新しました(農水省の資料より)。その間、備蓄米が2回、約21万t放出(JAが9割落札)されましたが、価格は下がっていません。農水省は「コメ価格高騰は流通の問題」だとしていて、これから3回目の放出(約10万t)が予定されています。

 農水省によりますと、備蓄米の流通ルートは、「JAなどの集荷業者」→「卸売業者」→「スーパーなど」となっていて、4月13日までの状況では、放出された21万tのうち「卸売業者」に渡ったのが約2万t、全体の約10%しか行き届いていません。さらにスーパーなどに渡ったのは4179tで、全体のたった約2%。消費者のもとには、ほとんど届いていない状況です。

 その理由に関して、JA全農は「配送トラックの手配がスムーズにできていない。精米に時間がかかっている」と説明しています。

『JAがコメの供給を控えれば、全体の供給量が増えない可能性』

 そもそもコメの価格について、元農水官僚の山下一仁氏は「需要と供給で決まる」と強調。去年は猛暑などの影響で約40万tのコメが不足し(民間在庫より)、その結果、供給が追いつかず価格が上昇したということです。その点を踏まえ、山下氏は、備蓄米の放出後も価格が下がらない理由として、以下の内容を挙げています。

 <備蓄米放出後も価格が下がらない理由>
 ▼備蓄米は特売品的な役割で、恩恵を受けるのは一部
 ▼JAがコメの供給を控えれば、全体の供給量が増えない可能性がある

 つまり、備蓄米を放出したとしても、それ以外の(備蓄米以外の)コメの供給をJAが控えれば、全体の供給量は増えず価格は下がらないというのです。そして、農水省はJAのコメ全ての供給状況を把握・調査すべきで、その権限もある(食糧法)とコメント。さらに山下氏は「備蓄米は放出されたが、『1年後に政府が買い戻す』特約が付けられているため、市場の供給量は実質的に増えず価格は下がらない」とも指摘しています。

 一方、JA全中の山野徹会長は4月10日、コメの価格について「高止まりは消費者離れを起こす。適正な価格形成を目指したい」というように述べています。

「5kgで約3500円~3600円」専門家が新米の価格を予想

 今秋の新米価格はどうなるのでしょうか。関西のJAの関係者によりますと、ある自治体のJAが、農家に『概算金』の最低保証価格=「今年はこれくらいの価格でコメを買います」という目安の価格を今年4月に提示したということです。例年は8月ごろに提示されるものが既に提示されていて、しかも去年より約3割高いとのこと。

 この動きについて山下氏は「4月に3割高い概算金を示したのは異例。背景には、他業者による買い付け競争が激化し、JAが危機感を持ったのでは」と指摘しています。JAは約5割の市場シェアを持つため、この概算金が流通価格の指標となってしまうということです。

 ※概算金(仮渡し金)=JAグループがコメを集荷する際、農家へ一時的に払う「前払い金」のこと。実際の販売額と差額が出れば、追加払い・徴収もある。

 その上で、この秋の新米価格の見通しついて山下氏は「5kgあたり約3500円~3600円程度」と予想しています。

「減反政策」2018年に廃止も“事実上継続”!?

 では、コメ価格高騰に解決策はあるのでしょうか。山下氏は「減反政策」の“廃止”を訴えています。減反政策とは、供給過剰によるコメ価格下落を防ぐために国が主導した生産調整で、1971年に本格的に開始され、2018年に廃止されました。

 ただ、廃止されたものの、「コメから麦や大豆などに転作した農家には補助金を給付する状況が続いていて、減反政策は事実上継続している」と山下氏は指摘。「減反という制度が供給量を制限し、結果的に価格が高くなっている」とみています。

10.jpg

 こうした中、今脚光を浴びているのが「水田オーナー制度」です。以下で紹介する2つはすでに募集が終了していますが、他にも似たような制度があるかもしれません。

 ▼樫谷棚田保存会(愛媛県)
 ・年間3万円で水田オーナーになれる
 ・田植えや稲刈り体験ができる
 ・コメ25kgと野菜セットがもらえる
 ※募集は終了

 ▼アイガモ田んぼ(兵庫・新温泉町)
 ・1口4万8600円で水田オーナーになれる
 ・収穫したコメ50kgと黒但馬鴨2羽がもらえる
 ※募集は終了

2025年05月05日(月)現在の情報です

今、あなたにオススメ

最近の記事

【出回らない備蓄米】流通がパンク状態?「契約に数週間。精米・袋詰めにも時間かかる」と専門家 消費者に届くのは「5月中旬~下旬ごろか」【解説】

2025/05/12

夏前に駆け込み需要『エアコン掃除』 業者選びのポイントは「ドレンパンの分解をしてくれるかどうか」 お掃除機能付きでも汚れびっしり!?

2025/05/12

【新ローマ教皇は誰に?】完全非公開の"秘密選挙"を徹底解説!映画も話題 1回目の投票で決まらず...中絶・避妊・LGBTQなどへの姿勢も論点

2025/05/08

【雨の万博】ストレス少なく過ごすにはどうすれば?必需品は「敷き物&温かい飲み物」 天候に左右されない「コモンズ館」もオススメ

2025/05/07

「交渉は急がない方がいい」「関税を受け入れる方がマシ」と専門家が分析するのはなぜ?トランプ関税 日米とも政治日程に追い立てられる可能性も【MBSニュース解説】

2025/05/06

JAが"備蓄米以外のコメ"供給控えれば価格下がらない!?「JAの供給状況を調査すべき」元農水省官僚が指摘

2025/05/05

【大屋根リング】歩いて見つけた楽しみ方...建築した3社で"工法に微妙な違い"!?閉幕後に一部残す案が出ているが...「それだと意味ない。無料開放して大勢に体験してもらうべき」指摘も

2025/05/01

【消費税】参院選を前に各党が『減税案』提示...財源は「赤字国債を堂々と発行」「税収増加分で確保」など主張【解説】

2025/04/29

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook