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【感染者急増】冷蔵食品の表面で10日も生存「ノロウイルス」にアルコール消毒はあまり効果なし!?『次亜塩素酸ナトリウム液』で対策を【解説】

解説

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 全国でノロウイルスによる食中毒が増加しています。原因は?どう対策すればいい?ウイルスに詳しい大阪公立大学・城戸康年教授への取材などをもとにまとめました。

感染性胃腸炎の患者急増 ノロウイルスの感染経路と症状は?

 ノロウイルスなどに感染することで下痢や嘔吐などの症状があらわれる「感染性胃腸炎」。国立感染症研究所によりますと、全国の1医療機関あたりの患者数は7週連続で増加していて、この時期としては過去10年間で最も多くなっています。

 ▼全国の患者数(2月17日~23日):1医療機関あたり10.32人 すべての都道府県で前週より増加(国立感染症研究所より)
 ▼大阪府の患者数(2月24日~3月2日):1医療機関あたり10.61人(大阪府の3月6日発表のデータより)。

 ノロウイルスの感染経路はさまざまで、人から人への飛沫感染のほか、食料品の取り扱い者が感染している場合に食料品を介して感染することもあります。

 また、牡蠣などの二枚貝などには水中から取り込んだノロウイルスが存在することもあり、加熱が不十分だと食中毒になることも。ただ、過剰に恐れる必要はなく、85℃~90℃で90秒以上加熱することが望ましいとされています。

 ノロウイルスに感染すると24時間~48時間で発症します。主な症状は吐き気・下痢・腹痛・軽度の発熱などで、有効なワクチンや薬などはありません。また、脱水症状を引き起こす可能性があるため、水分と栄養の補給を十分にしてください。約2~3日で回復するということです。

感染者増加には「新型」が関係している?

 なぜ今、ノロウイルスの感染者が増えているのでしょうか。城戸康年教授は、はっきりとした原因は不明だとしたうえで、「新型」が関係している可能性があると指摘します。

 新型とは、約10年前に神奈川県川崎市で発見された「川崎型」。免疫を持つ人が少なかったためコロナ対策が緩和した今、世界的に流行しているということです。川崎型は従来のノロウイルスと大きく変わらず、生存力と感染力が強いとされます。

消毒のポイントは?

 乾燥状態の室内で21日~28日間生存し続けるというノロウイルス。また、寒さにも強く、冷蔵食品の表面に付着した場合、冷蔵庫の中で10日程度生存するということです。さらに、城戸教授によりますと、ノロウイルスにアルコール消毒はほとんどきかないということです。

 対策には、「次亜塩素酸ナトリウム液」が効果的だといい、水と塩素系漂白剤を混ぜて作ることができます(※1%~12%の濃度で使用)。濃度の目安として、500mLのペットボトルに水を入れ、そこにキャップ1杯分の塩素系漂白剤を混ぜると約5%になるということです。

 そして、おう吐物の処理や、感染経路になりやすいドアノブなどを消毒しましょう。特に金属は腐食しやすく変色などの原因となるため、消毒後はしっかり拭いてください。

 基本的な手洗い・マスクでの予防もしつつ、体調が悪いときは外食や料理を控えるなど人にうつさない配慮も必要かもしれません。

2025年03月07日(金)現在の情報です

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