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【白内障】放置すると失明のおそれも...『まぶしい』『目がかすむ』の症状が出たら眼科受診のサイン?医師は「若年層でも増えている感覚がある」と指摘

解説

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 ミュージカル演出家の宮本亞門さん(67)が2月4日、「白内障」の緊急手術を受けたとSNSで報告しました。“高齢者の病気”というイメージの白内障ですが、現場の医師は、ここ最近「若い世代にも広がってきている感覚がある」と話します。 身近でありながら、意外と知られていない目の病気、白内障。その原因とは?治療法は?普段から気を付けるべきことは?岐阜県立多治見病院の眼科主任・宇佐美欽通医師への取材などをもとに情報をまとめました。

「基本的に老化現象」白内障=水晶体が濁る病気

 宇佐美医師によりますと、白内障は先天性のものもあるようですが、基本的に「老化現象」だということです。白内障にかかる割合を年齢別に示した研究データでは、50代以降どんどん増えていき、80歳以上の方は100%となっています(※厚生労働科学研究成果データベース 2002年3月「科学的根拠(evidence)に基づく白内障ガイドライン策定に関する研究」より)。

 <白内障の割合>
 ▼50代:37~54%
 ▼60代:66~83%
 ▼70代:84~97%
 ▼80歳以上:100%
 
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 そもそも白内障とは、「水晶体が濁る病気」です。カメラで例えると“レンズ”の役割を担っている水晶体という部分が濁り、“すりガラス”のような状態になって、光が乱反射してしまうのです。

 白内障が非常に進行している場合、素人が肉眼で見ても「目が濁っている」と分かりますが、基本的には医師が専用の顕微鏡などで見て判断する病気であるため、濁っていなさそうでも『目がかすむ』などの症状が出た場合は病院に行った方がいいということです。

花粉症の人も要注意…目をかくことも原因に

 白内障の原因は、加齢だけではありません。先天的な原因、後天的な原因があります。

 <先天的な原因>※宇佐美医師によると、1万人に3人程度
 ▼遺伝
 ▼染色体異常
 ▼胎内でのウイルス感染

 <後天的な原因>
 ▼糖尿病
 ▼喫煙
 ▼目の周りをよくかく
 ▼強度の近視

 例えば、アトピー性皮膚炎やアレルギー性結膜炎をよく発症する人はどうしても目をかいてしまいますが、この刺激が白内障につながることもあるということです。また、スポーツ中の傷や紫外線による刺激なども白内障の原因としてあげられるとしています。

『夜、対向車のライトがまぶしい…』放置すると失明の危険も

 白内障の主な症状は▼まぶしさを感じる▼目がかすむ▼ものが二重に見える、です。『日中、太陽を見ていないのに、以前よりも急にまぶしく感じるようになった』『夜、対向車のライトがハイビームでもないのにすごくまぶしく感じる』『夜に月がはっきりくっきり見えない』こういった症状がある人は、目が濁っているかいないかは別として、眼科を受診した方がいいということです。
 
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 もし白内障を放置すると、眼圧が一気に上がる「急性緑内障発作」や、目の中で炎症を起こす「ぶどう膜炎」など他の病気になる可能性もあり、最悪の場合は失明の危険もあるとされます。ちなみに、レーシック手術の後遺症に、まぶしさを感じる「ハログレア現象」がありますが、これは白内障とは別の症状だということです。

「若い世代で増えている感覚がある」スマホの見過ぎなどが原因の可能性も

 また、宇佐美医師は「明確なデータは見つかっていないが…」と前置きしつつ、「現場では40代以下の若い世代の白内障は増えている感覚がある」と指摘。他の医師からも、同じような声が聞かれたそうです。

 あくまでも“可能性”ですが、その原因として考えられるのは、スマートフォンの見過ぎなどによる「強度近視」。ほかにも、糖尿病などの生活習慣病やスポーツなどでの外傷、アトピー性皮膚炎による慢性的な刺激など、若年層でも白内障リスクが高まる要因は多いということです。さらに、若い人の場合、数日~1か月程度で急激に進行することもあるようです。

「根本的な治療は手術しかない」片目で約5万円

 白内障になってしまった場合、どうすればいいのでしょうか。宇佐美医師によりますと、目薬での治療は“進行予防”で、根本的な治療は「手術しかない」ということです。

 「白内障の手術は簡単」と耳にしたことがある人も多いかもしれませんが、宇佐美医師は「比較的安全だが、白内障の進行具合や持病などの影響で難易度はさまざま」だとコメント。特に大きなリスクがなければ、「片目で約10分」で終わる場合もあるということです。濁った水晶体の中身の部分を超音波の器具で吸い取り、そこに特殊なレンズを入れるというのが、手術の手順です。

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 手術の費用は、現在日本で多く使われている一般的な「単焦点レンズ」(焦点が一定範囲)の場合、「3割負担で片目5万円前後」。日帰り手術になることが多いようですが、人それぞれ状況によっては入院するケースも。また、翌日には眼帯が外れることが多いそうです。

目は「むき出しの臓器」 紫外線対策などで予防を

 白内障にならないために、日ごろからできる予防法としては…
 
 ▼サングラス・UVカット眼鏡・帽子などで紫外線防止
 ▼目をこすらない
 ▼禁煙
 ▼適切な運動・食事・睡眠

 これらのことに気を付けながら、目に異変を感じた方は、早めに眼科を受診してみてください。

2025年02月11日(火)現在の情報です

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