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【103万円の壁】自民が"少し強気"の裏には維新の存在?『178万円を目指して...』で合意したものの与党側は『123万円』を提示 国民民主が反発「到底納得できない」

解説

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 自民・公明・国民民主の3党が「178万円を目指して、来年から引き上げる」と合意した『103万円の壁』。その後の協議で与党側が示したのは「123万円」への引き上げでした。これに対して国民民主は「話にならない」と反発し、12月20日の3党の会談で「協議を続ける」ことが確認されました。 “壁”をめぐる与党と国民民主の駆け引きは今後どうなるのでしょうか。

【103万円の壁】与党案「123万円」に国民民主が反発

 来年度以降の税制措置の内容・検討事項をまとめた「税制改正大綱」が12月20日に決定。国民民主が178万円への引き上げを主張していた“年収の壁”は、103万円から「123万円」に引き上げることが明記されました。

 「103万円の壁」が引き上げられた場合、私たちの“手取り”はどれだけ増えるのでしょうか。国民民主案の178万円、自民・公明案の123万円で年間の減税額を比較してみると、大きな差があります(※落合孝裕税理士による試算)。

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 <年収300万円の場合> 
  178万円:11万3300円減税
  123万円:5100円減税
 
 <年収500万円の場合> 
  178万円:13万2000円減税
  123万円:1万300円減税
 
 <年収800万円の場合> 
  178万円:22万8200円減税
  123万円:2万400円減税

 税制改正大綱ではその他、19~22歳の子の親の特定扶養控除については、子の年収制限を103万円から150万円へ引き上げます。これにより、アルバイトをしている学生らの働き控えの解消につながるのではと期待されています。また、子育て世帯への支援策として、高校生の扶養控除は縮小せず、住宅ローン控除・生命保険料控除を拡充することが明記されました。

【“壁”めぐる攻防】自民が強気に!?その裏には維新が!?

 ここまでの「103万円の壁」をめぐる経緯を振り返ります。12月11日、自民・公明と国民民主が「178万円を目指して、来年から引き上げる」と合意し、国民民主が補正予算案に賛成しました。しかし13日、与党側が引き上げ額として「123万円」を提示し、国民民主は「話にならない」と反発。17日には与党側から新たな提案がなく、国民民主はわずか10分で協議の席を立ちました。そして20日、自・公・国の幹事長が会談を行い、「協議を続ける」ことを確認したということです。

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 衆院で過半数に届かない与党は、予算通過のため、衆院で28議席を持つ国民民主に“近づいて”きましたが、ここに来て、両者の関係が少し変わってきているのかもしれません。というのも与党には、衆院で38議席を持つ維新と手を組む選択肢もあるからです。

 ジャーナリストの武田一顕氏は「ちょっと自民党が強気になってきたような気がしますね」とコメント。国民民主が訴える「178万円への引き上げ」が実現した場合、約7兆6000億円の税収減になるとされる一方、維新が掲げる教育無償化をめぐり、「高校授業料の無償化」の予算は6000億円とも言われています。

 「103万円の壁」をめぐる協議は今後どうなるのでしょうか。

2024年12月23日(月)現在の情報です

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