MBS(毎日放送)

【日大会見】「悪質タックル騒動のときの再放送を見てるようだ」競技スポーツ部廃止→競技スポーツセンター新設検討について大学ジャーナリストの見解

解説

SHARE
X
Facebook
LINE

 日本大学アメリカンフットボール部の薬物問題をめぐり、林真理子理事長らが12月4日に記者会見を開きました。会見で日大側は、廃部の方針とされたアメフト部の処遇について、「継続審議」になっていると公表。また、アメフト部を含む全競技部のガバナンスの再構築に向けて、「競技スポーツ部を廃止したうえで日本大学競技スポーツセンターを新設することを検討する」と明らかにしました。こうした部署の新設について、大学ジャーナリストの石渡嶺司さんは「悪質タックル騒動のときと同じ対応」「人事をちゃんと変えなければ単なる看板の付け替えに過ぎない」と指摘します。(2023年12月4日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

◎石渡嶺司:大学ジャーナリスト 全国の大学を500校以上見て回り教育問題・組織運営などについて執筆・評論を行う

―――今回の会見について、石渡さんにポイントを3つ挙げてもらいました。「林理事長は4か月ほど何をしていたのか?」「廃部への是非がなぜ今?」「アメフト部監督らの処分は?」です。1つ目について、林理事長は8月の会見から4か月、ずいぶん時間がありましたが、何をしていたのかというところですね?

(石渡嶺司さん)「あれだけ8月の記者会見では、“隠ぺいと言われることは遺憾である”とまで言い切っているわけです。それであれば、林理事長がもっと積極的に記者会見を開くなり、情報発信していくべきだった。にもかかわらず、この4か月、ひたすらメディアの取材、ぶら下がり会見等からも逃げ回っている。それで、新しい日大がどうこうですとか、廃部についても断腸の思いですとかというのは、全く心が響かないなという印象があります」

―――今回の会見では新しい情報が全然ない、という意見もありますが、いかがでしょうか?

(石渡嶺司さん)「競技スポーツ部を廃止して、日本大学競技スポーツセンターを新設する、これが目新しい話と言えば目新しい話です。ただ私、これ見た瞬間に思わず苦笑いしちゃったんですね。なぜかというと、2018年の悪質タックル騒動のときと全く同じ対応なんですよ。現在の競技スポーツ部というのは、悪質タックル騒動が起きた後の2018年11月に、競技スポーツ部という部署に改められました。そうすることによって、学長によるガバナンスが直接及ぶ本部組織とします、としているんです。悪質タックル騒動が起きる前は、大学の附属機関としての位置づけだった保健体育審議会という名称でした。競技スポーツ部という名称に変えて、じゃあどれだけ変わったのかというと、結果的には何も変わってない。今回、競技スポーツセンターを新設するということですけれど、一見すると目新しいんですが、人事をちゃんと変えていなければ単なる看板の付け替えに過ぎません。なんだか2018年の悪質タックル騒動のときの再放送を見ているような気分になりました」

―――名称が変わっても、結局、中の人が変わっていなかったら全く一緒じゃないかということですよね。これについて中野雅至先生はいかがですか?

(神戸学院大 中野雅至教授)「おっしゃる通りだと思います。人員構成がわからないと。副学長とスポーツの関係とかスポーツ関連の人物がどれだけ力を持っているのか全く記者会見でわからないので、ここにメスを入れないと全く同じだと思いますよ」

「なぜ廃部の方針だけ先行させたのか...理解に苦しむ」

―――今後の課題について、石渡さんは、看板を付け替えるだけではいけない、廃部するなら理由をちゃんと明らかに、というご意見ですね?

(石渡嶺司さん)「廃部するという方針が何かしら合理的な判断があるのであれば、まだ理解が得られただろうと思います。しかし、出てきた話としては、個人犯罪と思っていたけど集団犯罪だった…うんぬんかんぬんと。しかし、逮捕者が出た時点で、日大上層部以外は、これは寮で出た犯罪だから集団でも怪しいだろうというのは、もうみんなわかっていた話なんですよ。それを廃部の理由とするのは何か筋が違う。しかも今、継続審議としていますけれど、そうなると、最初から議論をちゃんとして、学生のヒアリングもちゃんとやった上でどうするのかというのを決めてから発表すべきだった。そういう批判が出てくる話を、なぜ廃部の方針だけ先行させたのか、ちょっと理解に苦しみます」

―――記者会見にはアメフト部の監督は出席しませんでしたね。

(石渡嶺司さん)「確かに、この薬物事件というのは、学生が起こした事件です。しかし、学生が起こした不祥事をああでもないこうでもないといじくったのはアメフト部監督であり、競技スポーツ部の部長であり、あるいはその顧問だったりコーチだったり。私は職員の5人組と勝手に呼んでいるんですけれど、その5人組に対してもちゃんとしかるべき処分を下さない、これはかなり恥ずべき話と見ています」

―――今のところ責任を取ることになったのは、学長と副学長、そして理事長の林さんということになりました。ですから、今後その辺りも明らかにしてもらいたいということですよね?

(石渡嶺司さん)「はい。少なくとも今回の記者会見で、その職員の5人組に対してこういう処分を下します、ぐらいの話は出てしかるべきです。事件発覚後4か月もたっているんですから。他の大学だったらとうの昔に発表している話をなぜ日大はできないのか。これでは林さんが主張していた学生ファーストどころか、競技スポーツ部の職員を優先させる競技スポーツ部ファーストと言わざるを得ません」

2023年12月05日(火)現在の情報です

今、あなたにオススメ

最近の記事

【衆議院選挙】現時点で専門家が予想する3つのシナリオ 自民圧勝なら「高市カラー」加速?一方で「維新の存在感」は...『自維で過半数割れ』なら大きな政界再編か

2026/01/26

「真冬」「ド短期」衆院選はSNSの影響大か...拡散or反論したくなったら? 街頭演説で"現場の熱"を感じるべき?【選挙コンサルタントら解説】

2026/01/24

大阪ダブル選は「非常識」タイミング・選挙テーマ・都構想3度目チャレンジ...元首長が3つの"おかしい"を斬る! 吉村知事に「他党候補者なしでの再選は"信を得た"と言える?」直球質問すると...【きょう知事選告示】

2026/01/22

【弁護士解説】山上被告なぜ無期懲役?「予想以上に厳しい判決」でありつつ...生い立ちか危険性か 量刑判断の"原則"は 【安倍元総理銃撃事件裁判】

2026/01/21

「解散は総理の専権事項」なのか?憲法に明記なし "グレーな解散権"の「ずるさ」を憲法学者と考える【高市総理が解散発表 衆議院選挙へ】

2026/01/20

【衆議院解散発表】消費税減税「中道改革連合」は食料品"恒久ゼロ" 自民党は"期限付きゼロ"検討 専門家は実現性を疑問視...与野党とも選挙前に掲げ始めたワケは?

2026/01/19

「維新は有権者をなめている」衆院選に合わせた"大阪ダブル選"に神戸学院大中野教授が指摘 高市総理が解散急いだ背景は「立憲・公明の合流に焦り?」ジャーナリスト武田氏がMBS番組で言及

2026/01/19

【真冬の衆院選】寒さ・雪・受験の悪条件...投票率低下は高市総理に有利?不利?早期解散・超短期決戦の背景は「立憲・公明の合流」による焦燥か【ジャーナリスト・武田一顕氏解説】

2026/01/19

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook