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【ビッグモーター】 樹木医が激怒「農薬取締法に触れる可能性も」街路樹枯れ死の問題で「Googleストリートビューに除草剤写り込みか」

解説

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 ビッグモーターのあちこちの店舗で「除草剤をまいて街路樹を枯らした」という証言や、googleのストリートビューには除草剤とみられる容器が。社員らが追い込まれた背景に兼重宏一前副社長の厳しい視察があり「草一本あったら減点、降格も」という現役店長の証言も。樹木医の後藤瑞穂氏は「除草剤の種類によっては農薬取締法に触れる可能性もある」と話しています。(2023年8月2日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

◎後藤瑞穂氏(樹木医 国道交通省をはじめ官公庁から樹木診断業務も担う ビッグモーター「街路樹」問題も現地取材)

街路樹は財産、一社の都合で失うのは非常に問題

―木や植物のお医者さん、樹木医の後藤瑞穂さんにお話を伺います。街路樹伐採、枯れ問題について川崎市の調査では、ビッグモーター川崎店前のオオムラサキツツジの6本の伐採が確認されています。これに対し、ビッグモーター側は「当社で切ったということで間違いない」と回答しています。後藤さんは、「街路樹はみんなの財産である。排気ガスや粉塵を吸着し、大気の浄化をしてくれるもので、樹木の命を勝手に奪う行為は許されない」と指摘しています。後藤さんは街路樹が枯らされていたり、伐採される話を聞いてどう思われましたか。

後藤瑞穂: 私、実際、浦和美園にも見に行ったんですけれど、非常にかわいそうな状況でした。街路樹は皆さんの公共財産なんです。大気汚染の浄化や光合成をしていますので、酸素を出しています。私達の生存基盤を担う大切な樹木なんです。今はヒートアイランド現象。地球温暖化の問題とかあって気温の上昇を防ぐ役割もしています。とても重要な役割をしているのが街路樹ですが、それを1社の都合で失うっていうのは、非常に問題があると思います。

Googleストリートビューに「除草剤と思われるオレンジ色の容器」

―福島県のビッグモーター郡山店のGoogleストリートビューの写真、そこに除草剤と思われるものが写り込んでいたんです。それが農薬取締法に違反しているのでは?という疑問も新たに生まれています。写真ではわかりづらいが、オレンジ色のケースに入ったようなもの、種類によっては農薬取締法に抵触する可能性もあるんですか?

後藤瑞穂: そうです。農薬取締法には除草剤の種類で、農耕地に使っていいものと、非農耕地に使っていいものにわかれていまして、街路樹は、農耕地の方に含まれています。そうすると登録されている農薬を使わないと違反になってしまいます。これは要確認です、事実を確認して、どうなのかってちょっと確かめる必要があると思います。

―草津店は県の聞き取り調査に対し、「清掃の際に環境整備として除草剤をまいた」と証言しています。愛媛の平井店前では、マテバシイという木を5本、ヒラドツツジが段階的に枯れていて、国交省が撤去したということです。ここで疑問なのが、除草剤で木は枯れるのかということ。後藤さんによると、「一般的な街路樹なら数週間から数ヶ月で枯れるのですが、希釈タイプを薄めずに使うとさらに早まる」ということです。

後藤瑞穂: 除草剤も「選択性の除草剤」と「非選択性の除草剤」とありまして、おそらく今回使われたのは「非選択性」で、広範な種類を枯らしてしまう可能性がある除草剤ではなかったのかなと思います。除草剤の裏側には、使い方を書いてあるところを見ると、樹木等も枯れる可能性があるから、そういうところでは撒かないでくださいというふうに書いてあるものはあるんですね。それをちゃんとお読みになっていたのかなという疑問があります。

―ホームセンターで売られているようなものでも、使い方次第では大きな木が枯れる可能性があるということですね?

後藤瑞穂:そうです。しっかり仕様の内容を読んでいただきたいですね。

―街路樹は今後、原状回復が可能なのか。「除草剤の影響があるかもしれず、土壌を全て入れ替えることも必要となってくる」と。撒いてしまうと、土も駄目になってしまっている可能性もあるということですか?

後藤瑞穂: そうです。薬効が残っているってことはない。全ての薬剤農薬はきちんと国の許可が取れていて試験を行っていますので、そこに残留しているってことはないんですが、一度そういうのをまくと、土壌微生物が死んでしまったりとか、あと塩類が余分に残っていたりとかそういうことがあるので、土壌の性質が樹木を生育させるのに不適な状態にはなっています。より健康に育てようと思いましたら、土を替えるのがよろしいかと思います。

REINAさん:もし本当に看板、店舗を見やすくするために木を切ってしまうとか、枯らしてしまうっていう発想だったのであれば、ちょっと一般的な倫理感がないのかなと思ってしまうんですよね。こういうものが企業文化を形成していくと思うので、どれだけ中の文化がひどいものだったのかっていうのがうかがえるかなと思います。

兼重宏一前副社長の「環境整備点検」草一本生えていたら「減点、降格」も

―背景にあるのは、兼重宏一前副社長らが視察する「環境整備点検」だったのではと言われています。点検項目の中には、「店舗前の歩道10mと、展示場、敷地内には雑草、砂がなく、掃き清められているか」という内容があったということ。某現役店長は話しています。「定期点検で草1本あったら減点。点数が悪ければ降格になったりする店舗もあった」と。国交省は、除草剤が撒かれていた場合、被害届を出した上で損害賠償などを求める考えを示しています。どこまで組織的だったが気になるところです。

豊田真由子氏: 原状回復していただくとしても、損害賠償もそれほど高額にはなりませんし、これ刑法の器物損壊剤に問うても、問えるのは基本的に撒いた社員さんになって、刑法と言うのは人を罰するので、指示をした人が共謀した事実とか、意図があると認定されれば共犯ってことになるんですけど、ただいずれにしても3年以下の懲役30万円の罰金。多分そこまで重罪で本当に服役するにはならないので、問題の解決は何かっていうと、撒いた人が自発的に撒いたわけではないと思うので、組織風土とか、社会に与えた、全体の問題の中の一つなので、そこの根本解決をして、地域住民もそうですし、契約者もそうですし、解決しなきゃいけない、全体像を見て今後考えなきゃいけないなっていうふうに思います。

2023年08月02日(水)現在の情報です

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